第52回 京の冬の旅 ~大黒寺~
今年も京都冬の旅の非公開文化財特別公開が始まっています。その最初に選んだのは大黒寺、伏見区鷹匠町にある小さな寺です。
創建は古く平安時代の初期で、真如法親王が開基となっています。真如法親王は桓武天皇の孫で、高岳親王と呼ばれていた頃は嵯峨天皇の皇太子だったのですが、薬子の乱に巻き込まれて廃され、出家して真如法親王と名乗る様になります。その後空海に弟子入りし、その十大弟子の一人となりました。
大黒寺は初め長福寺と呼ばれていたのですが、1605年(元和元年)に薩摩藩の島津義弘が、島津家の守り本尊と同じ大黒天が藩邸からほど近い長福寺に祀られていたいた事から、時の伏見奉行に頼み込んで藩の祈祷所とし、本尊にちなんで大黒寺と改名させました。
今回の特別公開では、残念ながら本尊は秘仏であるため見る事は出来ませんが、不動明王像や毘沙門天像を見る事が出来ます。また、幕末に西郷隆盛や大久保利通が集い、国事を論じたという部屋が公開されており、西郷が実際に使ったという筆や硯に触れる事が出来ます。その部屋の欄間には龍の彫り物があり、それもまた必見ですね。
また墓地に行くと、江戸時代中期に幕府より命じられた木曽川治水工事に責任者として従事し、その犠牲者の多さと、多額に膨らんだ工事費の責任を一身に負って切腹して果てた平田靱負の墓を見る事が出来ます。また、寺田屋事件で亡くなった九烈士の墓もあるのですが、それは明日お伝えする事とします。
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