西郷どん 第四十一回 「新しき国へ」
廃藩置県の憂さを晴らすため、
錦江湾で一晩中花火を上げさせた久光。
欧米使節団を派遣する事を決めた新政府。
今こそ実権を握る好機と捉える留守居組の参議たち。
日本の窮状を救うため、天子様の行幸を提案する隆盛。
賛同する大久保。
鹿児島。
菊次郎にもちかけられた留学。
行くかどうかは自分で決めろと糸。
不満が高まる鹿児島。
その不満を大山たちにぶつける久光。
東京。
使節団に加わる事になった川路。
フランス製の香水を身にまとい、陸軍少将となった桐野。
侍従を拝命した新八。
宮中改革に乗り出した隆盛。
天子様に相撲を取り、
御簾内から出て全国を行幸する様進言する隆盛。
隆盛の言を入れた明治帝。
11月、欧米渡航の勅命。
大蔵省を担当し、財政も司る事になった隆盛。
後藤と江藤に注意し、何も変えてはいけないと岩倉。
吉之助さあ、頼んだどと大久保。
気をつけてのうと隆盛。
肩を抱き合う二人。
サンフランシスコに旅立った使節団。
早速実権を握るべく動き出した江藤たち。
それを押さえる隆盛。
各地で頻発する一揆や打ち壊し。
徳川の世の方が良かったのではないかと噂する人々。
山城屋事件。
汚職にまみれた山県有朋。
山県を斬ろとうする桐野。
山県に陸軍大輔の役目を降りさせた隆盛。
久光の使いとして来た海江田。
自分を県令にしろと要求する久光。
断固断る隆盛。
天子様に全国を行幸してもらうつもりだと隆盛。
つまり薩摩にも来るという事かと海江田。
その折りには久光公にもお目通りを願うつもりだと隆盛。
鹿児島。
天子様のお供で隆盛が帰ってくると聞き、大騒ぎになる西郷家。
明治帝に拝謁し、その洋装に驚いた久光たち。
これがお前と、兄、斉彬が作りたかった新しい国かと問う久光。
今は思い描いていた国とはかけ離れている、
国の腐敗一つ取ってもどうにも出来ない、
おいは蹴り飛ばされるに違いないと隆盛。
こんやっせんぼと叱り飛ばす久光。
最後までやり抜け、それでも倒れた時には薩摩に帰ってこい、
後は若い者に任せればよかと久光。
留学を願い出た菊次郎。
「今回は欧米視察団の派遣と留守政府の苦難が描かれました。大久保と隆盛の別れは、久しぶりに二人の友情を感じさせるものでした。」
「久光もまた豹変しましたね。急に隆盛の理解者となり、名君ぽくなりました。実際にそうだったら、隆盛の苦悩ももっと少なくて済んだでしょうにね。」
「使節団の派遣の主たる目的は不平等条約の改定にあり、新政府は1年後に迫った一回目の改定期限を諦めて5年程伸ばし、その間に対等の条約を結ぶに相応しい法制の整備と産業の振興を図る事としました。そのために諸外国の実態を実地に見ると共に多くの留学生を伴い、異国の文化、文明を移植しようと図ったのです。」
「それにしても、国内に難題を抱えた状態で、国の根幹を成す人材の大半を国外に出すと言うのは大英断でした。それは隆盛という重鎮が居たからこそ出来たとも言えますが、全てを任された隆盛が割りを食ったとも言えます。」
「使節団と留守居政府の間には勝手に新政策を実施したり、人事異動をしてはならないという取り決めが交わされました。当初の使節団の派遣は十ヶ月となっており、その程度の期間であればこの約定を守る事は容易いと思われました。しかし、実際に使節団が帰ってきたのは1年9ヶ月後の事でした。これだけの長期の間、何もせずに済ますというのは無理というもので、留守居政府は徴兵制や学制の改革、地租改正など次々に新政策を断行して行く事となります。そして、その事が使節団と留守居政府の溝を深める事となって行きます。」
「山城屋事件はドラマにあったごとく、陸軍大輔の職にあった山県有朋が同郷の山城屋和助に陸軍省の公金65万円(当時の歳入の1%)という大金を貸し与え、その見返りを受けていたという事件です。この背後には徴兵制を推進しようとする山県と、士族のみの志願兵制を推進しようとする桐野たちの反目があったとも言われますが、結果としては山県の辞任と隆盛の近衛都督・参議兼陸軍元帥就任という形で収束を見ました。この事もまた、広い意味では使節団との約束違反でした。」
「明治帝の行幸は主として西国で行われ、真の目的は久光を明治帝に拝謁させ、その機嫌を取る事にありました。しかし、実際には久光の機嫌は良くなるどころか洋装で現れた明治帝を見た事で怒りを爆発させ、西郷をさらに責める事となります。久光は明治帝に随行していた徳大寺宮内卿に対し十四箇条からなる旧制に戻して欲しいという嘆願書を出し、隆盛を罷免しなければ自分は上京しないと強い調子で訴えました。ドラマの様な物わかりの良い国父様に戻っていれば、隆盛はどんなにか楽だった事でしょうか。」
「ドラマでは村田新八が侍従になっていましたが、あれは西郷が推し進めていた宮中改革の一端で、女官に囲まれた明治帝を外国の皇帝のごとく教育するために、新八や吉井友実、山岡鉄舟ら、自分の信頼出来る剛毅かつ清廉な人物を周辺に送り込もうとしていたのですね。」
「今回のドラマで最も心に響いたのは糸さんの台詞で、子供を手放すのは痛みを伴う、しかし、子供が自分で決めた事は尊重しなければならないという事でした。親子の情はこうして紡がれてきたものであり、いつの時代でも変わりのないものなのですね。ちょっとじーんと来た一幕でした。」
「次回は征韓論が出てくる様ですね。対立を深める大久保と隆盛、クライマックスに向けての助走がいよいよ始まる様です。」
(参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著
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