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2012.06.10

平清盛 第23回 「叔父を斬る」

(忠正とその子息に死罪を申し渡した信西。その様な法は無いはずと清盛。古にはあった、今の世の乱れを納めるためには復活させなければならない、それが政だと信西。そもそもが王家の争いであったはず、それなのに何故駆り出されただけの武士がこれ以上の苦しみを背負わなければならないのかと清盛。それは武士だからだと信西。いつまで武士を犬扱いするつもりかと叫ぶ清盛。従わないのなら、官位を剥奪し、領地財宝をことごとく召し上げると信西。卑劣なと、やっと声を絞り出す清盛。)

(廊下。衝撃のあまり、階段を踏み外した清盛。)

(成親に会い、帝への取り次ぎを頼む清盛。自分も散々に諫めたのだが及ばなかった、許して欲しいと頭を下げる成親。無言で飛びだして行く清盛。ふてぶてしい顔でそれを見送る成親。)

(義朝に為義と弟たちの斬首を命ずる信西。父と弟たちが、そこまでの罪を犯したとは思えないと義朝。戦場で相まみえても、肉親と命のやり取りをすると言ったのはそなただ、戦はまだ終わっていないと信西。恩賞は全て返上する、命ばかりは助けて欲しいと信西に縋り付く義朝。清盛は、叔父とその子を斬ると言い放つ信西。愕然とする義朝。清盛はこの先武士が力を持つ為には、今、何をしなければならないかを判っているに違いないと信西。)

(義朝の館。弓の稽古を見る為義。その姿を遠くから見る義朝。彼は由良を見つけるやいなや駆け寄り、その頬を張り飛ばします。何故連れ戻したりしたのだ、余計な事をしなければ父は逃げられていたかも知れないと叫ぶ義朝。懸命に引き離す郎党。何故だと叫び続ける義朝。愕然とする由良。その様子をじっと見つめる為義。)

(清盛の館。今宵西国に逃がしてしまおうと忠清。それより信西に賄を渡してはどうかと教盛。帝に直々に訴えてはと経盛。ことごとく反対する時忠。まじめに考えて欲しいと重盛。私はまじめだがと時忠。)

(清三郎のために竹馬を作る忠正。そこに現れ、静かに頭を下げる清盛。何かを悟った様子の忠正。)

(忠正に斬首を告げる清盛。一瞬目をつぶった忠正。しかし、従う気はない、すぐに手だてをと言いかける清盛。間髪を入れず、承知したと忠正。絶句する清盛。いつ斬られると忠正。彼が恐れているのは、自分が平氏の災いとなる事でした。両二日の内に行えとの事と告げる盛国。お前が斬れと忠正。そんなと清盛。自分が平清盛である事を見届けて欲しいと言ったはずと忠正。)

(義朝の館。苦しげに友切を見つめ、そのまま地面に叩き付ける義朝。座り込んで肩で息をする義朝に、源氏重代の太刀を乱暴に扱うでないと声を掛ける為義。力なく父を見る義朝。庭に落ちた友切を拾う為義。髭切と名を改めたと義朝。そうかと言って、太刀を義朝に渡す為義。苦しげに受け取る義朝。)

(縁に並んで座る為義と義朝。義朝に、殿上人となったそうだなと声を掛ける為義。はいと答える義朝。20数年前、忠盛が殿上人となった時、悔しくてならなかった、しかし、今お前がその望みを叶えてくれた、孝行な倅だと為義。言葉の出ない義朝。)

(源氏の棟梁の証しである太刀で自分の首を刎ねよ、親兄弟の屍の上にも雄々しく立て、それが源氏の栄光への道だと為義。じっと為義を見つめる義朝。)

(父が祖父を斬る事になったと鬼武者に告げる由良。苦しげに下を向く鬼武者。そなたもその目で見て来るが良いと由良。じっと由良を見つめる鬼武者。)

(一人座っている忠正。そこに現れ、申し訳ございませぬと這い蹲る頼盛。お前のせいではない、顔を上げよと忠正。自分の苦しみは一門が潰える事、ここで身内を斬る痛みを乗り越えれば平氏は栄える、そのためなら喜んで斬られると忠正。涙で声の出ない頼盛。)

