西郷どん 第二十回「正助の黒い石」
西郷と夫婦になり、魔除けのハジキを手に彫った愛加那。
一年前、鹿児島。
家督を譲られた正助。国を変えるべく出世を誓う正助。
吉祥院。
斉興を斬ろうとする過激派を抑える正助。
斉興に取り入る正助を批判する仲間達。
正助を久光に引き合わす斉興。
密偵かと久光。
下々の者の不満を伝えるのが自分の役目と正助。
久光と囲碁を打つ正助。
斉興亡き後、国父として志ある二才たちを率いるのは久光しか居ないと正助。
久光に気に入られた正助。
由羅の方の花見の会に呼ばれていた満寿。
由羅に気に入られ、子犬を預かった満寿。
正助に由羅の方のところに行った事を咎められ、子犬を熊吉に預けた満寿。
斉興が亡くなり、国父として実権を握った久光。
彦熊が誕生した大久保家。
急に大久保家を訪れ、子犬を引き取ったて帰った由羅。
勝手に子犬を預かっていた事で満寿を責める正助。
夫婦ではないか、何を思っているか伝えて欲しいと反撃する満寿。
俊斉の弟たちからの知らせで、脱藩して直弼を斬るべしといきまく有馬たち。
一人同調しない正助。
久光に同志の動きを伝え、それを押さえるべく諭し文を書くように勧める正助。
その文案も正助が既に書いていました。
吉祥院。
久光を伴い、同志の下を訪れた正助。
藩主からの諭し文を読み上げる久光。
(機会が来れば斉彬公の遺志を継ぎ必ず薩摩が立つ、
それまでは藩の名を汚さず忠義を尽くして欲しい、精忠の面々。)
精忠組じゃと喜ぶ一同。
諭し文はお前が書いたものか、仲間を売ったのかと正助を問い詰める俊斉。
売ったのではない、救ったのだと正助。
この裏切り者、それほど出世がしたいかと俊斉。
出世がしたい、さもなければこの藩もこの国も変えられないと正助。
天誅だといきまく有馬たち。
その時、西郷を呼び戻す嘆願書を見つけた新八。
やっとここまで来た、西郷を呼び戻すためだと正助。
皆が西郷に会いたいと団結する中、一人気に入らぬと飛び出す有馬。
その夜、西郷の様にはなれないと満寿に弱音を吐く正助。
そのままで良いのだと満寿。
奄美大島。
愛加那と憩いの一時を過ごす西郷。
その時、正助からの文で直弼が暗殺されたという知らせを聞いた西郷。
(桜田門外の変。
直弼を斬った有村次左衛門。非業の死を遂げた俊斉の弟たち。
脱藩を叫ぶ俊斉たち。脱藩するなら自分を斬ってから行けと止める正助。
西郷の再登場を願う正助。)
遠く海の向こうを見る西郷。不安げな愛加那。
「今回は西郷が鹿児島に不在の間に起こった一連の流れが描かれました。そして同志たちの間で西郷待望論が沸き起こったのでした。」
「ドラマでは半ば同志を裏切りながら、自分なりに志しを遂げようとしていた正助でしたが、実際には最も過激な思想の持ち主の一人でした。」
「直弼暗殺の謀は正助もその首謀者の一人であり、江戸の同志が水戸浪士たちと共に直弼を倒した後は、正助たちが大挙脱藩して京に向かい、朝廷の守護に当たるという計画を持っていました。しかし、水戸浪士の間でもめ事があって時間を浪費している間に久光の知るところとなり、ドラマにあったような諭し文(内諭)が下される事となったのです。」
「内諭に感激した正助たちは突出計画を中止したのですが、有村雄助と次左衛門の兄弟は薩摩藩だけが義挙から抜け落ちる事を恥とし、二人だけで企てに加わったのでした。結果は紀行にあった様に、直弼を斬った次左衛門が深手を負って自刃、雄助は薩摩藩に捉えられて切腹してしまったのでした。」
「正助が久光に近づいたのは事実で、ドラマにあった様に共通の趣味である囲碁を通してでした。無論、自分の出世のためではなく、藩を動かすには久光に取り入り、その力を利用するしかないと思い定めての事でした。事実、この後正助は久光の側近となり、西郷と共に薩摩藩の舵取り役となって行く事となります。」
「内諭に精忠の面々とあった事から、正助たちは精忠組と呼ばれる様になったのですが、自分たちでは単に盟中と呼んでいた様です。ただ、一般的には薩摩の過激派は精忠組と呼ばれる事から、ドラマでもそう叫ばせたのでしょうね。」
「また内諭にあった一朝事があったら薩摩が突出するという一文は、後の薩摩藩の動きに大きな影響を与え、引いては西郷の運命にも大きく係わっていく事となります。これからのドラマの方向性もこの線に沿って動いていくはずです。」
「西郷はと言えば、こうした一連の動きの外にあり、そこに係われない事に忸怩たる思いを抱き、自らを豚と呼んで卑下していました。愛加那との生活でもこの思いは消すことは出来なかったのですが、子供が生まれるに及んで遂には菊池源吾として生きて行くと諦めをつけかけた様です。そこに新たな動きが加わるのですが、それは次回に描かれる様ですね。その時、西郷が抱くであろう葛藤が、次回の見所となりそうです。」
(参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著
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