西郷どん

2018.10.14

西郷どん 第三十八回 「傷だらけの維新」

大村益次郎の指揮により、半日で壊滅した彰義隊。
しかし、更に抵抗の度合いを増した東北越諸藩。

京。
兵も金も無い新政府。
全てを薩摩で引き受けた西郷。

鹿児島。
援軍を集めるため帰郷した西郷。
久方ぶりの団らん。

菊次郎に書物を送る糸。

久光を説得し、増援軍を編成し越後に派遣した西郷。
その様子を見ていた吉二郎。

早朝、刀を持って家を出ようとする吉二郎。
それを見とがめ、止めた信吾。

戦に出たいと西郷に直談判をした吉二郎。
その熱意にほだされた西郷。

越後に出立した吉二郎たち。

数日後、ガトリング砲を有する長岡藩に苦戦をしているとの報告を受け、
自ら出陣した西郷。

越後に着いた西郷の下にもたらされる数々の援軍要請。
そんな中届いた、吉二郎が撃たれたという知らせ。
しかし、兵の命は皆同じと軍議を続ける西郷。

1500人の死傷者を出し、新政府軍の勝利で終わった北越戦争。

傷病兵を見舞う西郷。
侍働きが出来て嬉しかったと言い、西郷の腕の中で亡くなった吉二郎。

その後も函館まで戦い続けた新政府軍。

明治へと生まれ変わった日本。

明治元年10月、東京城に入った明治天皇。

東京城の一室。
二人で話し合う西郷と一蔵。

突然、全て終わった、薩摩に帰りたいと言い出した西郷。
これから全てが始まるのだ、
新しい国を作ろうと言い出したのはおはんだと一蔵。
そのために全てを壊した、多くの者を死なせた
その責めを負わねばならんと西郷。
それが新しい国を作るという事じゃろがと一蔵。
すまん、一蔵どんと西郷。
勝手な事を言うな、共に新しい国を作るために戦って来たんじゃと一蔵。
腰から小さな袋を取り、一蔵の前に置き、
世界に負けん国を作ってくいやいと言い残し、立ち去る西郷。
袋の中にあったのは、かつて見た鹿児島と書かれた地図でした。
後に残され、乾いた笑い声を上げる一蔵。

鹿児島。
吉二郎の妻、園に遺髪を渡す西郷。
泣き崩れる園。

吉二郎が西郷のためにと残していった銭を渡す糸。

西郷家の出納帳を見て、一人泣く西郷。

その夜、剃髪した西郷。

「今回は戊辰戦争の終結から西郷の退隠までが描かれました。心を鬼にして戦う西郷と、弟を亡くし泣き崩れる生身の西郷の対比が鮮やかな回でした。」

「彰義隊を壊滅させた後西郷は鹿児島へと帰りますが、それは増援要請と共に、自らの療養のためでもありました。体調を崩していたらしい西郷は帰郷後すぐに日当山温泉に湯治に向かい、新政府軍が戦っている最中、50日も鹿児島に止まっています。」

「長岡で激戦があったのは事実で、河合継之助率いる長岡藩は寡兵ながら良く戦い、新政府軍を苦しめたのでした。しかし、西郷の援軍が到着した時には大勢は決しており、西郷自身の出番はありませんでした。」

「吉二郎がこの戦場で倒れたのも事実ですが、西郷が看取ったというのは記録になく、ドラマの演出でしょう。でも、流れ的には許される範囲かなとも思いますね。」

「その後の西郷は陣頭指揮を執る事はなく、北陸道征討総督府の働きによって東北諸藩は降伏に追い込まれました。西郷は米沢を経て庄内へと入ります。ドラマではスルーされてしまいましたが、ここで庄内藩に対して取った寛大な処置が後の西郷像を決定的なものとしました。すなわち、賊軍に対しても降伏して来たものはこれを許し、対等以上に扱う度量の大きな徳を持った人物という評価が定着したのです。西郷の座右の銘として知られる敬天愛人という言葉を世に広めたのも庄内の人たちでした。」

「西郷はその後、新政府の要請を無視して鹿児島へと帰ってしまいます。その理由は良く判っていないのですが、鳥羽伏見の戦いの直後に家族に宛てた手紙には、戦が終わった後には隠居すると認められており、早くから退隠する心づもりであった事は確かです。」

「ドラマでは吉二郎の死を悲しんだ西郷が剃髪したかの様に描かれていましたが、実際には越後に発つ前に既に髪を切っていた様です。これは藩主に無断で隠居する事を意味し、後に久光の怒りを買う原因の一つともなるのですが、ドラマではどこまで重みを置くのでしょうね。」

「鹿児島に帰った西郷は再び日当山温泉で湯治を行っており、体調の悪さが退隠を願った理由の一つだったのでしょう。吉二郎を死なせた事も引き籠もる気持ちを更に強くさせたのかも知れません。いずれにしても西郷は静かな余生を願っていた様ですが、彼を覆っていた名声がそれを許しませんでした。西郷はこれからも激動の時代に翻弄されながら生きていく事となります。」

(参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著

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2018.10.07

西郷どん 第三十七回 「江戸無血開城」

江戸城、大奥。
天璋院と会見した西郷。

天璋院の願いとは、
慶喜の首と引き換えに戦を終わらせて欲しいというものでした。
しかし、この戦は止める事は出来ないと西郷。
私は徳川家の名に賭けて戦うと天璋院。

江戸城総攻撃の前日、寛永寺。
謹慎を続ける慶喜。

薩摩藩邸。
海舟と会見する西郷。

江戸を火の海にする訳には行かない、
そのための条件だと書状を差し出す海舟。
その内容は徳川の降伏、慶喜の水戸での謹慎、
江戸城の明け渡し、軍艦、武器の引き渡しなどでした。


ただし、今少しの猶予と慶喜近臣の処分は寛大にして欲しいと海舟。
虫の良い話だとは判っている、
しかし、西郷程の男なら勝者としての嗜みは知っているはず、
江戸100万の民に塗炭の苦しみを味あわせて作る国に、
この先どんな望みがあると言うのかと海舟。

これまで民のために生きてきた事を思い返し、
ついに総攻撃の取りやめを決断した西郷。

すぐに京に上り、天子様に認めて頂くと西郷。
ほっとし、涙ぐむ海舟。
ただし、一つだけ譲れない事があると西郷。
慶喜公の事なら、会いに行けばいいと海舟。

これで今年も上野の桜が見られる、
お前さんの銅像とやらを上野に建ててやろうと海舟。

その夜、寛永寺。
慶喜の下を訪れた西郷。
俺を殺しに来たのか、早くその短刀で刺せと慶喜。
短刀を前に置き、なぜ逃げたしたのかと西郷。
俺はロッシュ殿から逃げたのだと慶喜。
精鋭のフランス軍12万と銃を五万丁貸そう、
その代わり勝った暁には薩摩を差し出せと持ちかけられた。
そうなれば薩摩もイギリスと手を組み、
イギリスとフランスの戦いとなり、勝った方が日本を支配する。
俺に出来る事は逃げる事だけだったのだと慶喜。

おいはおなたが恐ろしかった、
しかし、徳川慶喜ではなくヒー様こそがあなただったのだ、
徳川の血を引いて生まれたのがあなたのご不幸だったと西郷。
徳川最後の将軍としての御覚悟、この牛男しかと見せて頂いた、
ヒー様、よくぞ逃げて日本をお守り頂いた、
おやっとさあでこざいもしたと西郷。

京。
新政府に勝との会談の結果を報告する西郷。
これでは長州の面目が立たないと桂。
武器弾薬を残したままではまた戦になると収まらない桂に、
その時は私が慶喜を討つと西郷。

寛永寺。
戦は無しで済みましたと報告する海舟。
苦労を掛けたという慶喜に、一番苦労したのは西郷だと海舟。

慶応4年4月11日、江戸城明け渡し。
水戸へと向かった慶喜。

江戸城。
天璋院に会い、慶喜の首は切れなかったと西郷。
徳川の家を守って呉れた事、それ以上に望む事はないと天璋院。

別室に西郷を呼び、徳川幕府歴代の記録を渡す天璋院。
とんでもないお宝だと西郷。
その中に二宮尊徳の書を見つけ、感激する西郷。
西郷の作る国を見たくなったと天璋院。

すべてが終わり、安らかな眠りに付いた西郷。

寛永寺。
武器を手に集まり、彰義隊と名乗った旧幕臣の不満分子たち。
さらに蜂起した奥羽越の諸藩。

京。
彰義隊を殲滅すべく手を打ったという桂。

江戸城。
桂の命を受けて派遣された大村益次郎。
上野は半日で落とせると益次郎。

江戸市中、居酒屋。
酒を酌み交わす勝と西郷。
これからも戦い続けるつもりかと海舟。
彰義隊が終われば会津、その後は奥州と西郷。
その先はと海舟。
おいにも判らない、先の見えない戦だと西郷。
何にせよ死んではいけない、
龍馬が夢見た新しい日本を作ってくれと海舟。

