互いの健闘を誓い、江戸と薩摩に分かれる西郷と正助。
安政4年10月21日、江戸城。
将軍謁見のために登城したハリス総領事。
互いの国のための友好をと願うハリス。
痙攣した様に床を踏みならす家定。
「幾久しく友好を保ちたいと大統領に申し述べるべし。」
と、壊れたレコードの様に繰り返し叫ぶ家定。
あっけにとられる一同。
教えられたとおりに申したと篤姫に報告する家定。
喜ぶ篤姫。
御台とも幾久しく友好を保ちたいと家定。
その言葉を嬉しく思う篤姫。
福井藩邸。慶永に書状を届けた西郷。
慶喜擁立の壁は高くなったと慶永。
(回想)
老中堀田正睦の弱腰を叱りつけ、自分がアメリカに乗り込むと斎昭。
震え上がる 正睦。
家斉の評判は悪くなる一方で、
家定を毒殺し、慶喜を将軍に据えるつもりだという噂まであると慶永。
左内と協力し、諸大名の協力を仰ぎ、かつ、
慶喜が将軍になる覚悟を決めるよう説得せよと慶永。
磯田屋。
慶喜の評判を集めた一橋公言行記を書き上げた左内。
そこに現れ、そこに書いてある事は全て父がでっち上げた事だと言い、
言行記を破り捨てた慶喜。
ここではヒー様と呼べ、一橋様と呼ぶことは許さぬと慶喜。
言行記が台無しになった事を嘆く西郷。
抜かりはない、写しはいくらでもあると左内。
幕府に、この国難を乗り切るためには慶喜を次の将軍にする事が相応しいとの建白書を出した斉彬。この建白書を巡って鋭く対立する一橋派と南紀派。両派を裁定出来ずうろたえるばかりの堀田正睦。
西郷の後を付けてきた仮面の男。その男を取り押さえた西郷。
その時、ご同道願うと声を掛けてきた長野主膳。
彦根藩邸。
西郷に茶を振る舞う直弼。無作法に茶を飲み、旨いと西郷。
作法は知らなくても味は判るかと直弼。
この器もとても良いものと西郷。
御台所の輿入れの手配りをしただけの事はあるなと直弼。
逃げてばかりの男に将軍は務まらないと直弼。
あの一筋縄では行かないお方だからこそ、異国の言いなりにはならない、
この国は変わらなければならないと西郷。
自分に講釈をするとは恐れ入ったと直弼。
無礼な振る舞いは主君そっくりと主膳。
殿を愚弄するな、この国を守るためにこの国を変えようとしていると西郷。
250年の安泰を保ってきたのは徳川宗家、守るべき国とは徳川家の事、
異国が迫っているからと言っても、何も変えてはならぬと直弼。
西郷に斉彬の内情を知らせよ、そうすれば当家の家臣として取り立て、
薩摩に居る身内も助けてやろうと主膳。
家の者に何をしたと叫ぶ西郷。
まだ何もしていないと主膳。自分に力を貸せと直弼。
井伊掃部頭ともあろう人がこんな脅しをかけて来るとは、
こんな腐った連中に守られた将軍家も危ないものだ、
自分たちとは依って立つ立場が全く違うと良くわかったと西郷。
大奥。斉彬の建白書を読む本寿院。
水戸の隠居の息子が将軍になればあの男までが奥に入って来る、
それはならぬと本寿院。
御台所の縁組みはこの企みがあったからかと本寿院。
本寿院の怒りを知り、狼狽える幾島と篤姫。
そこに現れた家定。驚く篤姫。
御台とは幾久しく友好だと申したであろうと家定。
次の公方に慶喜をと願い出る篤姫。
慶喜は嫌いだと家定。
慶喜はこの国を守ってくれる、国も民も無事息災と篤姫。
姫も息災という事かと考え込む家定。
そこに現れた本寿院に向かって、跡継ぎは一橋にすると宣言した家定。
驚く本寿院。喜び合う篤姫と幾島。
磯田屋。相変わらずヒー様として遊び暮らす慶喜。
家定が跡継ぎに決めたと説得する西郷と左内。
あくまで固辞する慶喜。
その夜、刺客に襲われた慶喜。
人殺しだと叫び逃げる慶喜。
刺客と渡り合う西郷たち。
危うく切られそうになる慶喜。
咄嗟に短刀を抜き、刺客を刺し殺した西郷。
