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2012.02.19

平清盛 第7回 「光らない君」

(保延元年8月。都に凱旋した平家。ますますの発展を誓う忠盛。海賊を検非違使に差し出さず、一門に取り入れた平家。平家だけが栄えるためだったら、自分は許さないと兔丸。その時は好きにするが良いと清盛。)

(盛康が亡くなった。その直前、鱸丸を養子にと頼んだ清盛。頼みを承知し、盛国と名付けられよと応えた盛康。)

(源氏物語の世界に耽る時子。)

(琵琶の稽古に行く途中、清盛と出会った時子。それは雅さとはほど遠い、最悪のものでした。)

(あと一息で公卿という地位にまで上り詰めた忠盛。しかし、海賊退治の褒美は清盛に対して従四位下を賜るというものでした。)

(院庁に、恩賞の御礼ために登庁した清盛。そこで忠実に会い、あの手この手でのし上がろうとする平家だが、これ以上の昇進は無理だと嫌味を言われます。)

(腹の虫の治まらない清盛に、忠実は摂関家の長なのだからと言って聞かす盛国。何時の間にそんな事を知ったのかと清盛。早く一人前の武士に成りたくて家貞に教えて貰っているのだと盛国。どんなに頑張っても武士は王家の犬扱いだと吐き捨てる清盛。)

(雷雨の中、家路を急ぐ清盛主従。その途中、道ばたで苦しむ親子を助けます。)

(助けられた男は、高階基章と名乗りました。娘の名は明子。清盛ではないかと見込みを付けていたと基章。)

(明子の手料理を食べる清盛。自分の家は貧しいと打ち明ける基章。そして、突然、娘を妻として側に置いて欲しいと清盛に迫ります。高階家は遠く紫式部に繋がる家柄で、明子は琵琶の名手だと基章。突然の申し出に呆然とする清盛。)

(鳥羽院の子を産んだ得子。その子が皇女であった事に胸をなで下ろす堀川局。得子に産着を届ける璋子。受け取る謂われはないがと得子。産着はいくらっあっても足りないものだと自分の経験を言う璋子。一番目の崇徳帝はいつまで経ったもよだれが止まらず、四番目の雅仁がまた大変だったと言いかけた時、良く判りましたと話を遮る得子。)

(なぜ産着を受け取ったのかと御影。あれは嫌味ではなく本当に祝いをしに来たのだと得子。そして、忌々しいと言って、皇女の天児を床に叩き付け、璋子から貰った産着を着せます。)

(昼の日中に、鳥羽院に抱きついて皇子を産みたいと迫る得子。)

(歌の才を認められ、崇徳帝に召し出された教清。)

(瀬を早み 岩にせかるる滝川の われても末にあはむとぞ思ふ)

(と自作の歌を聴かせる帝。それを聞き、激しい恋の歌であると共に、もっと強い何かを求めている様に思えると答える教清。次は何時来るかと崇徳帝。)

(教清の家を訪ねてきた清盛。妻の春子に清盛を紹介する教清。教清に妻が居た事に驚く清盛。)

(時子に琵琶の稽古を付ける明子。清盛の事を聞き、まるで光源氏と明石の君との出逢いの様だと言い、明子をお参りに誘う時子。)

(とある神社。時子と明子がお参りに行くと先客が居ました。もう一度会えます様にと願っているのは清盛。時子に声を掛けられ、振り向いた先に明子が居る事に気付きひっくり返る清盛。あなたのおかけで光源氏に会い損ねたのだと時子。ではこれでときびすを返す明子。後を追う清盛。)

(明子に追いつき、船に乗った事があるかと聞く清盛。海を見た事があるのかと明子。海賊退治、唐船の事などを熱く語り始める清盛。興深げに聞いている明子。しかし、父の言った事は忘れて欲しいと言って去って行きます。)

(宗子に清盛の縁談を持ってきた家成。礼を言う宗子。これは従姉妹である宗子のために持ってきた話だ、そろそろ清盛という肩の荷を下ろしても良いのではないかと家成。)

(夜、一人琵琶を弾く明子。その家の近くで、琵琶の音を聞いている清盛。彼は何かを決意した様です。)

(あんな光らない君では、明子の気が乗らないのは当然だと時子。海や船や海賊の話をしてくれたと明子。そんな恐ろしげな話をしたのかと時子。そこに清盛からの文が届きます。)

