京都・洛西 秋の特別拝観2018 ~仁和寺~
御室・仁和寺で秋の特別拝観が行われています。特別拝観自体はこれまでにも何度となく行われてきており、金堂や経堂は私も拝観した事があります。しかし、今回初めて一般公開されるものがありました。それが金堂裏の五大明王壁画です。
金堂は元は御所の紫宸殿だったものを移築した建物で、蔀戸などにその名残を見る事が出来ます。内部は内陣と外陣に分かれており、出家者の世界である内陣には阿弥陀三尊像が配され、壁には荘厳な壁画が描かれています。一般の参拝者が入れるのは外陣までで、これまでの公開でも入れるのは外陣だけでした。しかし、金堂にはもう一つの部屋があったのですね。
それが内陣裏の部屋で、その存在はこれまで一般には知られていませんでした。そこに描かれているのが五大明王図で、普段は暗闇に閉ざされた部屋にひっそりと存在し続けてきたのですね。
明王とは密教独特の信仰対象で、それぞれ仏が化身した姿とされます。正面左から順に、
1.金剛夜叉明王
馬の様なたてがみと牙を持ち、その牙で一切の苦しみや悪、煩悩を噛み砕いて飲み込んでしまうとされます。不食、拒食の人に霊験あらたかで、この尊の加持した食物を与えればたちまち完食してしまうと言われます。不空成就如来の化身。
2.降三世明王
大日如来が須弥山山頂で「金剛頂経」を説こうとしたとき、大自在天たちが仏勅に従わなかったため、大日如来がこの降三世明王に変化し、大自在天たちを屈服させました。この尊が両足で踏みつけているのは大自在天とその妻の烏摩妃です。
3.不動明王
五大明王の中心となる明王。大日如来の化身で、真言宗だけでなく、天台宗、禅宗、日蓮宗等の日本仏教の諸派、さらに修験道で幅広く信仰されています。
4.軍荼利明王
手に甘露の智水を入れる水瓶を持ち、経典では悟りを妨げる魔を除くと説かれており、密教における結界を司ります。宝生如来の化身。
5.大威徳明王
六面六臂六足の姿を持つ尊で、善人に悪意を抱く者や危害を加えようとする者を懲らしめ、悪人の呪詛を破り、悪夢を消滅し、悪病を除く事に霊験あらたかとされます。阿弥陀如来の化身。
(以上パンフレットから抜粋)
の五つの明王像が描かれています。
描かれてから370年以上経ていますが、ずっと日光に当たること無く保存されてきたため、昨日描かれたばかりのように鮮やかで、その精緻な筆使いまで見て取れますよ。確かにこれは必見ですね。
経蔵は1640年代に建設されたもので、内部に八角輪蔵があります。この輪蔵には一切経が収められており、これを回転させるだけで全ての経典を読んだのと同じ功徳があるとされます。
特別拝観は800円、12月16日までの開催となっています。一つ注意すべきは拝観受付が金堂前となっている事で、それを知らない人たちが御殿の拝観受付の前に長い行列を作っていました。特別拝観だけで御殿に入らないのなら、行列に並ばずに直接金堂前に行けば受け付けてもらえますよ。そのあたり、何の説明も無いのは何だかなあという気がします。
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