(忠盛の鎧兜に向かって、申し訳ありませぬと詫びる家貞。)

(一人、苦しみに耐えている清盛。その姿をじっと見つめる時子。)

(翌日。清盛に刻限だと告げる盛国。無言で、ゆっくりと立ち上がる清盛。辛そうな時子。)

(4人の子を前に、断じて一門を恨むな、恨むなら父にせよと告げる忠正。辛そうな子息たち。そこに現れ、刻限だと告げる忠清。真っ先に立ち上がる忠正。そこに現れ、竹馬は出来ましたかと問う清三郎。済まない、出来なかったと微笑む忠正。なら帰って来たらと清三郎。清三郎の肩を抱き、そうしようと忠正。きっとと清三郎。ああとうなずく忠正。)

(待っている一門の前に現れた忠正たち。居並ぶ中に頼盛を見つけ、うなずく忠正。悲しげに見つめる頼盛。次いで家貞を見る忠正。泣き笑いの様な表情になる家貞。最後に清盛を見て、参ろうと告げる忠正。太刀を持って立ち上がる清盛。うなずき合う二人。)

(池禅尼と目があった忠正。じっと忠正を見つめ、頭を下げる禅尼。忠正を先導して行く清盛。涙を堪えている禅尼、時子、家貞たち。)

(六条河原。刑場に座る忠正とその子息達。御免つかまつると声を掛ける清盛。その様子を陰から見守る西行。)

(船岡山。背を向けて座っている為義と弟たち。髭切を手に為義の背後に立つ義朝。その様子を見に現れた鬼若。)

(静かに髭切を抜く義朝。その様子を見守る正清と鬼武者。静かに首を差し出す為義。)

(六条河原。忠正の背後で太刀を構える清盛。)

(船岡山。為義の背後で髭切を構える義朝。)

(六条河原。太刀を構えたまま、斬れない清盛。斬れと叫ぶ忠正。斬れないと、今にも泣き出しそうな清盛。)

(船岡山。ためらう義朝に、斬れと静かに語りかける為義。じっと見守る正清、鬼武者、鬼若。斬れないと義朝。)

(六条河原。斬れないと言う清盛に、それでも平氏の棟梁かと叫ぶ忠正。これから十万億土に旅立ち忠盛に会う、その時にあんな赤子を引き取ったために平氏が滅んだと言って欲しいかと罵る忠正。なおためらう清盛。)

(船岡山。ためらう義朝に、最後の頼みだ、お前の手で黄泉路に旅立たせてくれと静かに語りかける為義。なおためらう義朝に、斬れと叫ぶ為義。)

(六条河原。斬らぬか清盛と叫ぶ忠正。うわー、と叫びながら太刀を振るう清盛。)

(船岡山。叫び声を上げる義朝。)

(六条河原。忠正を斬り、肩で息をしている清盛。倒れている忠正。手を合わせる盛国と西行。)

(為義を斬れなかった義朝。髭切を地面に落とし、尻餅をついて、ああ、と叫び声を上げる義朝。)

(六条河原。忠正を斬ったまま動けない清盛に、我らも早く斬って欲しいと声を掛ける長盛。呆然と振り返る清盛。お願いしますと忠綱。)

(船岡山。這い蹲って泣き叫んでいる義朝。その義朝に、泣かずとも良い、もう良いと静かに声を掛ける為義。泣き続ける義朝。その背後で倒れる音がします。見かねた正清が為義を斬ったのでした。父上と叫ぶ義朝。その義朝を、最後の頼みも聞けない者が、我らの父を父と呼ぶなと罵る頼賢。父の供をしたい、早く斬れと口々に叫び、念仏を唱える義賢たち。その背後に立ち、太刀を構える正清。のたうつ義朝。次々に斬っていく正清。叫び続ける義朝。その様子をじっと見つめている鬼武者。)

(六条河原。次々と太刀を振るい、最後に倒れてしまった清盛。じっと見守る盛国。)

(信西に、処刑が終わった事を告げる師光。静かに、大路にて晒せと命ずる信西。突然笑い声を上げる師光。信西の本当の狙いは為義一党を殺し、摂関家の力を徹底的に削ぐ事にあった、戦の前からずっとこうなる様にし向けていた、悪左府以上に苛烈な人だと師光。それを聞きながら涙を流す信西。どこまでも付いて行くと師光。)