「今回は江戸無血開城が描かれました。天璋院との対面、慶喜との会見など創作色の強い回でしたが、それぞれの覚悟や思いが上手く描かれていたと思います。特に慶喜に覚悟の程を語らせ、それを聞いた西郷が慶喜の本質はヒー様だったと言い、自らを牛男と名乗らせてかつての二人の関係に戻らせたのは、いかにもこのドラマらしい演出でした。」

「西郷と海舟の会見は実際には二度行われており、一度目に示されたのはは海舟自身の思い、無辜の民を苦しめる様では官軍とは言えない、賊軍だというものでした。これに対する西郷の応対は記録にありませんが、海舟はある程度の手応えを感じたのではないかと思われます。」

「その翌日行われた二度目の会見では、先に山岡が持ち帰った官軍からの条件、武器弾薬、軍艦を全て差し出せという要求に対する回答が示されました。それは新政府軍が要求する全面降伏ではなく、いずれ徳川家の石高が削減された場合、その削減された分の武器弾薬を差し出すというものでした。それまでは城も武器も持ったままというもので、かなり強気と言って良い内容でした。この回答を作成したのは海舟ではなく、旧幕府の実権を握っていた大久保一翁をはじめとする若年寄集団「参政衆」で、海舟は参政衆から談判を依頼されたという立場でした。」

「西郷はこの虫の良い回答を蹴っても良かったと思われるのですが、そうはせず一旦受け取り大総督府に持ち帰ると答えました。これにより3月15日の総攻撃は中止となったのですが、海舟としては大成功でした。海舟は西郷と自分の仲だから事が簡単に進んだのだと言っていますが、その裏には天璋院と和宮による嘆願、イギリス公使パークスからの停戦の要望、山岡鉄舟の事前工作などがありました。それらを全て含み、最後は西郷自身の度量の大きさから、海舟の申し出は受け入れられたと思われます。」

「西郷は徳川家から示された条件を大総督府に持ち帰りますが、大総督府でも判断は付かず、西郷はさらに京にまで戻る事になります。そこで作られたのは折衷案というべきもので、一旦全ての武器弾薬を差し出させ、その後徳川家の処分が決まればその石高に応じた分を差し戻すというものでした。これは最後通牒であり、交渉役の海舟の出番はなく、参与衆が受諾を決め、最終的に江戸無血開城が決まったのでした。」

「ところが、慶喜本人はこの新政府案に不満で、海舟と一翁に再交渉を命じたと言われます。しかし、再交渉の余地などなく、結局は新政府の案どおりになるのですが、この事で海舟と慶喜は喧嘩別れとなったのでした。これにより海舟は交渉役を罷免される事となります。」

「海舟が再度登場するのは榎本艦隊が江戸を脱走した時で、参与衆ではどうする事も出来ず、罷免されて引きこもっていた海舟に、榎本への斡旋を頼み込んだのでした。海舟は榎本を説得し一旦品川沖まで引き返させ、艦隊を二分して半分を新政府に引き渡すと言うことで妥協させました。この妥協を新政府側が受け入れたのは西郷の独断で、この事が元で西郷の新政府内における立場が悪くなったと言われます。」

「この様に、江戸無血開城はドラマ以上に複雑な経緯をたどったのですが、やはり西郷以外の人ではいかな海舟でも上手く行かなかったでしょうね。窮鳥懐に入れば猟師も殺さずと言いますが、西郷の持つ美質が最後には物を言ったのでしょう。」

「なお、海舟は交渉が決裂した場合、自らが江戸市中に火を放ち、新政府軍を火の海に叩き込むという策を立てていたと言われます。そのために市中の火消し組に渡りを付けてどこから火を放つかを決め、さらには市民を船で脱出させる手筈まで整えていたのでした。海舟も西郷の度量だけをあてに会見に臨んでいた訳では無く、いざとなれば戦う覚悟でいたというエピソードです。」

「次回は彰義隊との戦いから戊辰戦争に至る経緯が描かれる様ですね。そして、戦いを終えた西郷は薩摩に引きこもるのかな。一蔵との間に隙間風が吹きそうな予感のする回になりそうです。」

(参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著

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2018.09.23

西郷どん 第三十六回 「慶喜の首」

慶応四年一月三日、鳥羽伏見の戦い。

砲声に慌てふためく公卿たち。
劣勢を強いられる新政府軍。
そろそろあれの出番だと岩倉。

激戦の続く前線で指揮を執る西郷。

一蔵の家でゆうが用意していた錦旗。

戦場に現れた錦の御旗。
錦旗を見て戦意をう旧幕府軍。

銃弾に倒れた信吾。

大坂城。
慶喜の陣頭指揮を願う幕臣たち。

後方に送られた重傷の信吾。

官軍に寝返った津藩。

大坂城。
更なる抗戦を主張する幕臣たち。
自ら陣頭に立つと誓った慶喜。
奮い立つ幕臣たち。

その夜。
密かに大阪城を抜け出した慶喜、容保、定敬たち。

京。
慶喜逃亡の報に接し、勝ちどきを上げる新政府軍。
重態の信吾を余所に、御所に向かう西郷。

嵐に見舞われた開陽丸。
罰が当たった笑うふき。

江戸城。
無事にたどり着いた慶喜たち。

火鉢に当たり、鰻を食べようとする慶喜。
そこに現れ、慶喜を徳川の恥だと一喝する海舟。

あなたは西郷から逃げただけだとふき。
二度と顔を見せるなと慶喜。
哀れだね、あんたと海舟。

京。
突然現れた異人に驚く人々。

自分は医者だとウイリス。
最先端の医療で治療を施すウイリス。

一命を取り留めた信吾。

ウイリスを京に呼び寄せたのは西郷でした。
天子様に直訴してウイリスを京に入れた西郷。

慶応四年二月。東征軍を率いて進発する西郷。
見送る鍵屋の面々。
従軍を願い出た信吾。

西郷に泣きつくお虎。

駿府新政府軍大総督府。
続々と届く慶喜助命の嘆願書。
ここで手を緩めれば必ずあの男は力を盛り返すと西郷。
三月一五日と決まった江戸城総攻撃。

上野、寛永寺。
謹慎を続ける慶喜の下に現れた海舟。
恭順を貫くと言う慶喜に、フランスと共に戦えば勝つと海舟。
確かに勝てる、しかしその時こそ日本は異国の手に渡る、
俺を見くびるなと慶喜。

海舟に後始末を任せた慶喜。
山岡鉄太郎を呼び、駿府に向かわせた海舟。

駿府。
一人で大総督府に現れた鉄太郎。

西郷と会い、海舟の手紙を渡す鉄太郎。
そこには進軍を止め、江戸に会いに来いと書かれていました。
それは出来ないと西郷。
腹を切る覚悟で、天子様に願いを伝えて欲しいと鉄太郎。
なぜあの男のためにそこまでと西郷。
侍が我が主を信じられなくなれば侍ではなくなると鉄太郎。
その覚悟を見て海舟に会おうと西郷。

江戸、磯田屋。
西郷を待っていた幾島。

江戸城、大奥。
幾島の手引きで潜入した西郷たち。
一二年ぶりに再会した篤姫、天璋院。

「今回は鳥羽伏見の戦いから江戸城総攻撃の直前までが描かれました。鬼となった西郷は、実は心優しい西郷のままだったのでした。あくまで日本の行く末を見つめて、あえて鬼となっていたのですね。」

「鳥羽伏見の戦いは、戦端は薩摩軍の砲撃で開かれました。この時、朝廷への嘆願のつもりで行軍していた旧幕府軍は一列縦隊で、鉄砲に弾を込めてさえいなかったと言います。このため、先鋒は大混乱に陥り、新政府軍有利に戦況は進みます。」

「さらに伏見奉行所に砲弾が命中し炎上、ここを拠点としていた会津、新選組らは苦戦を強いられました。しかし、下鳥羽方面で幕府軍が盛り返し、一時は京に突入されそうな形勢となります。さらには伏見方面でも戦意の無い土佐藩が旧幕府軍の一隊を制止しなかったために、幕府軍が優位に立ちました。ところが日暮れと共になぜか撤退命令が旧幕府軍に出され、危うい所を新政府軍は踏み止まる事が出来たのでした。」

