第53回京都非公開文化財特別公開 ~報土寺~
毎年恒例になっている京都非公開文化財特別公開、今年は報土寺に行って来ました。報土寺はかつての遊郭街、五番町に隣接して建つ寺で、遊女の投げ込み寺でもあった寺でした。五番町については、水上勉の小説「五番町夕霧楼」に詳しいですね。
その遊女たちの後日談として一つのエピソードが伝えられています。以前は本堂の東側に離れがあったのですが、実はそこは遊女の亡骸を置いておく場所でした。先代の住職の時、何も知らずにその離れを解体したところ、近隣で怪異が頻発する様になり、これは遊女たちの祟りだという噂が立ちました。そこで境内に観音像を建てて遊女を供養したところ、怪異はすっかり収まったとの事です。これがその観音像ですが、遊女たちの味わった辛苦は今でも続いているかのようです。
報土寺自体は本来遊女とは関係が無く、平安時代に別の場所に建てられたそうです。創建当時は真言宗で、後に荒廃と復興を繰り返す内に浄土宗に改宗されました。現在の地に移ったのは江戸時代の事で、現在本堂の東に安置されているこの地蔵尊は腹帯地蔵として、安産のお地蔵様として信仰されていました。
遊郭が形成されたのはこの寺が移ってきた後の事で、場所柄投げ込み寺となったのでしょうね。悲しい歴史を紡いで行ったのは、この寺の持つ宿命だったのでしょうか。
今回の特別公開では、本堂の他に重要文化財の阿弥陀如来立像が公開されています。この阿弥陀仏は正嘉2年(1258年)の銘があり、制作年次がはっきりしている希有な例です。およそ100年前に京都国立博物館に寄託されており、以来この寺に帰ってくるのは今回が初めてだそうです。元は近江の八幡宮にあったものとされ、その本地仏としてこの寺に祀られた様です。精緻な彫刻が施された美しいお顔の阿弥陀様ですよ。
また、かつてこの寺の塔頭に照福院という寺があり、その開基が黒田如水の妻、光(てる)だった事から、光の肖像画と位牌、それに墓が伝えられていて、今回の公開で見る事が出来ます。また如水の位牌も一緒に公開されていますよ。
京都非公開文化財特別公開は12日までとなっています。拝観料は800円と少し高いですが、それだけの値打ちのある特別公開だと思います。
アクセス 市バス 千本仲立売 徒歩3分
位置図
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