京都・洛東 第41回京の夏の旅 ~ノートルダム女学院中学高等学校 和中庵~
今年の京の夏の旅、最初は和中庵に行って来ました。和中庵は修道院の跡で、ノートルダム女学院中学高等学校に隣接して建っています。
和中庵は、元を質せば藤井彦四郎という人が建てた別荘でした。彦四郎は倉敷紡績の創業者で、鹿ヶ谷の地に一万数千坪の敷地を買い求め、3年余の月日を掛けて和中庵や子息達の住宅を完成させたのでした。
和中庵には庭園もあり、いくつかの茶室も備えられていました。中でも樹齢200年を越えるというエドヒガン桜があり、毎年春には見事な花を咲かせていたそうです。この別荘には皇族も来訪されたとのことで、その絢爛さは今も垣間見る事が出来ます。
和中庵は、戦後大きく性格を変える事になります。アメリカからやって来たノートルダム教育修道会の4人の修道女が、京都で責務を果たすべき物件を物色していた時、和中庵と出会いました。和中庵を所有していた藤井家では、こんなに大きな家にはもう住まないと言い、自由に使って欲しいと修道女たちに提供したのでした。
修道女たちは別荘を修道院にすべく改造を加え、畳敷きを板張りにし、洋間を礼拝所に、シャンデリアを蛍光灯にするなどしました。ただこうした装飾には別荘当時の名残がありますね。多いときには60人の修道女がここで暮らしていたと言います。
最初に来た4人の修道女たちが建学したのが、現在のノートルダム女学院です。ノートルダムとは私たちの貴婦人という意味で、聖母マリアを指すと言われます。
やがて修道女たちの高齢化が進み、また建物の老朽化によって修道院としての役割を終了し、2008年に女学院に引き渡されます。最初は取り壊される予定だったのですが、一部でも残そうという機運が高まり、母屋こそ取り壊されたものの、洋館、奥座敷、蔵などは耐震補強を施した上で保存される事となったのです。
ここが奥座敷です。修道院当時は板敷きになっており、鴨居に留め金を付けてカーテンを吊し、個室に分割して使っていたそうです。洋館建ての別荘としての顔と、質素な暮らしを旨とする修道院と、二つの顔を持つ不思議な空間が和中庵ですね。
注意すべきは公開期間が他より短く、8月23日までとなっている事です。訪れようと考えている方は、ご注意願います。
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