京都・洛東 第51回京の冬の旅 ~西翁院~
今年も京の冬の旅が始まっています。今回最初に訪れたのは西翁院、金戒光明寺の塔頭です。
西翁院は、1584年に、藤堂家御用商人であった藤村源兵衛によって建てられた寺で、寺号は源兵衛の法名にちなみます。黒谷の中でも奥まった場所にあり、この路地を行き当たったさらに奥に位置します。
写真は一切禁止なので寺内の画像はありませんが、一番の見所が淀看軒という茶室です。高台にあるため、はるか淀方面が見渡せるという処から付けられた名前でした。作ったのは源兵衛の孫である藤村庸軒で、千宗湛の弟子として四天王の一人に数えられる程の優れた茶人でした。
淀看軒は1685年頃に建てられたと考えられますが、それ以前の茶室の形式を良く残すとされます。これは庸軒が宗湛の影響を強く受けていた事に依るものと考えられ、わずか3畳の狭い茶室の中にしつらえられた半円形の仕切りなどにその特徴を見る事が出来ます。
また、茶室の北側には小さな枯山水があるのですが、三尊石とも滝組とも言われる石組みで、重森三玲氏が良く見に来ていたという逸話が残ります。
淀看軒は、縁側に立つと今でも大阪方面まで見渡す事が出来ます。かつての茶人たちが見た景色とは違っていますが、昔の人たちの気分に思いを馳せてみるのも悪くないと思いますよ。
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