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2012.09.02

平清盛 第34回 「白河院の伝言」

(仁安3年2月、寸白の病で倒れた清盛。騒ぎ立つ一門を鎮め、重盛に一門を統べよと命ずる時子。)

(伊豆で清盛危篤の知らせを聞く頼朝。この暮らしが変わる日は永遠に来ないと自嘲する頼朝。)

(内裏。清盛危篤の噂に動揺する北面の武士達。今こそあるべき姿に戻す時だと基房。その基房と会い、鳥羽院の嫡流たる以仁王を親王としてくれるよう頼む八条院。きっと、と笑う基房。)

(熊野詣の途上にある後白河上皇と滋子の一行。院の背中には腫れ物。その形が何かに似ていると滋子。そこに清盛危篤の知らせを伝える西光。急ぎ都に戻ると滋子。動揺を隠せぬ院。)

(六波羅の館。清盛の看病をする盛国。熱に浮かされている清盛。)

(舞子の腹の中に居た頃の夢を見る清盛。白河院と双六をする舞子。)

(六波羅。病気平癒の祈祷をする僧侶達。熊野の権現様に祈らせると忠度。娘達を叱咤する時子。)

(頼政の館。平家の繁栄は清盛あっての事、万一の事があれば隙が生じる、その時こそと本心を仲綱に打ち明ける頼政。)

(牛若に、清盛は本当の父ではないと教えた常磐。)

(紀伊国、切目。大雨で足止めされた後白河院の一行。苛立つ院。高い志の無い無頼の高平太に政など出来ないと吐き捨てる西光。政に大事なのは財力、今死なれては何の為に経子を重盛の妻としたのか判らないと成親。)

(六波羅。降りしきる雨を見ている重盛。そこに、山法師に強訴の動きがあると伝える忠清。急ぎ支度をせよと命ずる重盛。そして宗盛を呼び、鴨川沿いに残された者たちの為に手の者を動かせと命じます。)

(宗盛を掴まえ、清盛に万一の事があればお前が棟梁となれと時忠。とまどう宗盛に、先妻の子が棟梁となる道理はない、正妻の子であるお前が棟梁とならなければ一門が乱れると説く時忠。そこに現れ、そんな世迷い言に耳を貸すなと時子。本当にそれでよいのかと時忠。その様子を廊下の向こうから見ていた重盛。それに気付く時忠たち。宗盛に早く仕事をしろと命じ立ち去る重盛。)

(清盛の夢。祇園女御と白河院と共に居る舞子。祇園女御と双六に興じる白河院。そこに鴨川の氾濫と山法師の強訴の動きを伝える近臣。双六の賽を振り、その目の悪さに苛立ち、盤を崩す白河院。鴨川の水、双六の賽、山法師、この三つは白河院の威光を持ってしても思う様にはならないと女御。苦虫を噛みつぶした様な白河院。)

(腹の大きくなった舞子に、子供を産んだら青墓に帰れと忠告する女御。)

(璋子が伏せっているとの知らせに、陰陽師を呼べと命ずる白河院。)

(災いの種が宿っていると占う陰陽師。)

(舞子に腹の子を流せ、その子は王家に災いをもたらす忌むべき命だと命ずる白河院。)

(苦しむ清盛。)

(草原を逃げる舞子。追う為義。)

(のたうつ清盛。)

(馬小屋で赤子を産んだ舞子。その場に居合わせた忠盛。)

(苦しみ続ける清盛。)

(清盛と共に自害しようとした舞子。それを止めた忠盛。)

(母の乳を飲む赤子。)

(清盛の見舞いに訪れた乙前。)

(切目。止まない雨を焦燥した様子で見ている後白河院。背中の腫れ物に薬を塗ってやる滋子。清盛が居なくなる事が怖い、あの挑む様な目を見ていると、自分の居場所があると安堵出来るのだと涙する院。腫れ物は双六の賽に似ていると滋子。それを聞き、輿を出せと命ずる院。)

(雨の中、帰洛を強行する院。引き返すべきと止める西光。輿を降り、自らの足で歩く院。)

(六波羅。時子に向かって、姉に代わって言ったまでと時忠。重盛も同じ子だと時子。本当にそう思えるのかと時忠。)

(清盛の枕元で、遊びをせんとやと歌う乙前。)

(義朝と戦かう清盛。)

(忠正を斬った清盛。)

(忠盛と海岸で戯れる清盛。)

(唐船に乗った清盛。)

(都に凱旋した清盛。)

(夢中になって生きていれば、なぜ太刀を振るうのか、なぜ武士が生きているのか判るのではないかと舞子。)

(清盛の病床に駆け込んで来た、ずぶ濡れで泥だらけの後白河院。)

(白河院の御所。白河院の前に引き据えられている舞子と忠盛。忠盛に舞子を斬れと命ずる白河院。舞子を妻にしたいと言い募る忠盛。武士の分際でと憤る白河院。体面のためだけに罪の無い女を斬れと命ずるならばと抗弁する忠盛。それを遮り、赤子を忠盛に抱かせ、短刀をかざして白河院に向かっていく舞子。舞子を襲う矢。)

(母上とうなされる清盛。)

(倒れる舞子。駈け寄る忠盛。)

(血まみれの舞子の側で、母上と泣いている清盛。)

