江~姫たちの戦国~46 希望
(死の床にある正信。彼は秀忠に鬼に成れ、身内に厳しくせよ、処分する時は容赦するなと言い残します。そして、江に対する隠し事を正直に話せと言って事切れました。)
(家族を前に、世継ぎを竹千代とすると宣言する秀忠。彼は何より長幼の序を大事にする事を徳川の家訓と定めたのでした。)
(這い蹲って江に礼を言う福。その手を取って竹千代を将軍に相応しく育ててくれと頼む江。)
(ほっとしたと江。竹千代の次は千だと初。)
(ふさぎ勝ちな千を見て、どうしたものかとため息を付く江。)
(久しぶりに現れた龍子。千の様子を聞いた彼女は、嫁に出せばよいと言い出します。あきれる江に、夫で傷ついた心は夫で癒すのが一番、江もそうだったでしょうと龍子。)
(秀忠に龍子の話をする江。相手として本多忠刻を挙げる秀忠。そして、千を説得してくれと江に頼みますが、自分でなさりませと断られます。)
(千に婚儀を薦める秀忠。黙っている千。泰平の世を保つ為、そして母になる喜びを知って欲しい為にこの嫁入りを薦めていると秀忠。何も答えない千の肩を軽く叩いて出て行く秀忠。)
(嫁に行き、子をもうけるなど秀頼への裏切りにほかならないと千。ならば私はどうなるのだと江。自分の半生を振り返り、今はこれで良かったと思っている、秀頼もそなたの幸せを願っているはずと江。)
(元和2年、秋の末。千を嫁に出す秀忠。今度こそ幸せに成って欲しいと秀忠。今でも父を許す事が出来ない、でも忠刻が父の様な人であって欲しいと千。私のような良い男が居るわけがないと誤魔化す秀忠。)
(元和3年6月。上洛した秀忠。姫路を預かる池田氏に対して、因幡への国替えを命じます。)
(急な国替えはどうかと江。ゆるぎない泰平を守る為だ、池田家の当主は姫路を任せるには幼すぎると秀忠。そして、強い幕府であるためには、諸大名に余力を持たせぬ事だと語ります。力で押さえつけるやり方は、秀忠には似合わないと江。やらなければならない事だと譲らない秀忠。その後、20以上の大名の所領を没収した秀忠。)
(廊下で常高院を捕まえ、秀忠に隠し子が居ると耳打ちする福。驚く常高院。今は保科氏に預けられ、幸松と名付けられていました。母親は大姥局の侍女で、生まれてすぐに養子に出され、ひそかに育てられたのでした。何があっても江に言ってはならないと釘を刺す常高院。しかし、物陰でそれを聞いていた江。)
(秀忠を問い詰める江。いずれ折を見て話そうと思っていたと秀忠。以前に子が出来た時、二度と側室は持たないと誓ったはずと江。すまぬとひたすら謝る秀忠。どうしても許さないと江。どうすれば良いと秀忠。知らぬと江。)
(過ぎた事だと江を宥める常高院。以前高次が側室に子を産ませた時、大泣きしていたではないかと江。あの時は私も辛かったと思い出す常高院。黙って廊下に出る江。)
(所領巡検のために江戸を離れる秀忠。家族を前にあいさつをしていますが、江を気遣っておどおどとしています。それを子供達に見透かされる秀忠。終始不機嫌な江。)
(国松と剣の稽古に励む竹千代。二人を眺めている江。子供達を見ているのは良いものだと常高院。国松よりも幼い子が外に居ると思うと、と江。そこに目通りを願い出てきた佐治一成。)
(久しぶりの対面を果たした二人。自分のような者が出て来て良かったのかと一成。私たちは従兄弟同士でもあるのだと江。一成は信包に仕えた後、信長の側室の娘を嫁に貰い、今では嫡男も授かっているのでした。江に今は幸せでしょうと問う一成。実は、と隠し子の事を話す江。)
(よほど秀忠の事が好きなのだろう、信長に対しても秀吉に対しても真っ直ぐに立ち向かったのが江、心の命ずるままに動いてはどうかと一成。)
(隠し子に会うと言いだした江。引き止める常高院。しかし、江は幸松を呼んだ後でした。)
