西郷どん 第四十回 「波乱の新政府」
久光を東京に呼び出すために鹿児島を訪れた岩倉と大久保。
仮病を使って上京を断る久光。
久光を東京に呼び出すには訳があるはずと隆盛。
各藩が握っている徴税権を新政府が持つようにするため、
藩を潰すのだと大久保。
天子様を守る名目で各藩から兵を集める、
その威力をもって不平を抑えてはどうかと隆盛。
よろしく頼むと大久保。
早速皆を集め、御親兵の話をする隆盛。
乗り気になる一同。
久光を再度説得する大久保。
悪いようにはしないという大久保の言葉に、鋭く反発した久光。
自分は島津家ではなく天子様に仕える身と大久保。
それがお前の本性かと久光。
新政府にも国父様の席を設けて待っています、
それが私の恩返しと言って立ち去る大久保。
一蔵、行かんでくれと哀願する久光。
明治4年2月、上京した隆盛。
大久保邸。
それぞれの思惑を持ち集まった江藤、板垣、後藤ら参議たち。
そこに到着した隆盛。
歓迎の豪華な宴会。
その場で露わとなる各参議たちの対立。
長州ですら反対派を抑えきれないと木戸。
苦り切る大久保。
宴の後。
薩長土肥、時間を掛けて皆の足並みを揃える事が肝要と隆盛。
ここが新しい国作りの山場、時間は掛けられない、
ここは自分に付いてきてくれと大久保。
判ったと隆盛。
8000人からなる御親兵を抱える事となった新政府。
上京して来た半次郎たち。
長屋住まいの隆盛に驚く一同。
一同をもてなす長屋の人々。
太政官会議。
廃藩置県を巡って対立する参議たち。
金が無いなら自分たちの給金を減らし、
質素倹約に務めれば良いと言い放つ隆盛。
黙り込む一同。
昼時。
料亭の仕出し料理を楽しむ参議たち。
その中で一人手弁当で済ます隆盛。
料亭。
今更質素倹約など出来るかと岩倉。
大久保はんから西郷にあんじょう言うてくれと三条。
西郷家。
なぜ皆の足を引っ張るような事をすると大久保。
過ぎた金をもらって過ぎた暮らしをするために来た訳では無い、
これでは横山安武の言うとおりだと隆盛。
政をする者は、か弱き民の手を握らなければならない、
そんな事はただのきれい事だと大久保。
そうじゃろかと隆盛。
立派な屋敷に住むのも、贅を尽くした物を食べるのも、
異国に舐められないためだ、
劣った暮らしをする者を相手に対等に話をする者など居ない、
これは100年先の暮らしを考えてのことだと大久保。
黙って大久保を見つめる隆盛。
頼む、吉之助さあと言って立ち去る大久保。
大久保邸。
木戸を呼び出した大久保。
このままでは土佐、肥前が主導権を握ってしまう、
私に手を貸して下さいと大久保。
西郷は大丈夫なのかと木戸。
それは心配ご無用と大久保。
数日後。
ついに下った廃藩置県の詔勅。
それを聞いて激怒する江藤、板垣。
こんな政府はやってられるかと出て行こうとする板垣たち。
足手まといは出て行ってもらって結構と大久保。
なぜ西郷は姿を見せない、
西郷が居なければ御親兵は動かないと木戸。
進退窮まったかに見えた大久保。
そこに遅れて現れた隆盛。
袂を分かつと言う板垣たちに待ったをかけ、
新政府が一枚岩にならなければ廃藩置県は出来ない、
後を安心して任せられると信じてもらわねば反乱が起きてしまうと隆盛。
そうならないために御親兵が居ると大久保。
御親兵も同じ、すべての民にこんなつまらん政府と思わせてはいけない、
戊辰で死んだ八千の魂が、
我らの肩に乗っているのだと隆盛。
もう一度話し合い、その答えを正々堂々とやれば良い、
それでも出てくる膿は反乱でも何でもおいが引き受けもんそと隆盛。
黙って席に戻る参議たち。
会議の後。
もう来ないのかと思ったと大久保。
実は迷っていた、でもやっと心を決めたと隆盛。
おいは何か間違っていたかと大久保。
何十年後に皆が良かったと思える日本にする、
それがおはんのやっている政だろう、
存分にやればよか、
おはんが抱えきれんもんはおいが引き受けると隆盛。
明治4年7月14日、廃藩置県断行。
「今回は廃藩置県が断行されるまでが描かれました。どこかダークに染まっていく大久保と、それでも友を信じて行こうとする純真な隆盛との対比が鮮やかでした。そして、今後の隆盛を襲うであろう悲劇を予感させる回でもありました。」
「ドラマでは急進的な大久保と慎重派の木戸という役回りでしたが、実際には反対でした。廃藩置県を急いだのは木戸を筆頭とする長州閥で、大久保は慎重論者でした。これが逆転したのは木戸が隆盛を説得したからで、木戸の言う諸外国と対等に渡り合うには廃藩置県は避けて通れないという理論を隆盛が飲んだのでした。」
「実を言えば、隆盛もまた私情としては廃藩置県に反対でした。やはり封建制度の中で育った隆盛としては、主家を潰すのは忍びなかったのですね。しかし、木戸に諭され、それが時の流れだと悟った時、全てを受け入れる決心をしたのでした。」
「隆盛はこれに先立ち、薩摩を発つときに約束していた新政府の刷新に手を染めていました。すなわち、政府の高官の削減、人員整理を強行していたのですね。当然の反動として彼らの恨みを西郷は受けていたのですが、廃藩置県を断行すればそれ以上の非難が自分に集中する事は判っていました。しかし、それを覚悟で木戸の論を受け入れたのですね。」
「佐々木高行の後日談に依れば、隆盛が参議たちを一喝したのは、詔勅が下った7月14日の翌日の事でした。詔勅は下したものの、その後をどうするかを巡って各参議が紛糾していた時、遅れてきた隆盛は彼らの意見を少し聞くや、この上各藩に異論がある時は、兵をもって打ち潰すのみと大喝したのです。この一言で参議たちは黙るほかはありませんでした。」
「明治維新が革命であるとすれば廃藩置県こそがその核心とも言うべきもので、西郷隆盛なくしては実現は無理だったと思われます。まさに彼の面目躍如と言ったところですが、その内心には血を流すような痛みと覚悟を隠していたのですね。」
「もっとも、藩主クラスの人たちの中には、廃藩置県を喜んで受け入れた者も少なからずあった様です。それは各藩の財政難が深刻で、ほとんどの藩が借金を抱え込んでいたのですね。廃藩置県によってその負債は新政府が負う事になり、苦しい藩政から解放されたと喜んだ人も多かったのでした。」
「しかし、ほとんどの士族にとっては死活問題であり、その怨嗟の声をどう裁くかは新政府に課せられた大きな課題となります。その矢面に立つのが隆盛であり、次回はそこが描かれる様ですね。隆盛に課せられた悲哀がどう表現されるのか、楽しみに待ちたいと思います。」
(参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著
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