「ドラマでは西郷は終始前線で指揮を執っていた様でしたが、実際には前線に出る事は止められており、実戦に出たのは三日の伏見と五日の八幡の二日のみでした。」

「信吾が負傷したのは事実で、その治療に当たったのがウイリスだったのも事実です。ただ、彼を京に呼んだのは大山巌であり、信吾一人のために西郷が動いたという事実はありません。」

「錦の御旗については、ドラマにあったように岩倉の指示に基づいて一蔵の下であらかじめ作成されていました。無論見本があった訳では無く、想像の産物だったのですが、西郷からの要請で一蔵が朝廷と掛け合い、岩倉の働きもあって春嶽らの反対を押し切って朝廷から新政府軍に下賜されたのでした。」

「錦旗の威力は絶大だったと言われますが、誰も見たことがないものであり、当初は旧幕府軍にもそれが何を意味するのか判らなかったと言います。どこまで本当か判りませんが、旧幕府軍の兵士が新政府軍に対しあれは何だと問い質したところ、新政府軍は錦の御旗だと答え、それを聞いた旧幕府軍はそれは大変だと逃げたしたと言います。」

「兵士が逃げたかどうかはともかく、淀城を守っていた稲葉氏には効果覿面で、朝敵となった旧幕府軍の入城を拒否してしまいます。淀城は難攻不落の城として知られていたので、ここを拠点に出来ていれば旧幕府軍も易々とは負けなかった事でしょう。また、淀川の西岸にあった砲台を守備していた津藩も官軍となった新政府軍に寝返り、背後から対岸の旧幕府軍を砲撃したのでした。」

「何より効果的だったのは慶喜に対してであり、錦旗が出たと聞いた慶喜は朝敵になる事を恐れ、一気に戦意を喪失したのでした。日本古来の正当性を重んじる水戸学の徒だった慶喜にとっては、朝敵となる事が耐えられない程の苦痛だったのですね。」

「慶喜が兵士を置き去りにして大坂城から夜逃げをしたのは有名な話であり、慶喜の評価を低くしている最大の要因です。所詮は慶喜は腰の定まらぬ貴族だったと言われるのですが、慶喜のために弁護してやるとすれば、これ以上戦えば異国に付けいる隙を与えるだけだと考え、あえて身を引いたのだとも言います。」

「海舟と西郷の交渉については、ドラマにあった様に山岡鉄太郎が大きな役目を果たしています。山岡は江戸薩摩屋敷で捕らわれていた益満休之助という薩摩藩士を伴い、彼を通行手形代わりにして駿府にまでたどり着きます。そしてドラマにあった様に海舟の手紙を西郷に手渡したのでした。」

「海舟の手紙には慶喜の恭順の意思は本物であると認められており、穏便な措置を求める内容でした。これを受けて大総督府で協議が行われ、西郷は江戸城や海軍の引き渡しと引き換えに徳川家の存続を保証するなどとした七箇条の条件を山岡に託したのでした。山岡の働きが無ければ、後の海舟と西郷の話し合いも無かったのかも知れません。なお、海舟はドラマで慶喜に言っていたような戦略をも手紙に認めており、大総督府が折れたのはそれが現実となった場合、自分たちが不利だと悟ったからだとも言います。」

「これとは別に、大奥からも使者が出されていました。資料には単につぼねとだけあり、具体的に誰かは判りません。少なくとも幾島では無いでしょう。使者を出したのは篤姫と和宮であり、徳川家の存続を願うという内容でした。」

「ドラマの様に西郷が大奥に出向いて篤姫と会見したというのは明らかな創作であり、非現実的な作り話です。いくら西郷といえども、そんな離れ業が出来る訳もないでしょう。」

「ドラマには出てきませんでしたが、イギリス公使のパークスからも江戸城総攻撃は見合わせる様に要請がありました。パークスは、慶喜がこれまで日英和親のために貢献して来た事を評価しており、彼を討伐する事には反対でした。そして何より、日本で内乱が起こる事により、貿易が滞り、イギリスが損害を被る事を防ぎたかったのでした。」

「これらの動きを総合して、西郷と海舟の会見は行われます。そのあたりは次回に描かれる様ですね。ドラマではさらに慶喜とも会見するのだとか。創作色の強い江戸城無血開城になりそうですが、そのあたりをどう演出するのかじっくりと見たいと思っています。」

(参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著

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2018.09.16

西郷どん 第三十五回 「戦の鬼」

大政奉還に踏み切った慶喜。
その真意は、政が出来ない朝廷は必ず徳川に泣きついてくる、
その時徳川が政の中心に収まれば良いという所にありました。

鍵屋。
慶喜の真意を巡って対立する龍馬と西郷。
ついに袂を分かった両者。

薩摩。
討幕の兵を久光に要請する西郷。
もう討つべき幕府は無いと久光。
密勅を示した西郷。
失敗は許されんと同意した久光。

西郷家。
寅太郎をあやす西郷。
束の間の団らん。

京、近江屋。
刺客に襲われた龍馬と中岡。

薩摩屋敷。
西郷が龍馬を殺したと押しかけたお龍。
それは違う、おいは守れんかったと西郷。
何が新しい時代や、こんな事になるなら来んでええとお龍。
そのまま、ええじゃないかの波に消えていったお龍。

その夜。配下の者に江戸で騒動を起こせ、
薩摩の仕業と判らせ連中を怒らせれば良いと命じた西郷。

岩倉の屋敷。
岩倉にクーデターを持ちかけた西郷と一蔵。

慶応3年12月9日、クーデター決行。

発せられた王政復古の大号令。
次いで小御所会議。
慶喜を擁護する容堂。
鋭く対立する岩倉。
容堂に加勢する春嶽。
劣勢となった岩倉たち。

御所の門前に立つ西郷。

二条城。
西郷を討つなら今と容保。
西郷を討てば朝敵となる、俺は朝敵にだけはならぬと慶喜。

御所。
慶喜公をここへ呼べと容堂候が粘っていると一蔵。
そげな事、短刀一本あれば事たりると西郷。
それを聞いていた容堂。

逆転した形勢。
慶喜に下された辞官納地の命令。

二条城。
西郷の影に怯える慶喜。

二条城から退去した慶喜。
大坂に兵を向かわせようと西郷。
すぐに慶喜を討つ理由が無いと一蔵。
既に手は打ってあると西郷。

大坂城。
江戸城で火の手が上がった、糸を引いているのは薩摩と板倉。
すぐに兵を出しましょうと幕臣たち。
ならぬ、今兵を動かしては薩摩に大義名分を与えてしまうと慶喜。

江戸。
薩摩藩邸を襲った庄内藩。

翌年、1月2日。
江戸藩邸が撃たれた事を兵に告げ、
大坂から幕府軍が攻め上ってくると一蔵。
我らは正義の軍、慶喜は勅命に従わぬ逆賊、
此度の戦は大将の首を取って勝利とすると西郷。

大阪城。
京に向けて兵を向ける旧幕府軍。

風邪を引き、熱が引かない慶喜。
どこまで追いかけてくるのだと西郷を恐れ続ける慶喜。

京。
西郷にどうして変わってしまったのかと問い質す信吾。
慶喜は日本を異国に売り渡そうとしている、
どうしても許せないと西郷。
戦をして一番苦しむのは民、そう言ったのは兄さあだと信吾。
もう迷っておられぬと西郷。
江戸の薩摩屋敷を襲わせたのも兄さあのした事かと信吾。
そのとおりだ、ほどほどではいかん、
あの男を地の果てまで追い詰めると西郷。
戦の鬼だと信吾。
ああそうじゃ、おはんも死力を尽くして戦えと西郷。

「今回は王政復古の大号令から小御所会議、鳥羽伏見の戦い前夜までが描かれました。西郷が鬼へと変貌する様が迫力をもって描かれていましたね。」

「まず、ドラマでは久光が兵を出すことに同意したのは討幕の密勅が決定打になった様に描かれていましたが、必ずしもそうではないという見方も出てきています。その理由として西郷の上洛は当初見送られていた事、討幕に反対していた家臣を久光が排除しなかった事などが挙げられます。」

「しかし、藩主の上洛は朝廷の要請でもあり、断る事は出来ませんでした。また、当初藩兵を率いる予定であった小松帯刀が病に倒れた事によって西郷が上洛する事となります。さらには、幕府軍が続々と大坂に終結していた事もあって、不慮の事態に備えるために多数の藩兵を率いての上洛となったのでした。」

「龍馬焚殺については薩摩の陰謀説など様々な説がありますが、最も有力とされるのは京都見回組による犯行で、その理由は龍馬が伏見で捕り方を三名射殺していた事に依る公務だったというものです。」

