西郷どん 第十八回「流人 菊池源吾」
錦江湾に飛び込み、奇跡的に助けられた西郷と亡くなった月照。
菊池源吾と名を変え、奄美大島に流された西郷。
薩摩藩に搾取される奄美大島の人々。
龍佐民の離れに住むこととなった西郷。
しかし、一人生き残った事に後ろめたさを感じ、荒れに荒れます。
西郷を持て余す島の民。
やむなく西郷の面倒を見る事となったとうま。
しかし、西郷はとうまも遠ざけてしまいます。
腹立ちまぎれに、西郷に災いをと海の神に願うとうま。
薩摩藩からやって来た年貢取り立ての役人。
そのあまりの横暴ぶりに思わず手を出した西郷。
米や本が届けられる西郷は何者かといぶかるとうまたち。
とうまから、薩摩藩が湯水の様に金を使うため、
奄美は砂糖地獄になってしまった、蘭癖の殿様のせいだと聞いた西郷。
斉彬は民のために働いていたんだと激高する西郷。
自分たちは民の内に入っていなかったんだととうま。
再び西郷に災いをと願うとうま。
正助からの手紙によって、安政の大獄の惨状を知り、
衝撃のあまり雨の中に飛び出した西郷。
道で倒れている西郷を見つけ、懸命に看護するとうま。
看護の甲斐あり、回復した西郷。
とうまに心を開き、島の事を教えてくれと頼む西郷。
「今回は奄美大島に流された西郷が、苦しみ抜いた挙げ句、島人に心を開くところまでが描かれました。」
「前回、月照と抱き合い心中を図った西郷でしたが、一人だけ奇跡的に助けられました。月照との違いは体力の差にあったのでしょうか。」
「一人生き残った西郷はずっと後年までその事を悔い、なぜ刀を用いなかったかと後悔しています。刀を使わなかったのは、月照が法体であったからでしたが、そのために生き残った事が許せなかったのですね。これ以後、自らを土中の死骨と呼び、事あるごとに死に急ぐ様になったと言われます。」
「西郷が奄美大島に流されたのは、幕府の追っ手から匿うためであり、罪人としてではありませんでした。」
「西郷は日向送りとなった月照を処刑する様に命じられたのであり、そのあまりの理不尽さに苛まれて入水を図ったのでした。つまりは、藩からは罪人扱いはされておらず、さらには斉彬の寵臣であった西郷を無碍には出来ないため、藩は幕府の目の届かぬ奄美大島に西郷を隠したのでした。そのため、西郷の身分は元のままで家禄六石(のちに十二石)が給され、弟の吉二郎には金二十八両が支給されています。ドラマで米や本が送られてくるというのは、こうした事情があったからです。」
「西郷が菊池源吾と名を改めたのも幕府の目をごまかすためでしたが、西郷家の祖先が菊池氏の出であった事に依るとも言われます。」
「その西郷が島に来た当初は、島人を見下していた事は事実の様です。自分は罪人ではないという意識と、つい最近までは国事に奔走していたという意識がそうさせたのでしょう。ただ、島の娘たちの美しさには魅せられた様で、友人への手紙の中でそう触れています。」
「そうした中で、薩摩藩の島人たちへの苛政の酷さを見るにつけ、松前藩のアイヌ民族への苛政より酷いとも憤るようになります。薩摩藩のやり方は調所広郷の時代に砂糖をすべて専売制にした事に始まり、大坂の商人たちへの返済の担保としていました。そのため、島人たちへの搾取は苛烈を極め、ドラマにあった様に田畑は全てサトウキビ畑とされ、島人たちは毒のあるソテツの実を食べていたと言われます。ドラマで西郷の食べていたかゆもソテツの実でした。」
「そうした実態を見るに付け、西郷は島人に狼藉を働く島の役人たちに、直談判をした事もあった様ですね。そして、いつしか、島人たちは西郷を頼りにする様になったとも言われます。もっとも、西郷は常に薩摩藩への帰参を願い続けていました。」
「とうまは漢字で書くと於戸間金、於は女性に対する尊称、金は子にあたります。今風に言えばとま子という事になるのかな。」
「そのとうまたちが使う奄美大島の言葉は薩摩弁よりもさらに難しく、字幕を見なければ判りませんね。でも、それだけ土地の雰囲気が判り良いと思います。不思議なシャーマンの存在も島の情緒を高めていますね。」
「次回はそのとうまと西郷の関係が深まる様ですね。どんな展開が描かれるのか今から楽しみです。」
(参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「史伝 西郷隆盛」 海音寺潮五郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著
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