西郷どん 第三十二回 「薩長同盟」
フランス公使ロッシュを招き、
軍艦で兵庫に乗り入れてもらいたいと依頼する慶喜。
慶喜の依頼どおりに兵庫沖に現れた連合艦隊。
異国が現れたと大混乱に陥る京。
鍵屋。
明日、将軍が参内する、異国の力を借りて天子様をゆさぶり、
長州征伐の詔を引きだそうという狙いだと一蔵。
なぜあのとき下関に行かなかったのかと後悔する西郷。
朝廷。
孝明帝に拝謁し、長州征伐の勅許を頂けなければ、
幕府は一切政から手を引く覚悟と脅す慶喜。
うろたえる孝明帝。
岩倉。
とうとう長州再征伐の詔が下った、
お前がいつまでも長州と手を組まないからだと西郷を責める岩倉。
長州が攻められる前に打つ手は無いかと西郷。
どう考えても幕府の勝ち、いっそ一橋と手を組もうと岩倉。
得意のはったりだ捨て置けと一蔵。
そのとき、倒れてしまった一蔵。
持病の胃痛だ、おめかけさんのところへ連れて行けと岩倉。
一蔵を家まで連れ帰った西郷。
出迎えたのは繁の家のゆう。
とにかくこんな仲になったと一蔵。
ここは藩の者も知らん、密談にはもってこいだと一蔵。
密談とは、非義の勅命は勅命にあらずという事でした。
それを薩摩藩の意思として天下に広めると一蔵。
そんな事をしたら天子様に弓を引く事になる、
幕府からも狙われ、大久保一蔵は日本中を敵に回すぞと西郷。
自分たちは間違っていない、たとえ一人でもやると一蔵。
恐ろしい男だと西郷。
諸藩、公家の間に広まった二人の名の入った書き付け。
それを見て喜ぶ者、怒る者。
様子見に走った諸藩。
長州。
その文を見ても、薩摩の事など二度と信じないと桂。
薩摩。
長州と手を組むのは断じて承服出来ないと海江田。
もちろんだと大山。
次の一手として、亀山社中を訪れた西郷。
桂に会わせるのはもう無理だと龍馬。
商いの話だ、薩摩名義で武器弾薬を買い、
それを長州に売るという許しを国父様からもらってきたと西郷。
国父を説得してきたとは大したものだと龍馬。
その代わり薩摩から長州に頼みがある、米が欲しい、
その取引の仲立ちを龍馬にして欲しい、儲けもあるはずと西郷。
それを聞き、手を出す龍馬。
あっけに取られる西郷。
シェイクハンドぜよと龍馬。
龍馬と握手し、今度こそは桂殿とシェイクハンドがしたいと西郷。
長州。
桂の下に急ぎ、ゲベール銃とミニエー銃の威力の違いを見せ、
桂を説得しようとする龍馬と中岡。
あの時の屈辱は死んでも忘れない、
長州の次は薩摩、その時になって我らの苦しみを知るが良いと桂。
いい加減にしろと桂に掴みかかる龍馬。
商さえ出来れば良いと思っている男に、侍の意地が判るかと桂。
立ち去ろう手とする伊藤を呼び止め、
イギリスに行っている留学生からの手紙を渡す龍馬。
ミニエー銃を投げ捨て、薩賊の手を借りなければならないのなら、
皆で討ち死にだと叫ぶ長州兵たち。
それを見ている桂。
慶応二年一月早々。
京にやって来た桂と伊藤。
鍵屋。
薩摩側、西郷、一蔵、小松帯刀、桂久武。
長州側、桂と伊藤。
土佐藩、龍馬。
次々と同盟の条件を挙げていく桂。
その中に含まれていた幕府と決戦に及ぶ事という一条。
これでは薩摩が謙りすぎだと一蔵。
さすがにやり過ぎだ、フェアに行こうと龍馬。
長州は朝敵にされた、置かれている立場は違うと桂。
最初から薩摩と手を組む気は無いのではと一蔵。
この話は無かった事にするかと桂。
すべて桂殿の言うとおりだ、明日返事をさせてもらうと西郷。
もう約束は違えない様にと桂。
必ずと西郷。
こんな大それた事を我らだけでは決められないと久武。
国父様に問うても怒られるだけと一蔵。
国父様が決められたのは幕府には従わないという事と帯刀。
ここにははっきり幕府と戦うと書いてある、断るしかないと久武。
これは桂殿が恥も悔しさも捨てて書かれたものに違いない、
それをないがしろにしては恥知らずと罵られる、