「お龍が西郷に怒鳴り込んだというのは創作ですが、こんな事になるなら新しい世など要らないと言ったお龍の言葉は彼女の本音だった事でしょうね。」

「王政復古の大号令と小御所会議については、春嶽を通じて事前に慶喜も知っていました。その上で何も手を打たなかったのですが、慶喜は武力衝突を避けたかったからではないかと言われます。」

「小御所会議で西郷が短刀一つあれば済むと言ったのは有名な話で、西郷の凄みを表す言葉として知られます。ドラマでは容堂が直に聞いた事になっていましたが、実際には広島藩を通じて土佐藩に伝えられたもので、これ以上は無駄な抵抗と悟った容堂が鳴り止んだのでした。」

「江戸において薩摩が起こした騒動は西郷の陰謀に依るものと言われていますが、実際には西郷では無く江戸藩邸の独自の判断に依るものでした。事件を聞いた西郷が残念千万と言っている事がその傍証で、西郷はそこまでの陰謀家では無かった様ですね。」

「ドラマでは省略されていましたが、小御所会議以後の形成は西郷たちにとって不利なもので、土佐藩を中心として慶喜擁護論が高まり、実際に慶喜を内大臣として京に呼び戻す寸前にまで事は運んでいました。もし、江戸で騒動が起こらなければ、歴史は変わっていたのかも知れません。」

「結果として江戸藩邸が焼き討ちされた事で西郷が助かったのは確かで、事態は彼が望む方向へと進んでいく事になります。次回はその鳥羽伏見の戦いから江戸進軍までが描かれる様ですね。決着まではまだまだ紆余曲折がある訳で、どう描かれるか楽しみです。」

「追伸。慶喜が二条城を退去した時に通った門は西門でした。一般には公開されていませんが、城の外側から二条城の西側に行けば、橋こそ無いけれど門自体は今も見る事が出来ます。東大手門の様な立派なものではなく、ここからひっそりと慶喜が墜ちていったのかと思うと感慨深いものがありますよ。二条城を訪れる事があれば、外回りをして西門を見に行く事をお勧めします。」

 (参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著

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2018.09.09

西郷どん 第三十四回 「将軍慶喜」

将軍家茂の死によって撤退を余儀なくされた幕府軍。
これで幕府の権威も地に墜ちたと喜ぶ岩倉たち。
そこに同席していた海舟。

回想。
一人長州に乗り込み、停戦交渉にあたった海舟。

徳川家は継ぐが将軍職は継がないと言う慶喜。

朝廷。
孝明帝自ら慶喜に将軍就任を依頼し、それを受けた慶喜。
その背後にはフランスの力が働いていました。

朝廷の許しを得ず、兵庫開港を決めた慶喜。

慶応2年12月25日、天皇崩御。

惑乱する岩倉。
これこそ幕府と朝廷を引き離す好機と一蔵。

朝廷工作を受け持った岩倉。
雄藩を受け持った西郷と一蔵。

久光の下を訪れた西郷。
有力四藩が集まり、兵庫開港に待ったを掛ける、
そうすれば幕府の権威は地に墜ちる、
その総代として主導権を久光が握って欲しいと西郷。
西郷に土佐、宇和島行きを命じた久光。

土佐藩。
幕府の横暴な行いを戒めて欲しいと言上した西郷。
その話、乗ったと容堂。

越前。
慶永に上洛を促す一蔵。
快諾した慶永。

京に集まった薩摩、土佐、越前、宇和島の諸侯。
その前に現れた慶喜。
まずはフォトグラフを撮ろうと言い出す慶喜。
長州の赦免、兵庫開港のお考えを聞くまでは帰らないと久光。
長州の話は先送り、兵庫の話なら皆から合議を得ていると慶喜。
同意する久光以外の三候。
征夷大将軍である自分に物申すなら、
それなりの覚悟をしてもらうと恫喝する慶喜。
西郷たちの惨敗に終わった四候会議。

大阪城。
各国の公使を接待し、自らが大君だと表明して幕威を回復した慶喜。

軍事援助と引き換えに、領土割譲を要求するフランス公使ロッシュ。
それは薩摩でした。

うなき屋でふきと出会った西郷。
ふきから慶喜とロッシュの間で薩摩という言葉が交わされていたと聞いた西郷。

薩摩屋敷。
フランスが幕府に軍事援助の見返りに薩摩を要求していると伝え、
イギリスはいくらでも薩摩に手を貸すと言うアーネスト・サトウ。
日本の事は日本人で解決すると西郷。

慶喜公が日本を切り売りしようとしている、もう腹を括る他はない、
武力をもって徳川を討つと西郷。
一度決めたら後には引けないと一蔵。
向こうは捨て身、こちらも覚悟を決めて掛からなければと西郷。

まずは長州、兵を上げる様頼んできてくれと西郷。
すぐに行くと一蔵。

岩倉。
討幕の勅命を賜りたいと西郷。
簡単な話ではない、なぜそんなに急ぐのかと岩倉。
急がねば慶喜公がこの国を異国に売ってしまうと西郷。
えらいこっちゃと岩倉。

山口。
長州公に拝謁し、卒兵上洛を要請する一蔵。
待っていたぞと木戸。

長州に続き芸州にも出兵の約束を取り付けた一蔵。

京。
続々と武器弾薬が運び込まれる薩摩屋敷。
まだ西郷が本気で戦う気で居る事を知らない信吾たち。

土佐。
この芝居に乗るなら今しかないと龍馬。
薩摩めと怒り狂う容堂。
戦をせずに幕府から政権を取り上げる妙案があると龍馬。

おかげまいりに狂う民衆たち。

岩倉。
偽の討幕の密勅を示し、幕府を倒せばこれが本物になると岩倉。
逡巡する西郷たちに、禁裏に手回しはしておくと岩倉。

ええじゃないか、と民草も喜んでいると岩倉。

薩摩の動きを知った慶喜。

慶応3年10月13日、二条城に招集された諸藩の重役たち。
大政奉還を表明した慶喜。

鍵屋。
西郷を訪ねてきた龍馬。
大政奉還を決意した慶喜を褒め称える龍馬。
やはりおはんじゃったかと西郷。
これから日本も新しい国になる、
日本中りの雨漏りもなおせるがぜよと龍馬。
龍馬は何も判っていない、これでは何も変わらないと西郷。
えらい言われようだと龍馬。
大政奉還は逃げを打っただけの詭弁に過ぎないと西郷。
それは言い過ぎだと龍馬。
あの頭の良い人には判っている、
政権を返されても朝廷には何も出来ない、
すぐに手元に戻ってくるとと西郷。
もう武をもって徳川を叩き潰さなければ新しい世は来ないと西郷。
わしはそうは思わん、
今徳川と戦をしたら日本全土は火の海ぜよと龍馬。
何と言われようと慶喜を討つ、息の根を止めると西郷。

「今回は四候会議の開催と結末、討幕の密勅と大政奉還、西郷が討幕を断固決意するまでが描かれました。この間およそ一年の複雑な動きを45分にまとめたのですから相当の省略がある訳ですが、要領よくまとめたとも言えます。」

「まず慶喜の将軍就任にあたっては、一蔵が猛反発し、断固阻止しようとしていました。彼は将軍が空位という未曾有の事態を好機と捉え、薩摩藩が主導権を握るべく孤軍奮闘していたのですね。一方、小松帯刀は幕府側と接触を持ち、三条実美ら五卿の帰洛と引き換えに、慶喜の新将軍就任を容認していました。同じ薩摩藩でも対応の仕方は一枚岩ではなかったのですね。」

「この頃の西郷は小松と一蔵の間にあって、取り立てた行動は示していません。西郷にとって小松は上司であり、また一蔵は盟友ではあっても小松の動きを遮る様な事は出来なかったのでしょう。ドラマには出てこなかった小松こそがこの時期の主役だったのですね。」

「慶喜が将軍に就任したのは12月5日の事でした。これはドラマにあったように孝明天皇の強い要請があったからですが、その孝明帝が12月25日に崩御されてしまいます。この崩御についてはあまりに突然の事であったことから、毒殺説が流れました。その犯人として疑われたのは、他ならぬ岩倉だったのですね。それほど岩倉の辣腕ぶりは当時から有名だったという事でしょうか。」

「実際の孝明帝の死因は天然痘だったのですが、暗殺説や怨霊説が出るほど突然で、政局に与えた影響も大きなものでした。慶喜が朝廷を思うように動かせたのは、一重に孝明帝の寵愛にあったからです。」

「四候会議については、ドラマにあった様に西郷が自ら久光に要請した訳ではありません。まずは重臣会議に掛けてもらい、久光の意向を確かめるという手順を踏んでいます。そして、もし久光が応じなければ、自分は手を引くつもりで居たと言います。なんだか西郷らしくない気もしますが、それだけ政治家として成熟したという見方も出来る様ですね。」