初めて人を殺した事で惑乱する西郷。
薩摩の人間がなぜ自分を殺そうとすると慶喜。
これは彦根の回し者だと西郷。
死体を始末した慶喜と左内。
手を合わせる西郷に、刺客に情けを掛けるのかと慶喜。
あの男にも主君がおり、家族が居る、その命を奪ってしまった
自分は人殺しだと西郷。
だから自分は将軍にはなりたくないと言っている、
そうなればもっと国が乱れて多くの血が流れると慶喜。
このままでは異国に飲まれる、血が流れるどころではないと左内。
俺の命を守ったと斉彬に褒めて貰えと慶喜。
あなたの命とあの男の命は同じ、
しかしあなたは国を変え、多くの民を救える力を持っている、
それでもまだ逃げると言われるならあの男も浮かばれないと西郷。
よし行くぞ、ついて来いと、ついに決意した様子の慶喜。
彦根藩邸。
直弼に会いに来た慶喜たち。
刺客を送るほどだからよっぽどの用があると思って来てやったと慶喜。
慶喜様が将軍を固辞されるのなら自分に一案がある、
紀州の慶福様が次の公方になった暁には紀州を差し上げると直弼。
確かに悪い話ではない、しかし気に食わぬ、
お前に紀州に行けと言われる覚えは無い、つけ上がるなと慶喜。
これは恐れ入りましたと直弼。
今の幕府でこの国が守れると思っているのか、
この大馬鹿者と直弼を叱りつける慶喜。
判った、自分が将軍になってやると言い捨てて帰る慶喜。
「今回は遂に慶喜が将軍職を継ぐ決意をするまでが描かれました。ほぼ創作の回と言って良いのですが、西郷の成長ぶりと本気になった慶喜の凄みが良く表されていたと思います。」
「以前、斉興とお由羅の方の前では一言も返せなかった西郷が、直弼相手に堂々と渡り合ったのは見事でした。斉彬の薫陶の下、諸国の士と交わった事で西郷が成長したという事なのでしょう。」
「慶喜の啖呵も格好良かったですね。ようやく幕末史をかき回した慶喜の本領が垣間見えた一瞬でした。」
「ただ、慶喜が決意に至る過程が少し弱かったかな。西郷に泣きつかれただけで翻意するとは、ヒー様らしく無い様な気がします。もう少しひねりがあっても良かったんじゃないかしらん。」
「ほぼ創作の回ではありましたが、そこかしこに史実も散りばめられていました。例えば大奥が斉昭を毛嫌いしていた事がそうです。」
「斉昭には大奥の女性に手を出したという噂が付きまとい、今で言うセクハラまがいの発言も多かったと言われます。また、大奥の浪費ぶりにも口を出し、支出を抑えようとした事も嫌われた源因でした。その子の慶喜が次期将軍ともなれば斉昭の発言権がさらに大きくなり、大奥が住み難くなると考えられたのが慶喜の将軍登用を妨げた要因の一つでした。それだけ大奥の発言権は強かったのですね。」
「また、家定が慶喜を嫌っていたのも事実で、この事も慶喜にとっては不利な条件でした。暗愚と言われた家定でしたが、自分の意思を持っていた証の一つでもありますね。」
「もう一つ付け加えるならば、家定と篤姫が仲睦まじかった事も事実と言われます。ドラマで描かれた様に家定には心優しい一面があったのかもしれません。」
「次回は家定が病に倒れ、直弼が大老職に就き、斉彬がそれに反撃するまでが描かれる様です。サブタイトルからすると斉彬の死までが入るのかな。その激動の中で西郷が活躍する様ですね。予告には四転五転する展開とありますので、どんな回になるのか楽しみに待ちたいと思います。」
参考文献)
「西郷隆盛」 「西郷隆盛 維新150年目の真実」 家近良樹著 「西郷隆盛 手紙で読むその実像」 川道麟太郎著 「史伝 西郷隆盛」 海音寺潮五郎著 「西郷隆盛53の謎」 原口泉著 「勝海舟と西郷隆盛」 松浦玲著
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