(からふねの 風なき夜のここちして ゆくももどるも君ぞ知るべし)

(この歌は教清の代作でした。歌の意味を清盛に教えてやる教清。そこに明子からの返事が届きます。)

(小夜あけて ゆくえあやまつからのふね めざめし君の ひとりゆれけむ)

(歌の意味が判らない清盛に、行き先を間違った船に女の姿はなく、一人寂しく揺れている事でしょうという意味だと教えてやる教清。断られているではないかと叫ぶ清盛。こうした駆け引きを楽しむのが恋というものだと教清。)

(なかなか物語の様には行かないものだと時子。身分違いの恋をして、明石の君は幸せだったのだろうかと明子。)

(そこに乗り込んできた清盛。代作を頼んだ事を詫び、断るなら面と向かってきっぱりと断っていただきたいと明子に迫ります。あなたの気持ちに応える事は出来ないと明子。なぜ父の思いが判らない、長年住吉明神にお前の幸せを願ってきたのだと基章。それ故だ、清盛の気持ちに応えたとしても、それは真に想われての事なのか住吉様の力なのかと悩む事になる、お告げなどに惑わされたくないのだと明子。)

(住吉明神の力でそなたを想っていると言うのか、俺をみくびるでないと叫ぶ清盛。初めて会った時に清らかな女性だと思った、手料理を食べで毎日食べたいと思った、海賊や唐船の話に目を輝かせているそなたを見て、生涯側に置きたいと思った、自分の心に従って言っているのだと清盛。海に行きたい、清盛様の目に映る広い世を見たい、共をさせて貰えますかと明子。きっと連れて行ってやると清盛。)

(一人、家路を辿のながら、雀の子を犬君がにがしつる。伏籠の内に込めたりつるものを、と源氏物語の一節をつぶやく時子。)

(忠盛の屋敷。明子を連れて現れた基章。彼は右近衛将監、正六位でした。位違いだとこの縁談を渋る郎党達。位違いだからと一緒に暮らせないのはおかしいと清盛。勝手を言うが、なにとぞ許してもらいたいと忠盛に願います。何故、この娘をいとしく思うのかと忠盛。明子はつまらぬ戯れ言に左右される事なく、自分の力で乗り越えようとする人だ。こんな女性と面白く生きていきたいと清盛。それを聞き、明子を清盛の妻に迎えると宣言した忠盛。何となく面白くなさそうな宗子。単純に喜ぶ家盛。泣いて喜ぶ基章。様々な思いを抱いた平家の人々。)

(家成のもって来た縁談を断っても良いのですねと忠盛に確かめる宗子。すまないがそうしてくれと応える忠盛。どこか不満そうな宗子。)

今回は清盛の結婚を主軸として描かれました。その前に重要な出来事として、清盛が従四位下に任じられた事が挙げられます。これは史実にあるとおりで、海賊退治の褒美として、忠盛の譲りで清盛が叙任したものでした。この事は大きな意味を持ち、五位と四位の間には大きな壁があり、五位までは中級貴族、四位から上は上級貴族の仲間入りを果たした事になるのですね。当時清盛は18歳であり、この叙任は破格の出世と言われました。それだけ平家の家格が上がり、また清盛が平家の嫡流としての地位を固めた証しであるとも言われます。かなり大きな出来事であるにも関わらず、ちょっとドラマでの扱いが軽かった様な気がするのですけどね。

次に、鱸丸が盛国になったというのは、独創的な創作ですね。盛国は実在した平家の家人で、清盛の信任も厚かった人ですが、その出自は諸説があってはっきりとはしない様です。しかし、漁師出身だったという説は初めてでしょうね。まさかこう来るとは思っていませんでした。

そして本題に入りますが、清盛の最初の妻が高階基章の娘である事は史実にあるとおりです。ただ、ドラマにもあった様に、身分違いとも言える高階家の娘をなぜ室としたのかについては謎とされ、その理由ははっきりとはしていません。一説には、清盛と基章は職務上近い関係にあり、その娘を知るきっかけがあったのではないかとも言われますが、これもあくまで仮説ですね。だから、ドラマの様な創作も許されるという事なのかな。