「四候会議は、慶喜が久光を除く三候を懐柔した事で瓦解した訳ではありません。兵庫開港問題については、四候に対してあらかじめ書面で意見を言う様にと要請しており、これをもって四候が揃う前に慶喜は朝廷に勅許を願い出ていたのでした。久光はこれに猛反発するのですが、四候会議では何も決める事は出来ず、結局朝議にかけられる事になりました。慶喜にとって朝議をあやつるのはお手のもので、一気に開港へと決めてしまったのですね。」

「長州についてはなるべく寛大な処置を取るというあいまいな形で落ち着きました。四候がこうした慶喜のやり方に良い感情を持つはずもなく、それぞれが大いに不満を抱いたまま四候会議は解散となってしまいます。」

「土佐藩については、一度は薩摩と共に幕府を討つという密約を結んでいます。薩土密約と呼ばれるのがそれで、後藤象二郎が国元から藩兵を引き連れて上洛するという約束でした。しかし、容堂候が武力討幕には反対であり、これは実現していません。」

「代わりに提案したのが大政奉還で、龍馬が後藤に教えたとされています。後藤と龍馬はこの案を西郷たちに示し、了解を取り付けました。ただし、慶喜がこれを受け付けるはずも無いから、それを名目に討幕すべしというものでした。ドラマで龍馬が慶喜を褒めていましたが、実際に龍馬自身も慶喜がそこまで決意するとは思っていなかったのですね。」

「次回は近江屋事件や小御所会議など幕末史に残る重要な出来事が描かれる様です。そして、西郷の放つ有名な台詞も出てくる様ですね。ちょっと展開が早すぎてついて行くのが大変ですが、刺激的な回になりそうで楽しみです。」

 (参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著

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2018.09.02

西郷どん 第三十三回 「糸の誓い」

寺田屋で幕吏の襲撃に遭った龍馬。
薩摩藩伏見藩邸に駆け込んだお龍。
助けに向かった西郷。

薩摩屋敷に匿われた龍馬。甲斐甲斐しく世話をするお龍。
薩摩に龍馬を誘う西郷。

薩摩、西郷家。
お龍に手を引かれて帰ってきた西郷。
それを見て激怒する西郷家の人々。
龍馬の妻と知り、ほっとした一同。

伏見の一件を話す龍馬とお龍。
お龍を羨ましいと思う糸。
奔放に振る舞うお龍。

龍馬にパークスを鹿児島に呼ぶことになった、
その接待に協力してくれと頼む西郷。

大坂城。
長州再征伐の幕命を断固として断る一蔵。

病に倒れた家茂。

10万余の軍勢で長州へと進軍した幕府軍。

薩摩。
龍馬の仲間が届けたパークス接待のための酒。
療養の旅から帰ってきた龍馬とお龍。
男の姿で女人禁制の山に登ったと言うお龍。
それを聞き驚く糸。

幕府が長州に攻め入った事を知った西郷。
長崎に戻るついでに様子を見てくると龍馬。

お龍を置いて、早朝に旅立つ龍馬。
それを見とがめたお糸。
お龍を頼むと龍馬。

龍馬が居ないと飛び出してきたお龍。
危ないからと引き留める糸。
私は龍馬と死ぬまで一緒、自分の命は好きに使うとお龍。
その決意に押されて長州に向かったと糸。
お互い難儀な男に惚れたもんやなと言い、
後を追うお龍。

長州軍優勢の知らせに沸く久光たち。

数日後、鹿児島にやって来たパークス。

龍馬の用意した酒と、鹿児島の珍味でもてなす久光たち。
中でも名物としてナマコを勧めます。
気味悪げに口にするパークスたち。

数日後、突如激怒したパークス。
一人でイギリス船に乗り込んだ西郷。
西郷がイギリスに捕まったと大騒ぎの西郷家。

イギリス船。
パークスと談合する西郷。
天子と将軍、誰が国の代表か、誰と話せば良いのかとパークス。
薩摩が天子様の下にこの国をまとめてみせますと西郷。
出来るのかとパークス。
この西郷がやりますと西郷。
民をないがしろにする幕府のやり方では立ち行かない、
それはあなたの国でも同じではないのかと西郷。
やっと議論の出来る相手が出来た、
西郷、あなたを信じようとパークス。

もう一つ大事なことがある、ナマコはいけないとパークス。

パークスと固い握手を交わした西郷。

無事に西郷家に帰ってきた西郷。
喜ぶ西郷家の人々。

その夜、久しぶりに夫婦の時間を持った西郷と糸。
愛加那はどんな人だったかと糸。
自分の命を救ってくれた人だと西郷。
難儀な男に惚れた、
ずっと惚れていくしかないとお龍さんと誓ったと糸。
糸を抱く西郷。

秋、再び京に上る西郷。
その西郷に子が出来たと報告する糸。
こんな時に家を空けなければならないとはと西郷。
チェスト、きばれと糸。

「今回は龍馬の襲撃と西郷のパークス接待が描かれました。お龍はイメージどおりの奔放な女性でしたね。」

「龍馬の襲撃については、幕府方に龍馬の行動が筒抜けだった事が原因でした。幕府の密偵は龍馬のすぐ身近な人物にまで及んでおり、彼の行動はほぼ把握されていたのですね。ドラマでは省略されていましたが、襲撃された時は長州藩の三吉慎蔵が一緒で、二人で戦って脱出に成功しています。」

「この時、龍馬がピストルで応戦したのは史実どおりで、捕り方を殺してしまった事が後に龍馬をお尋ね者とし、暗殺へと繋がったとも言われます。」

「西郷の反応はドラマよりもっと激越で、自ら拳銃を携え、これから伏見奉行所を襲うと言ったと言われます。しかし、龍馬が無事と知ると一個小隊を伏見に送り、龍馬の警護に当たらせました。後に龍馬を京都藩邸に迎え入れたとき、龍馬と西郷の様子を見た三吉は親子の情を見るようだったと語っています。」

「龍馬の薩摩行きは、日本で最初の新婚旅行として知られています。糸夫人がとんな反応を示したのかは伝わっていませんが、お龍の様な奔放な性格の女性を前にして、さぞかし驚いた事でしょうね。」

「パークスが鹿児島に来たのも史実どおりです。いきさつは省略しますが、西郷の発案では無かった事は確かです。しかし、西郷が鹿児島に帰った要件の一つはパークスの接待役を務める事でした。」

「そのパークスとの談判の最中に、天皇と大君が両立している国など無いとパークスが言い、面目ない事であるがいずれ国主の下に一つの国にまとめるだろうと西郷が答えたのはドラマにあったとおりです。」

「ドラマでは出てきませんでしたが、この頃西郷は大島で煩ったフィラリアが悪化し、体調不良に苦しめられていました。西郷の鹿児島滞在が長引いた原因はそこにあったとも言われます。苦しい中でも西郷は国事に奔走しなければならなかったのですね。」

「西郷が鹿児島に居る間に将軍家茂が死去し、幕府軍が長州勢に敗れていました。慶喜は徳川家は継ぐが将軍職は継ごうとせず、将軍が空位となる事態が生じていました。西郷の上洛はそうした政局に対応するためのものでした。」

「次回はそんな政局に挑む西郷の姿が描かれる様ですね。そして遂に武力討幕へと傾いていく様です。かなりの緊迫感を持った回になりそうですね。」

 (参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著


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2018.08.26

西郷どん 第三十二回 「薩長同盟」

フランス公使ロッシュを招き、
軍艦で兵庫に乗り入れてもらいたいと依頼する慶喜。

慶喜の依頼どおりに兵庫沖に現れた連合艦隊。
異国が現れたと大混乱に陥る京。

鍵屋。
明日、将軍が参内する、異国の力を借りて天子様をゆさぶり、
長州征伐の詔を引きだそうという狙いだと一蔵。
なぜあのとき下関に行かなかったのかと後悔する西郷。

朝廷。
孝明帝に拝謁し、長州征伐の勅許を頂けなければ、
幕府は一切政から手を引く覚悟と脅す慶喜。
うろたえる孝明帝。

岩倉。
とうとう長州再征伐の詔が下った、
お前がいつまでも長州と手を組まないからだと西郷を責める岩倉。
長州が攻められる前に打つ手は無いかと西郷。
どう考えても幕府の勝ち、いっそ一橋と手を組もうと岩倉。
得意のはったりだ捨て置けと一蔵。
そのとき、倒れてしまった一蔵。
持病の胃痛だ、おめかけさんのところへ連れて行けと岩倉。