(幸松と対面した江。口上を述べながらも震えている幸松。そのいたいけな姿を見て近づき、肩を抱いてやる江。)
(江が幸松をを呼んだと知り驚く秀忠。急いで奥に行くと、そこには双六で仲良く遊ぶ江と幸松の姿がありました。秀忠を見てかしこまる幸松。幸松を見て、そなたがとつぶやく秀忠。そっと微笑む江。)
(仲良く遊ぶ竹千代と国松と幸松。それを眺めている江と秀忠。幸松がなぜ最初から仲良く暮らせなかったのか、それは自分の狭い了見のせいだったと江。そして、表向きとは切り離した、一家を守ってくれる場所を持ちたいと願い出る江。それは正室も側室も隔てなくという事かと問う秀忠。子供達もだと江。その事は江にまかすと秀忠。これが後の大奥法度の基となったのでした。もう一つ、江に大きな仕事が出来たと秀忠。)
(仕事とは、娘の和を天皇の后とすることでした。和に意向を確かめる江。父と母の役に立つのならと和。泰平の世を築く為には朝廷の力を借りる事も必要だと江。しかし、自分自身のためでもあって欲しいと江。自らを振り返り、今は幸せだと感じている、そなたもそうあって欲しいのだと江。)
(忙しくなるぞと常高院。張り切る福。ついでに竹千代の嫁選びを始めてはどうかと言い出す常高院。とまどう江。喜ぶ福。)
(大奥の仕組み造り、和の入内、竹千代の嫁選びと大忙しの江。)
(元和6年5月。後水尾天皇の后となるべく旅立つ和。)
(同年9月。そろって元服し、家光、忠長と名を改めた竹千代と国松。)
(家光に跡を継がせる為に動き出した秀忠。その手始めとして、正純の領地を没収し、出羽に流罪としました。次いで、娘の勝の嫁ぎ先である松平忠直を隠居させ、豊後に追放します。)
(娘の嫁ぎ先に対する仕打ちに異議を唱える江。政に口を出すなと秀忠。)
(母に声を掛け、父がやっている事はすべて三代目である私のためである。これから泰平の世が続いていくかとうかは自分の代でどこまでやれるかに懸かっていると考えて心を鬼にしているのだ、父を信じてやって欲しいと説く家光。子の成長を喜ぶ江。)
(廊下で佇む秀忠に、そっと寄り添う江。)
(元和9年7月。3代目将軍となった家光。)
(家光の将軍就任を言祝ぐ福。今日があるのは皆のおかげと江。)
(大奥を取り仕切ってもらいたいと福に頼む江。大役を見事に果たし、天皇への使いまで勤め上げ、春日局となった福。)
(元和9年12月20日。家光の正室として、鷹司家から孝子を迎えた江。)
(京、高台寺。臥所の中で、龍子から江の近況を聞く高台院。江は女としての栄華栄達を極めたと龍子。こうなる事は、なんとなく判っていた気がすると高台院。寛永元年9月、高台院永眠。)
(高台院の死を聞き、在りし日を偲ぶ江と秀忠。日本を作り替えたのは、おねであったかも知れないと秀忠。同意する江。)
(30年の夫婦生活を振り返り、ようやく泰平の世を迎えられたと感慨に耽る二人。太平の世を望むなら、まずは自分の心が穏やかでなければならないと判ったと江。)
(娘時代を振り返り、懐かしむ常高院。)
(秀忠と乗馬で出かけた江。)
(青空の下、秀忠と語り合う江。泰平の世をもたらしてくれたと秀忠に感謝する江。思うまま、あるがままに生きよ、かつて信長に言われた事を今日から始めると江。そなたは私の希望だと秀忠。一人で馬を駆ろうとする江。私の所に戻って来いよと声を掛ける秀忠。他に帰るところはありませんとにこやかに答える江。)
(どこまでも駆けていく江。いつの間にか馬に乗って現れた市。暫く娘の後を追った後立ち止まり、後ろ姿を見送ります。夕日が差す中、いつまでも駆け続ける江。)