ここは腹を括ろうと西郷。
明日は長州から頭を下げるまでは何も言ってはならない、
これだけは譲れないと帯刀。
再び鍵屋を訪れた伊藤。
彼が西郷に差し出したのは、留学生たちからの文でした。
その文と写真を見て、まさかこんな事がと西郷。
これを中山家にお届けをと伊藤。
これを明日話し合いの場に持ってきてくれと西郷。
翌日、お花畑。
意地の張り合いで一言も発しない両藩。
そこに乱入してきた海江田。
なぜ我らを薩賊と呼ぶ朝敵と手を組まなければならないと海江田。
海江田に同調し、口々に叫ぶ薩摩藩士たち。
いい加減にせんかと一喝する西郷。
長州と手を組むのは日本のため、
お前たちが変わらねばこの国の先は無いと西郷。
我らが手を組む日は遠いようだと桂。
そんな事はないと伊藤を促す西郷。
伊藤が取り出したのは一枚の写真。
そこに写っていたのは長州と薩摩の留学生たちでした。
彼らは遠い異国で暮らす内に打ち解け、
この国の行く末について話し合うようになったと伊藤。
この若者たちはとっくに助け合っていると西郷。
薩摩も長州も異国の恐ろしさは良く判っているはず
遠い異国の若者たちを見習って手を組みやと龍馬。
桂に向かって頭を下げた西郷。
西郷に並んで頭を下げる一蔵、帯刀、久武。
これは我らの負けだと桂。
やっぱり侍とは面倒なものだ、
西郷さん今ですき、シェイクハンドと龍馬。
西郷の前に座り、よろしう頼むと手を出した桂。
こちらこそお願いしもすと握り返した西郷。
一蔵に手を出した龍馬。
その手を握った一蔵。
一月二一日。
今日より薩長両藩は日本のために力を尽くすという一条を加え、
締結された薩長同盟。
「今回は薩長同盟が締結されるまでが描かれました。従来は龍馬が発言を渋る西郷を一喝して事が進むという展開が多かったのですが、今回は一枚の写真をきっかけに事態が動くという新しい描かれ方がされました。」
「龍馬の一喝については、最近の研究で否定的な見方が多くなっている様です。それを裏付ける一次資料が無いからで、今度のドラマではどうするのかしらんと思っていたのですが、写真という小道具をもってそれに代えました。史実とは違うでしょうけど、薩長両藩が同時期に留学生を送っていたのは確かで、面白い描き方だと思いました。」
「ただ、この盟約をもって薩摩藩が倒幕に梶を切ったと見るのは早計で、いわゆる決戦条項はあくまで一会桑に対する戦いを挑むというものであり、幕府本体に対してではありません。もっと絞れば薩摩藩対会津藩の戦いであり、当時の京都政界を牛耳っていた勢力を、京都から一掃するというものでした。」
「西郷が主役のドラマですから西郷が主導権を取るのは当然ですが、大久保の凄みもだんだんと描かれる様になってきました。「非義の勅命は勅命にあらず」とは大久保が久光に宛てた報告書の中で書かれた言葉ですが、西郷をはじめ、龍馬を経由して長州藩にも伝えられるなど、当時からかなり知られた言葉だった様です。相当に思い切った言葉であり、まさに恐ろしか男でした。」
「また、本来は西郷以上に重要な働きをしたと言われる小松帯刀が、このドラマでは矮小化されているのが少し可愛そうですね。西郷にしても大久保にしても、小松という後ろ盾があって、初めて彼らの仕事が出来たのでした。」
「サイドストーリーですが、おゆうと一蔵の関係は史実どおりです。お虎も本当は西郷のおめかけさんだったのですけどね、それでは視聴者が許さないのかな。」
「次回は龍馬とお龍の新婚旅行が描かれる様ですね。そういえばお龍さんはまだ出てきてなかったのだっけ。どんなお龍さんが出てくるのか楽しみです。」
(参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著
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