一蔵を家まで連れ帰った西郷。
出迎えたのは繁の家のゆう。
とにかくこんな仲になったと一蔵。

ここは藩の者も知らん、密談にはもってこいだと一蔵。
密談とは、非義の勅命は勅命にあらずという事でした。
それを薩摩藩の意思として天下に広めると一蔵。
そんな事をしたら天子様に弓を引く事になる、
幕府からも狙われ、大久保一蔵は日本中を敵に回すぞと西郷。
自分たちは間違っていない、たとえ一人でもやると一蔵。
恐ろしい男だと西郷。

諸藩、公家の間に広まった二人の名の入った書き付け。
それを見て喜ぶ者、怒る者。
様子見に走った諸藩。

長州。
その文を見ても、薩摩の事など二度と信じないと桂。

薩摩。
長州と手を組むのは断じて承服出来ないと海江田。
もちろんだと大山。

次の一手として、亀山社中を訪れた西郷。
桂に会わせるのはもう無理だと龍馬。
商いの話だ、薩摩名義で武器弾薬を買い、
それを長州に売るという許しを国父様からもらってきたと西郷。
国父を説得してきたとは大したものだと龍馬。
その代わり薩摩から長州に頼みがある、米が欲しい、
その取引の仲立ちを龍馬にして欲しい、儲けもあるはずと西郷。
それを聞き、手を出す龍馬。
あっけに取られる西郷。
シェイクハンドぜよと龍馬。
龍馬と握手し、今度こそは桂殿とシェイクハンドがしたいと西郷。

長州。
桂の下に急ぎ、ゲベール銃とミニエー銃の威力の違いを見せ、
桂を説得しようとする龍馬と中岡。
あの時の屈辱は死んでも忘れない、
長州の次は薩摩、その時になって我らの苦しみを知るが良いと桂。
いい加減にしろと桂に掴みかかる龍馬。
商さえ出来れば良いと思っている男に、侍の意地が判るかと桂。

立ち去ろう手とする伊藤を呼び止め、
イギリスに行っている留学生からの手紙を渡す龍馬。

ミニエー銃を投げ捨て、薩賊の手を借りなければならないのなら、
皆で討ち死にだと叫ぶ長州兵たち。
それを見ている桂。

慶応二年一月早々。
京にやって来た桂と伊藤。

鍵屋。
薩摩側、西郷、一蔵、小松帯刀、桂久武。
長州側、桂と伊藤。
土佐藩、龍馬。

次々と同盟の条件を挙げていく桂。
その中に含まれていた幕府と決戦に及ぶ事という一条。
これでは薩摩が謙りすぎだと一蔵。
さすがにやり過ぎだ、フェアに行こうと龍馬。
長州は朝敵にされた、置かれている立場は違うと桂。
最初から薩摩と手を組む気は無いのではと一蔵。
この話は無かった事にするかと桂。
すべて桂殿の言うとおりだ、明日返事をさせてもらうと西郷。
もう約束は違えない様にと桂。
必ずと西郷。

こんな大それた事を我らだけでは決められないと久武。
国父様に問うても怒られるだけと一蔵。
国父様が決められたのは幕府には従わないという事と帯刀。
ここにははっきり幕府と戦うと書いてある、断るしかないと久武。
これは桂殿が恥も悔しさも捨てて書かれたものに違いない、
それをないがしろにしては恥知らずと罵られる、
ここは腹を括ろうと西郷。
明日は長州から頭を下げるまでは何も言ってはならない、
これだけは譲れないと帯刀。

再び鍵屋を訪れた伊藤。
彼が西郷に差し出したのは、留学生たちからの文でした。
その文と写真を見て、まさかこんな事がと西郷。
これを中山家にお届けをと伊藤。
これを明日話し合いの場に持ってきてくれと西郷。

翌日、お花畑。
意地の張り合いで一言も発しない両藩。
そこに乱入してきた海江田。
なぜ我らを薩賊と呼ぶ朝敵と手を組まなければならないと海江田。
海江田に同調し、口々に叫ぶ薩摩藩士たち。
いい加減にせんかと一喝する西郷。

長州と手を組むのは日本のため、
お前たちが変わらねばこの国の先は無いと西郷。

我らが手を組む日は遠いようだと桂。
そんな事はないと伊藤を促す西郷。

伊藤が取り出したのは一枚の写真。
そこに写っていたのは長州と薩摩の留学生たちでした。
彼らは遠い異国で暮らす内に打ち解け、
この国の行く末について話し合うようになったと伊藤。
この若者たちはとっくに助け合っていると西郷。
薩摩も長州も異国の恐ろしさは良く判っているはず
遠い異国の若者たちを見習って手を組みやと龍馬。

桂に向かって頭を下げた西郷。
西郷に並んで頭を下げる一蔵、帯刀、久武。
これは我らの負けだと桂。
やっぱり侍とは面倒なものだ、
西郷さん今ですき、シェイクハンドと龍馬。

西郷の前に座り、よろしう頼むと手を出した桂。
こちらこそお願いしもすと握り返した西郷。

一蔵に手を出した龍馬。
その手を握った一蔵。

一月二一日。
今日より薩長両藩は日本のために力を尽くすという一条を加え、
締結された薩長同盟。

「今回は薩長同盟が締結されるまでが描かれました。従来は龍馬が発言を渋る西郷を一喝して事が進むという展開が多かったのですが、今回は一枚の写真をきっかけに事態が動くという新しい描かれ方がされました。」

「龍馬の一喝については、最近の研究で否定的な見方が多くなっている様です。それを裏付ける一次資料が無いからで、今度のドラマではどうするのかしらんと思っていたのですが、写真という小道具をもってそれに代えました。史実とは違うでしょうけど、薩長両藩が同時期に留学生を送っていたのは確かで、面白い描き方だと思いました。」

「ただ、この盟約をもって薩摩藩が倒幕に梶を切ったと見るのは早計で、いわゆる決戦条項はあくまで一会桑に対する戦いを挑むというものであり、幕府本体に対してではありません。もっと絞れば薩摩藩対会津藩の戦いであり、当時の京都政界を牛耳っていた勢力を、京都から一掃するというものでした。」

「西郷が主役のドラマですから西郷が主導権を取るのは当然ですが、大久保の凄みもだんだんと描かれる様になってきました。「非義の勅命は勅命にあらず」とは大久保が久光に宛てた報告書の中で書かれた言葉ですが、西郷をはじめ、龍馬を経由して長州藩にも伝えられるなど、当時からかなり知られた言葉だった様です。相当に思い切った言葉であり、まさに恐ろしか男でした。」

「また、本来は西郷以上に重要な働きをしたと言われる小松帯刀が、このドラマでは矮小化されているのが少し可愛そうですね。西郷にしても大久保にしても、小松という後ろ盾があって、初めて彼らの仕事が出来たのでした。」

「サイドストーリーですが、おゆうと一蔵の関係は史実どおりです。お虎も本当は西郷のおめかけさんだったのですけどね、それでは視聴者が許さないのかな。」

「次回は龍馬とお龍の新婚旅行が描かれる様ですね。そういえばお龍さんはまだ出てきてなかったのだっけ。どんなお龍さんが出てくるのか楽しみです。」

 (参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著

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2018.08.19

西郷どん 第三十一回 「龍馬との約束」

海舟の名を騙って、西郷に会いに来た龍馬。
行き場を失った自分を買わないかと龍馬。

薩摩、西郷家。
西郷の無事を案じながら待つ糸たち。
龍馬を伴って帰ってきた西郷。

雨漏りする家に驚く龍馬。
家を修繕するより、他人を助ける事を優先するためだと聞き、
西郷が気に入ったと龍馬。

雨漏りの修理を手伝う龍馬。
日本の雨漏りを直したいと西郷。
雨漏りを直すみたいに幕府を潰すと言うのかと龍馬。

船に乗って世界中と商いがしたいと龍馬。
龍馬が大手を振って商いが出来る様な国にする、
力を貸して欲しいと西郷。
薩摩が自分を買ってくれたらと龍馬。

京。
長州再征のため、将軍上洛を諸藩に告げる慶喜。

薩摩。
御前会議。
幕府の命には従わぬが得策と西郷。
薩摩は兵を出さない、幕府を担ぐのはやめにしたと久光。

幕府はいずれ自滅する、その時こそ薩摩が天下に号令を下す、
斉彬公すら出来なかった事を久光公がするのだと説得した一蔵。


久光と茂久に龍馬を拝謁させた西郷。
海軍再建のために龍馬は使えると西郷。
船を貸してもらえたら、異国から武器でも船でも買ってくる、
自分は商人だ、幕府から目を付けられる事もない
自分を買ってくれないかと龍馬。