なお、明子という名も、琵琶の名手という設定も、時子が絡んでいたという設定も、全て創作です。と言うより、何も判っていないというのが実情ですね。

ドラマとして見た場合、何もかも唐突すぎるという気はしますが、これまでの清盛の行動ぶりからすると自然な流れとも言えます。前回、平家の一門であるという自覚が出来たという割には、勝手すぎる行動とも取れますけどね。

どこまでも天然ぶりを発揮する璋子と、それを深読みして、ますます対抗心を露わにする得子。その得子に押されるままになる鳥羽上皇。史実はどうだったのかは判らないけれど、こんな感じだったのかもとふと思ってしまいます。ただ、上皇にもう少し迷いがあっても良さそうには思うのですけどね。今後、得子がますます怖い女性になって行きそうな予感がして来ました。

清盛が自分で縁談を決めた事が面白くない様子の宗子でしたが、史実としては清盛は家成の家に足繁く出入りしていた様です。それは家成の娘との縁談を期待して宗子が行かせたのではないかという推測する向きもあるのですが、逆に家格違いの望みでもあった様ですね。ドラマでこれが今後どんな波紋を描いて行くのか、ちょっと気になるところではあります。

最後に崇徳帝の歌ですが、教清が解説した様に普通は恋の歌と解釈されています。その一方で、実権を奪われていた事に対する無念を詠んだ歌だという説もあって、その場合はいつかは権力を取り戻そうとする意思が込められていると読み解くのですね。もっとも、この時期にはまだ譲位はしておらず、少し早すぎる解釈だと思うのですが、教清が鋭すぎるという事なのかしらん。

次回は頼長卿が登場するのですね。頼長を演じるのは山本耕史ですが、BSで再放送している陽炎の辻の坂崎磐音とダブって困るという気はします。でも、かつて鬼の副長と呼ばれた土方を好演した彼が、悪左府と呼ばれた苛烈な人物をどう演じてくれるのか、楽しみに待ちたいと思っているところです。


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コメント

なおくんのブログを見つけてから、月曜日のお楽しみができました。
なおくんの大河の解説を読み 昨夜のドラマをかみしめることができます。 なおくんはこの長文をいつ書いておられるのでしょう?早く読みたいこちらとしては、有難い限りです!

投稿: Atsuko | 2012.02.20 12:52

Atsukoさん、

大河のレビューは、まず6時からのBSの先行放送をパソコンで録画し、
おっかけ再生をしながらあらすじを書いています。
これが出来上がるのがだいたい7時過ぎぐらいかな。

後は休憩を挟んで史実との比較や感想ですが、
今は史実の部分が少ないので早くに終わりますね。
龍馬伝の時は史実部分が多くて大変だったのを覚えています。
清盛はこれから増えて来るのかな。

史実は、あらすじを読んであらかじめネタを仕込んでおき、
ドラマの進行に合わせて落とし込んでいくという感じですね。

何年もやっているので、慣れたという事も大きいです。

投稿: なおくん | 2012.02.20 20:43

日曜の夜は忙しいですね。でも楽しんでやっておられるのがこちらにも伝わります。6回のアベサダ通憲のガックリ顔は見逃していて、再放送で確認して笑っちゃいました。細かいとこ大好きです。 
何年も前からやってらしたんですか、もっと前から出会っていたかった! 
 

投稿: Atsuko | 2012.02.21 18:59

Atsukoさん、

阿部サダヲは面白いですからね、やはり注目してしまいます。

大河のレビューは新選組!からやってます。
次の義経と続き、間を開けて龍馬伝で復活しました。
去年の江と合わせて5年目になりますね。

誰に頼まれた訳でもなく、好きでやっている事なので苦にはなりません。
それに、京都探訪の手がかりにもなるので、
私にとっては一石二鳥の作業です。

投稿: なおくん | 2012.02.21 21:07

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前回が出だしの大きな見せ場だったとすると、今回はその後にきた静かで次の大きな出来事への地ならし的な内容であったように思います。その次の大きな出来事とは何なのか分かりませんが、女性問題が大きく発展していくのではないかと思えるような予感をさせるものとなっていたような気がします。 まず序盤戦のサプライズは、今まで清盛を支えてきた漁師の鱸丸が、盛康の養子となって平盛国と名乗ることになったことでしょう。一漁師がここまで露出しているのは何でだろうと不思議だったのですが、これで納得がいきます。これから上川隆也さん... [続きを読む]

受信: 2012.02.19 23:19

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