(太政大臣の座の座り心地はどうだと声を掛ける白河院。あまり良い心地がしなかった故に早々に明け渡したと清盛。自分が院に拠る政を始めた様なものだ、やはりもののけの血が流れていると白河院。)

(保元の乱では身内と争い、平治の乱では共に武士の世をと誓った義朝を攻め滅ぼした。自分を上へ上へと駆り立てるのはもののけの血ではない、この身に浴びてきた血がそうさせるのだと清盛。)

(お前はまだ登り切ったその先の景色を知らないと言って賽を投げる白河院。何が見えるのかと清盛。その賽を振って、自分に追いつけば判ると白河院。)

(賽を拾って、白河院と双六盤を挟んで対峙する清盛。白河院に向かって微笑み、あなたを追い越してみせると言って賽を握った拳を振り上げる清盛。微笑する白河院。)

(あなた様を越えて見せまするとうなされ、目を覚ます清盛。それに気付いた後白河院。上皇様と言って身を起こす清盛。清盛を助け起こす盛国。)

(生きて戻ったかと後白河院。勝手に死んだりはしない、あなたとの双六遊びがまだ終わっていない故と清盛。この死に損ないがと上皇。笑う清盛。立ち去る上皇。手の中の賽に気付く清盛。背中の腫れ物に手をやる上皇。腫れ物は綺麗に消えていました。清盛の方を振り向く上皇。賽を握りしめて微笑む清盛。)

(頼政の館。清盛快癒の知らせに笑みを浮かべる頼政。)

(常磐の館。牛若に向かって、年が明けたら鞍馬寺に入れと命ずる常磐。いぶかる牛若の手を握り、憎しみとも悲しみとも無縁に、心安らかに過ごして欲しいと願う常磐。)

(全快した清盛を迎えた一門。重盛に何事も無かったかと問う清盛。鴨川の水が溢れたゆえ、川沿いの屋敷の修復が急務、また強訴の動きがあったが、何事もなく納まったと報告する重盛。鴨川の水、双六の賽、山法師、白河院の天下三不如意を我が意のままにしてみせようと、賽を見つめながらつぶやく清盛。)

(清盛の病で、心の蓋を開けてしまった人々。ただ一人、何の感慨も持たなかった頼朝。)

(北条の館で太刀を振るう政子。自分の明日に気付いていない頼朝。)

今回は病に倒れた清盛とその波紋が描かれました。ほぼ創作の回ではありましたが、平家を取り巻く人間模様も上手く描かれていたと思います。

まず、清盛が倒れた寸白の病とは、寄生虫による病と言われています。特に真田虫を指すとも言われますね。今でも怖い寄生虫ですが、当時は祈祷ぐらいしか打つ手が無かった事でしょう。ドラマでは描かれなかったのですが、最後の手段として清盛は時子と共に出家をしています。つまり、この世を捨て、仏の弟子となる事で病を抜けようとしたのですね。その甲斐あってか、やがて清盛は全快しています。

ドラマでは情緒的に動揺した後白河上皇でしたが、実際にも熊野詣の途中から引き返しており、その影響が小さくなかった事が窺えます。その理由としては、当時後白河上皇が目指していた高倉天皇の擁立の為には平家の力が不可欠であり、清盛に今死なれては元も子もなくなるという事があった様です。後白河院が清盛に対してどのような感情を抱いていたかは判りませんが、この時期に利害が一致していた事だけは確かですね。

ドラマにおいて描かれた重盛と宗盛の対立については、それほど明確なものでは無かったにせよ、潜在的には確かにあった事でした。重盛の館は小松という所にあったのですが、その家系は特に小松一門と呼ばれ、他の一門とは一線を画した一面がありました。その原因はやはり重盛の母が正妻の時子とは違うという所にあり、宗盛以下の兄弟との間には微妙な溝があった様です。ただ、清盛はあくまで重盛を嫡男として扱っており、表だった対立には至らなかった様ですね。それが露わになってくるのは重盛の死後の事になるのですが、それはドラマの終盤になって描かれるものと思われます。

頼政については、ドラマにあった様に源平の対立として描かれる事が多いのですが、実際には頼政は美福門院、さらには八条院の近臣という立場から行動したに過ぎず、源氏を裏切った訳でもなければ、清盛に対抗しようとした訳でもありませんでした。でも、ここではやはり源氏の一門として描かれる様ですね。

牛若については、やはり「義経」のリプレイを見ている様な気がします。でも、あのドラマで源氏の流れだと明かしたのは行家だったっけ。常磐はあくまで穏やかな生き方を望む母親だったかな。

ドラマとしては、清盛の病を機にこれまでの半生を振り返り、白河院のもののけの血というテーマがあった事を再確認させてくれました。そして、清盛は今の自分があるのは、もののけの血のせいではなく、自らが道を切り開いてきたからたと言い、白河院は自らを越えて見せよと賽を渡します。その賽が後白河院の腫れ物から出て来たという設定は意味深なものがありましたね。

次回は福原に本拠を移す清盛が描かれる様です。白河院から託された賽を振り、白河院も見た事が無かった先を目指すという事になるのかな。微妙な亀裂の走った平家一門を゜どう描かれていくのかも見所ですね。どんな展開になるのか楽しみに待ちたいと思います。

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