長州が潰されれば、次に狙われるのは薩摩と一蔵。
答えは見えている、長州と手を結ぶしかないと西郷。
長州は薩摩を憎んでいる、打つ手はないと一蔵。

打つ手はあると龍馬。
長州には知った顔がある、
自分が薩摩と長州の手を結ばせてやると龍馬。
渡りが付いたら、すぐにも長州に行くと西郷。

夜明け前、西郷家を発った龍馬。

ひと月後、京。
有力公家へ宛て、長州征伐の不可を説いた文を書いた岩倉。
それを届ける一蔵。中川宮には気をつけろと岩倉。

中川宮邸。
金子も受け取らず、快諾した中川宮。

薩摩、西郷家。
修繕に忙しい西郷たち。

下関、白石邸。
桂と再会した龍馬。

武器は要らないかと龍馬。
是非欲しいと桂。しかし、手立てが無いと桂。
薩摩から借りた船で商いをする、
自分が外国から買った武器や船を長州が買えば良いと龍馬。
薩摩だけは許せんと桂。
西郷まで憎んではつまらんぜよと龍馬。

薩摩、西郷家。
必ず無事に帰ってきてくれと糸。

そこにやって来た中岡慎太郎。
龍馬からの手紙を手渡す中岡。
文の中身は、下関に来ればすぐに桂に引き合わすと龍馬。

下関に発つ西郷。
そこに入った一蔵からの火急の知らせ。
将軍上洛ですぐにも勅命が下りそう、力を貸してくれと一蔵。

鶴丸城。
大山と海江田に、名代として下関に行って欲しいと頼む西郷。
しぶる大山に、自分が行くと文を預かった海江田。

京、二条城。
諸藩を前に、長州征伐の事は重大事ゆえ、我ら一同再度話し合い、
奏上せよとの詔を伝える慶喜。

廊下。
一蔵に声を掛け、岩倉から中川宮に宛てた手紙を投げ出す慶喜。
中川宮は慶喜と裏で繋がっていたのでした。

岩倉とつるんでいる事以外に、
薩摩が長州と手を組もうとしている事まで知っていた慶喜。

鍵屋。
西郷の帰りを待っていた龍馬。

下関に来なかった西郷を責め、
桂がどんな気持ちで待っていたかと龍馬。
文は届いていないのかと西郷。
文が来たとしても、桂の気持ちが変わる思っていたのかと龍馬。
桂は何とと一蔵。
桂は何も言わずに下関を去ったと龍馬。
桂に会いたい、会って心を尽くして謝りたいと西郷。
西郷さん、おまんの信用も義理も人情も、何もかも失ったと龍馬。

鶴丸城。
下関に行かなかった海江田を責める大山。
間違っているのは西郷だと海江田。

長州。
事の首尾を桂に問う藩士たち。
黙って歩く桂。

鍵屋を去る龍馬。

なぜ桂の気持ちに応えなかった、おいは天に甘えちょったと西郷。
もう一度桂と会うんじゃろ、
どんな事があってもやり遂げるのが吉之助さあだと一蔵。
おかげで自分まで付き合わされてしまった、
天が味方しないときはおいが味方してやると一蔵。

チェスト、きばれと一蔵。

「今回はいわゆる西郷の下関すっぽかし事件が描かれました。薩長同盟を一度は危うくさせたこの事件は、西郷の思いを巡って様々な説が唱えられています。」

「その前に、龍馬が薩摩に行ったのは、海舟が行き先を失った海軍伝習所の浪人たちの世話を、西郷に頼んでおいたからでした。薩摩にとっても船乗りたちが欲しかった時期であり、両者の利害が一致したのでした。決して、龍馬が自ら売り込んだ訳ではありません。」

「ドラマでは薩長同盟に熱心な西郷ですが、実際にはそこまで熱意を持っていた訳では無かった様です。最も熱心だったのは龍馬や中岡たち土佐浪士たちで、中でも中岡がその中心でした。西郷は彼らの説得により、やや消極的ながらも長州と手を組む事に同意したと言われます。」

「ドラマでは海江田に文を託した西郷でしたが、実際には佐賀関で京からの急報に接し、中岡の懸命な説得にも関わらず京に向かったのでした。一説には西郷にとっては長州と手を組む事よりも、長州征伐を止める事の方が急務だったのではないかと言われます。しかし、これには諸説があり、例えばいまだ西郷にはまだ長州と手を組む事に迷いがあったのではないかと言う説もあります。」

「桂としては、龍馬の説得により、恨みを飲んで西郷と会う事にしたのでした。しかし、それをすっぽかされた桂のむくれようは一通りではなく、再度西郷と会わせるための龍馬たちの苦労は並大抵では無かったと言います。」

「ドラマでは薩摩と長州が手を結ぼうとしている事が慶喜にまで漏れていましたが、実際にも幕府はその動きを掴んでいました。それほど幕府の諜報能力は優れており、龍馬の存在も活動もまた幕府方に知られていたのでした。」

「ドラマの西郷は、天に甘えていたと言っていましたが、天を敬う西郷としては痛恨事だったのでしょう。次回はいよいよ薩長同盟が結ばれる様です。その時、西郷や龍馬がどう動くのか、楽しみに待ちたいと思います。」

 (参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著

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2018.08.12

西郷どん 第三十回 「怪人 岩倉具視」

一橋派を朝廷と切り離すべく活動を始めた西郷。
しかし、肝心の孝明帝が慶喜を信頼しきっており、全く上手くいきません。
その最中、ヤモリとあだ名された岩倉具視の名を聞いた西郷。

岩倉村。
岩倉に金を届ける一蔵。
その金をひったくるようにして受け取り、
このままでは終わらないとつぶやく岩倉。

薩摩藩邸。
民草は天子様の子であり、身分の差は無い、
そう記した岩倉の手紙を読み、会わせて欲しいと一蔵に頼む西郷。
あれはただの物乞いだと一蔵。

岩倉はかつて和宮降嫁を実現させた凄腕でした。
しかし、その後政争に敗れ、都を追い出されたのでした。

岩倉隠棲地。
岩倉を訪ねてきた西郷と一蔵。
一歩足を踏み入れたとたんにくせ者避けの罠にかかってしまいます。
高笑いする岩倉。

岩倉に飯を振る舞われる西郷と一蔵。
毒が入れてあると言われ、思わず吹き出す西郷。

西郷の素性を詳しく知っていた岩倉。
侍の世は終わると岩倉。
斉彬も同じ事を言っていたと西郷。

幕府は要らないと思っているのかと西郷。
そんな話で来たのかと岩倉。
金を差し出す西郷。
それを受け取り、力になってやろうと岩倉。

夕方。
賭場を始めた岩倉。

岩倉に誘われ、賭けを始めた西郷。しかし、連戦連敗です。

賭場の客で連勝続きの男。
それは桂小五郎でした。

賭場の帰りに桂に追いついた西郷と一蔵。

長州と手を組みたいと思っていると西郷。
薩摩に恨みこそあれ、話す事などないと桂。


刀を抜き、一触即発の桂と一蔵。
間に入ってその場を納めた岩倉。

幕府に勝つための方法を教えてやる、その前に金をと岩倉。
自分は帰ると一蔵。
西郷には博打の負け分を返せと、御庭番を命ずる岩倉。

慶喜邸。
慶喜を江戸に戻すための使者。
その命令文を破いた慶喜。
自分が京に居るのは天子様のお望みだと慶喜。

ふきにサボンを贈ってやる慶喜。
どこか不満げなふき。

一人、岩倉の下で雑用をこなす西郷。
汚い納戸。そこに隠されていた立派な着物。

箱に隠されていた有力者たちへの手紙。
そこには倒幕もやむなし、
そのためには長州と薩摩の手を握らせる必要があると書かれていました。

すべては夢物語だと岩倉。
すべては天子様の御心次第と西郷。

自分は蟄居、息子たちも閑職の身、岩倉家は天子様に嫌われたのだと岩倉。
岩倉の考えはこの国に要りようだ、必ず天子様からの呼び出しがあると西郷。
自分は日の目を水に死ぬ運命、帰れと西郷を追い返した岩倉。

岩倉の夥しい手紙を前に考え込む西郷。
あの男は駄目だ、もう諦めろと一蔵。
あの着物は、いつ呼美戻されても良い様に手入れがしてあると西郷。

岩倉家。
西郷の負け分の金を持って岩倉を訪ね、もうこれっきりだと一蔵。
そこに大勢の二才たちを釣れて現れた西郷。
彼らは岩倉の手紙を読んで感激してやって来たのでした。
話を聞かせてくれと願う一同。
そこに書いてある事はみんな嘘、自分は天子様から忘れられた身だと岩倉。
そこに現れた岩倉の息子、周丸。彼は天子の勘気を解かれ、
天子様の近くに戻れたと告げます。
そして、天子様の言葉として、岩倉の事は決して忘れていないと伝えました。
感激のあまり叫びながら、
今ずく天子様にお会いしたいと御所に向かって拝跪する岩倉。
そしてすぐに立ち直り、麻呂の有り難い話を聞かせてやる、
その前に木戸銭だと岩倉。