(清盛の館。寝込んだ清盛を介抱する時子。)

(清盛に向かって、力になれなかった事を詫びる成親。彼の用件は、帝が宴を催すというものでした。新しい世の始まりを祝いたいという主旨でしたが、清盛の様子を見て、俄の病と断ろう言う成親。しかし、行くと答える清盛。)

(内裏。後白河帝の宴。殿上人たちに、新しい播磨守、300騎を率いて戦で活躍した平家の棟梁だと紹介する成親。黙って平伏する清盛。その清盛に向かって、忠盛が殿上人となった時は認め難く思い、宴の場で散々にからかい辱めた、しかし今度の戦いで見せた武士の働きは認めざるを得ないと告げる忠通。そして、今後も朝廷の為に勤めよと言って杯を取らせる忠通。あの気位の高い関白がと言って驚く人々。静かに杯を干す清盛。)

(清盛に向かって、帝から直々の祝いを下されると告げる信頼。背後で響く鈴の音。清盛が振り向くと、白拍子たちの舞が始まったのでした。遊びをせんとやと今様を歌いながら舞う白拍子たち。じっと耳を澄ませる清盛。そのうちに白拍子の一人が清盛を誘いに来ます。誘われるままに、舞台に立った清盛。)

(謎の様な笑みを浮かべながら、皆の者、呑めや歌えと命ずる帝。直々のお声掛けはとたしなめる師光。それを無視して、我らは遊ぶ為に生まれてきた、戯れる為に生まれてきた。ここに居るのは選ばれた者、面白い事をするのを許された者たちだと言って縁先にまで歩み出る帝。)

(白拍子に囲まれたまま、じっと俯いて立っている清盛。どうだ生きる力が湧いてくるだろうと清盛に声を掛ける帝。ぞくぞくとして来ようと言って高笑いする帝。帝を睨む様にして振り向き、その前に跪く清盛。その目には涙がありました。このような晴れがましき宴に招かれ、身に余る光栄と口上を述べる清盛。その清盛を見下して、歪んだ顔で高笑いをする帝。)

(誰も居なくなった庭先。手を付いたままの清盛。遊ぶ為に生まれてきたとは何か、戦に勝って力を見せつけたところで何も変わっていないとつぶやく清盛。どこからともなく現れ、そのとおりだと告げる信西。怒りを込めて、信西と叫ぶ清盛。)

(そなたは叔父を斬ったという新たな荷を背負ったと信西。それはお前がと言いかける清盛。それを遮り、それだけの力があるという事だと信西。禍々しくも輝かしい荷を背負って道を切り開いていく力だと信西。信西を睨み付ける清盛。すべての荷を背負ってこの国の宝となれと信西。信西に歩み寄り、殴り倒す清盛。)

(太刀も手にした事が無い者が気楽な事を言うなと叫ぶ清盛。這い蹲りながら清盛を見上げ、太刀なら私も振るっている。この腐った世を根底からたたき直す為の見えない太刀をと信西。その返り血と自分の血反吐にまみれて生きているのだと信西。涙を流しながら立ち上がり、もうなれ合いは終わりにしよう、私は知力を持ってお前の野心を支える、お前は武力をもって私の政を補えと告げる信西。信西を睨み続けている清盛。共に世を変えようと信西。じっと信西と対峙する清盛。)

(清盛の館。滋子に向かって、勤めに出よと告げる時子。えっと聞き返す滋子。後宮にも人出が足りなくなっている、誰かの下に仕えよと時子。一門の為に使われるのは厭だと言ったはずだと滋子。そなたも棟梁の義妹だ、一門の役に立てと時子。姉らしくもないと滋子。今になって武士の妻になるとはどういう事かとやっと判ったのだと時子。)

(義朝の館。常磐に向かって、自分ではどう仕様もないので、義朝をよろしく頼むと由良。そんな事はと常磐。常磐の子を見て、優しい子に育ててくれ、自分は鬼武者を強い子に育てなければならないと由良。)

(呆然と庭を見つめている義朝。その義朝に向かって、元服したいと言い出す鬼武者。えっと鬼武者を見る義朝。早く大人になり、強い武者となって父を支えたいと鬼武者。鬼武者を抱きしめる義朝。それを見て、男泣きする正清。)