とうとう最終回を迎えました。予想どおり、最後はみんな良い人になって大団円というパターンで締めましたね。ハッピーエンドで終わるのは大河では珍しいケースですが、実際に栄華を極めて亡くなった人物であっただけに、当然の結果とも言えます。まあ、あまりにも美化し過ぎたというきらいはありますが、これまでが不当に貶められてきたとも言え、バランスを取るにはこれくらいでも良かったのかとも思えます。
でも、最後の回は余りにも詰め込み過ぎで、本来ならドラマの後半はこのあたりを重点的に描くべきではなかったのかしらかん?なぜなら、江が初めて能動的に動いた回であり、江を主役として描くのならここしかなかったのではないかと思えるのです。そうしなかったのは、戦国絵巻ではなく大奥絵巻になってしまうからだったのかな。
振りかえって、このドラマにおける江の役割とは何だったのでしょう。常に傍観者の立場であり、様々に口出しはするけれども、大きな流れには関与しない。そして、歴史の流れに身を任せている内に、いつの間にか天下第一の女人と呼ばれる様になっていたというのが正直なところではないのでしょうか。秀忠を支えたと言えば言えるのかも知れないけれど、彼を一人前にしたのは結局のところ家康でしたからね。
言うなれば狂言回しの役目だったのかな。江はほとんど憂いてばかりでしたが、周囲の人物は活写されていたと言えますからね。特に終盤の淀殿は素敵でした。淀殿を主役に据え、妹の江は対照的な人生を歩み、幸せに暮らしましたという展開でも良かったのではと言うと叱られるかな。
そう感じるのは、やはりあまりにも良い人に描き過ぎたからなのでしょう。どんなに憤っていても、相手の言い分を聞くとすぐに納得してしまう。素直で思いやりのある人物として描きたかったのでしょうけど、生きた人物として伝わってこなかったのも事実です。むしろ、自由な立場を得た初の方が面白かったかな。
少し史実に触れておくと、兄弟仲良く過ごしていた家光と忠長ですが、このあと二人は対立する様になり、最後は家光が忠長に切腹を命じるという結末を迎えます。それは江が亡くなった後の事ですからこのドラマとは直接関係ないのですが、あまりに天下泰平を強調されると、そうでもなかったんじゃと言いたくなりますね。
また、佐治一成が江に会いに来たというのは完全に創作で、いくら何でもやり過ぎだったのではないでしょうか。たぶん、江と縁のあった人物はなるべく登場させたいという狙いがあったのでしょうけど、あまりにも非現実的に過ぎます。
ただ、一成が江と別れた後も生きていたというのは事実で、最後は京都で亡くなっている様です。享年66歳でした。また、信長の娘と結婚したという話は知らなかったのですが、ウィキペディアを見ると確かにそう書かれていますね。そうした後日談を視聴者に伝えようとしたのだろうけど、この演出はどう考えても無茶でした。
などなど色々不満はあったけれど、全46回を通してみれば、壮大な絵巻を見せて貰ったという気がしています。考えてみれば、豊臣、徳川双方を主体的に連続して描いたのは、このドラマが初めてだったかも知れないですね。その意味では江を主役に選んだのは間違いではなかったのかも知れません。戦国時代の面白さに、改めて気付かせてくれた江に感謝です。
さて、一年間このレビューにお付き合い下さり、ありがとうございました。期間を通じて頂いた沢山のアクセスを励みに、ここまで完走する事が出来ました。日曜毎に続けてきた作業が無くなるのは、ほっとすると同時に寂しくもありますね。大変な時もあったけれど、とても充実した時間を過ごせたとも思っています。登場人物と気持ちをシンクロさせるのは、歴史を追体験している様で楽しくもありましたからね。
最後に感謝の気持ちを込めつつ、ひとまず大河ドラマのレビューを終えたいと思います。
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