このままでは終わらないと岩倉。

「今回は岩倉具視との出会いが描かれました。実際の出会い方がどうだったかは判りませんが、ドラマ仕立てとしては面白かったと思います。特に笑福亭鶴瓶の怪人ぶりが見事にはまっていますね。」

「岩倉具視の隠棲地には先日訪れてきましたが、岩倉実相院近くにありました。今は周辺は開けていますが、当時は周辺に何も無い片田舎だった事でしょう。また、現在はすっかり手を入れられて綺麗になっていますが、たぶんひどいあばら屋だったものと思われます。」

「岩倉は元々は幕府寄りの公家で、公武合体の象徴としての和宮降嫁に力を尽くした事で知られます。公家の中では辣腕家とされていましたが、尊王攘夷派が台頭して来ると政争に敗れて失脚し、都から追放されてしまいます。」

「蟄居後は、尊攘派からの襲撃に怯えながらも、かつての辣腕ぶりを知る薩摩藩などが接触を図り、その影響から幕府寄りから反幕的な立場へと変貌を遂げます。」

「ドラマでは屋敷で賭場を開帳していましたが、実際にもそうだったようですね。というより、下級公家の間では当たり前の事だったとか。岩倉と言えば喧嘩上手で知られますが、そうした賭場に出入りする様な階層との付き合いが岩倉をして公家らしくない人物像を形作ったのかも知れません。」

「慶喜が孝明帝の信認を厚く受けていたのは有名な話で、幕府の生命線でもありました。この二人の仲を裂くことなど容易な事ではないのは誰の目にも明らかでした。逆に言えば、反幕派にとっては、他ならぬ天皇その人が大きな壁となっていたのです。」

「桂と西郷、大久保のやりとりはす完全な創作です。お互い名は知っていたでしょうけど、実際に会った事はあるのかしらん。その辺は謎ですね。」

「次回はいよいよ龍馬が出てくる様ですね。主役ではないけれど、やはり龍馬が出てくるとなるとわくわくするなあ。ちゃんと活躍の場を与えてあげて欲しいものだと願うばかりです。」

(参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著


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2018.08.05

西郷どん 第二十九回 「三度目の結婚」

1年ぶりに鹿児島に帰った西郷。
数々の活躍により、すっかり人気者になっていました。

茂久と久光に拝謁した西郷。
上機嫌の茂久に対し、未だに西郷にわだかまりのある久光。
形ばかりの久光の言葉に、丁重に礼を言う西郷。

とある河原。
もはや幕府は要らない、潰すしか無いと西郷。
驚く一蔵。
力を貸してくれと西郷。
とてもついて行けないと一蔵。

子供たちと鰻獲りに興ずる西郷。
その様子を橋の上から見ている糸。
何やら大荷物を持たされています。
兄嫁から急かされる糸。
その様子を見ていた一蔵。

西郷の帰りを祝う宴。
顔を見せない一蔵。
一座を切り盛りする吉二郎の嫁の園。
兄も嫁を取ってくれと琴。
嫁取りの話で盛り上がる一同。

翌日、山のように集まった西郷の嫁候補。
そこに現れた雪蓬。
西郷の口利きで赦免になったのでした。
そのまま西郷家に居着く雪蓬。

西郷に嫁取りを迫る琴。
島に妻と子が居ると西郷。
西郷家の跡取りはどうするのかと琴。
西郷家に跡取りをと頼む吉二郎。

鶴丸城。
幕府からの参勤交代の命を受け、激怒する久光。
自分が幕府と掛け合って取りやめさせたはずなのに、
長州征伐に成功したために幕府は思い上がった、
つまりは西郷のせいだと久光。
久光の言いかかりに、泣いて詫びる西郷。
その様子に驚く久光。

一蔵に京に行き、西郷の尻拭いをしてやれと命ずる久光。

廊下。
西郷を掴まえ、国父様の懐に入るつもりかと一蔵。
慶喜は再び長州を征伐するに違いない、
そうなれば薩摩にも出兵命令が下る、
しかし、薩摩は長州の味方に付くと西郷。
気は確かかと一蔵。
国父を動かすためなら媚びも売る、偽りの涙も流す、
力を貸してくれと西郷。
ためらう一蔵。

そこに現れ、今や薩摩を代表する西郷に嫁も嫡子も居ないのは恥だ、
早く嫁を取れという君命を伝える久武。

考え直せと言い捨てて去る一蔵。

大久保家。
嫁取りの話で来ていた琴。
自分も明日京に上る、西郷も近く京へ行く、
嫁を選んでいる暇はないと一蔵。

満寿に糸の事を調べておいてほしいと頼む一蔵。

西郷家。
嫁を取れと西郷を責める琴。
そこに現れた満寿。一緒に来たのは岩山直温と糸。

糸の幼い頃の話がはずむ一同。
離縁されていた糸。
それを聞き、これ以上の嫁は無いと盛り上がる一同。
一人煮え切らない糸。
突然産気づいた園。
得意の足で、産婆を呼んできた糸。

ますます西郷の嫁にと一同。
私は跡継ぎが産めずに離縁された身、
西郷家の嫁には相応しくないと糸。

翌日、岩山家を訪れた西郷。
糸に嫁に来てほしいと西郷。
自分は子が産めないために離縁されたのだと糸。
そんな事は天に任せようと西郷。
私を哀れんでくれているのかと糸。
自分は今日本中がひっくり変える様な事を考えている、
民のための国を作ろうとしていると西郷。
一蔵には判ってもらえなかった、しかし、糸になら判ってもらえる、
一人でも判ってくれる人が居たら心強いと西郷。
すんもはんと糸。
無理をいうたなと立ち去る西郷。

西郷家。
糸に断られたと一同に詫びる西郷。
何と言ったと雪蓬。
惚れる暇はないと言ったと西郷。
非難を轟々と浴びる西郷。

岩山家。
糸に西郷は今日旅立つそうなと直温。
今度はお前が決めたら良いと直温。

西郷家へ走る糸。
京に立ったと聞き、後を追う糸。
橋の上で追いついた糸。

あの家でお帰りを待っています、
西郷吉之助と一緒に新しい国を見たいと糸。
ふつつかものですが、よろしくおねがいしますと糸。
ありがとうと西郷。

そのまま京に向かう西郷。
西郷吉之助、チェストー、気張れと糸。
笑って行く西郷。

「今回は糸との結婚までが描かれました。序盤に散りばめられていた伏線がここで回収されましたね。足が速いというのは得な事なんだな。」

「糸とのなれ染めは無論すべて創作です。当時の嫁取りは家と家の縁組みであり、個人的な感情はほとんど無視されていました。岩山家との縁組みも、西郷家の家格が上がり、岩山家と釣り合う様になった事が大きかったかと思われます。」

「もっとも、それではドラマになりませんから、最初からこの展開は意図されていたのでしょう。可愛そうなのは愛加那ですが、当時の薩摩にあってはいかんともし難く、西郷も苦悩した上での決断でした。また、これもドラマには出てきませんでしたが、この時期西郷は菊次郎に対して手紙を出しています。やはり、奄美大島に残してきた妻子に対する思いは複雑なものがあった様です。」

「それにしても西郷の成長ぶりには芽を見張るものがありますね。久光を地ごろと罵った頃とは一回りも二回りも大きくなっています。まさに革命家としての凄みが付いたというべきでしょうか。」

「幕府が参勤交代を再開しようとした事は事実で、ドラマで久光が言った様に長州征伐に成功した事が大きな要因でした。一蔵がその阻止のために京に派遣されたのも史実どおりです。」

「ドラマでは説明が無かったのですが、西郷が福岡経由で京に上ったのは、五卿(八・一八の政変時に都落ちした七卿の内の五人。一人は死亡し、一人は生野の変に参加し、残りは5人となっていました。)の取り扱いについて協議するためで、福岡藩の五卿に対する待遇の改善、そして幕命による五卿の出府に対処するためでした。ドラマにあったように、この時期の西郷は多忙を極めていたのですね。」

「次回は岩倉具視が出てくる様ですね。笑福亭鶴瓶が演じる岩倉はなかなか面白そうです。どんな怪人ぶりをみせてくれるのか楽しみです。」

(参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著

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