(元服した鬼武者に頼朝という名を与える義朝。)

(清盛の館。一門に向かって、平氏は常に一蓮托生と改めて宣言する清盛。)

今回は身内を斬らなければならなかった清盛と義朝の苦悩が描かれました。二人の悲しみと苦しみが克明に描かれ、見ていても息苦しく感じた回でしたね。

史実との関係で言えば、叔父を斬った清盛に対して実の親を斬った義朝に世間の風当たりはきつく、親の首を斬ったと罵られたと愚管抄にはあります。そのぶん、保元物語では義朝は自分では斬る事が出来ずに正清にやらせたと書かれている一方で、清盛は義朝に源氏一門を処分させるために進んで叔父を斬った腹黒い者として描かれています。このあたりバランスが取れているとも言えますが、清盛には気の毒な気もしますね。

為義を実際に斬ったのは誰かという事については諸説がある様ですが、どうやら義朝自身というのが史実らしいですね。ドラマでは保元物語を参照して正清に斬らせましたが、斬る側がためらうあまりに太刀を落としたり、斬られる側が念仏を唱えたりという場面もまた、この物語の描写を引用したものです。なお、斬った場所については船岡山が正しいと思われますが、保元物語では七条朱雀、愚管抄では四つ塚(東寺の南?)と記されています。

もう少し史実に触れておくと、ドラマでは同時進行として描かれていましたが、実際には忠正の処刑が二日早く行われています。保元物語に拠れば、忠正の処刑後に二度に渡って義朝が帝に赦免について奏聞した事が記されており、最後は後白河帝の逆鱗に触れてしまい、義朝が斬らなければ清盛に斬らせるという勅命が下ったとあります。ここまで言われた上に世間から非難されたという義朝には、何とも気の毒な話ではありますね。

次に、信西が長く行われなかった死罪を復活させた理由については、学者として故実に詳しかった信西が律令を厳格に適用したとする説、ドラマで師光が言っていた様に、信西が摂関家の力を徹底的に削ごうとしたのだとする説、武士の世界では、後の報復を防ぐ為に、反乱した者は死罪とする事が既に一般化していたのだとする説などが唱えられています。それぞれに説得力がありますが、信西が主導した事だけは確かな様ですね。信西はこの後、ドラマの最後に清盛に語った様に、平家をパートナーとして国政の改革に乗り出していく事になります。

ドラマに戻って、身内を斬らなければならなかった二人の苦悩ぶりは、見ている側にもひしひしと伝わってきました。斬られる側も同じで、特に為義が泣き叫ぶ義朝にもう良いと言って聞かせる様は、幼子に言って聞かせる親の様でもあり、真情に溢れていたと思います。

その処刑の様を鬼武者に見せた由良も凄い人ですね。さずかは武家の妻と言うべきなのでしょうか。それに応えた鬼武者もまた、武家の子らしい強さを持っていたという事なのいでしょう。後に平家を破滅に追いやるだけの強さを、この子は初めから有していたという伏線になるのかな。

信西について言えば、冷徹に見えた彼も、清盛と宋に渡ろうとしていた頃と何も変わっていないのでした。彼もまた、血の涙を流していたのですね。彼をそこまでに追い込んだのは、白河院以来、乱れに乱れた世に対する憤りでした。義朝ではなく清盛を同志に選んだのは、同じ憤りを持つ者として解り合えると思ったからなのでしょう。

そして、後白河帝について言えば、やはり彼は白河院の血を引くもののけなのでしょうか。苦悩する清盛を余所に、白拍子を呼んで華麗な宴を催し、平伏する清盛を見下して高笑いする様は、白河院の再来と言っても良い狂態ぶりでした。

彼を取り巻く近臣も癖のある者達で、二面性を見せる成親や愚人にしか見えない信頼など、今後の展開に向けての伏線が見て取れます。これからは彼らと信西、そして清盛の絡みが見所となって来るのでしょうね。

次回は相撲節会を主催する清盛が描かれる様です。清盛の太宰大弐就任に題を取った創作の回となりそうですが、現役の力士である豊真将が登場すると事前に話題になった回でもありますね。どんな収録となったのか、楽しみに待ちたいと思います。

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