平清盛 第5回 「海賊討伐」
(宗子の二人目の子供、平五郎の誕生に沸く忠盛邸。忠盛と宗子に薦められ、生まれたての赤子をこわごわ抱く清盛。)
(役所に遅刻した清盛。そこに現れた義朝。何かと絡み合う二人を自分の家に連れてきた義清。)
(飢饉が続く世の中は、武士にとっての好機到来だと言う義朝。盗賊が増えればそれを討つのが武士の勤め、そのために日々腕を磨き、王家に武士の力を思い知らせたいと義朝。義朝は高い志を持っていると義清。そんな義清に向かって、武芸や歌の才を磨くのは出世のためであろうと清盛。自分は美しさを求めているだけだ、いかかなる世でも美しく生きる事が志だと義清。)
(義清にお前はと聞かれ、面白く生きたいと答える清盛。ふざけているのかと絡む義朝。)
(鳥羽上皇に政での協力を願う崇徳帝。しかし、乱れの元は先の白河院の政にあるとし、その血を濃く引く帝には口出しして欲しくないと断る上皇。治天の君である事を止めない鳥羽院。)
(揺るぎない権勢を持つ璋子。その璋子に娘の得子の身の振り方を頼みに来た藤原長実。彼は娘を帝の側に上げて欲しいと願い出てきたのでした。判ったと答える璋子。)
(上皇に得子に目通りをと願う璋子。それには答えず、なぜ自分に入内したのかと問う上皇。白河院の仰せだったからだと答える璋子。あの時は悲しくて、辛くて、入内してすぐに寝付いてしまった。その時、白河院に会うが良いと上皇が言ってくれたおかけで、院の寵愛を存分に受ける事が出来た。なんと優しい人だろうと思い、中宮として子を産もうという決心が付いたと続ける璋子。璋子の言葉を涙しながら聞いていた上皇は、狂った様に笑いだし、お前の様な女を相手にした私が愚かだった、お前は人の心が通じない物の怪だと言い放ちます。驚愕する璋子。)
(雷雨の中に飛び出し、泣き笑いする上皇。そこに現れた得子。彼女を見た上皇は、璋子の思い通りにはさせぬと言いながら、得子に抱きつき組み敷きます。上皇を受け入れた得子。)
(入内は諦めよと上皇。あなたは璋子という女によって傷ついている、その思いを遂げる為に役に立つ女になりたいと得子。上皇の后となった得子。)
(西海での海賊騒ぎについて朝議に掛ける長成。彼はこの事について詳しい高階通憲を呼んでいました。殿上人では無い通憲を見て笑う人々。彼らに向かって、ご一同こそ海賊騒ぎの元凶と言い放つ通憲。彼は自分の事しか考えぬ者達が政を行っている、その結果民が飢え、恨み辛みが重なって海賊となったのだと言いたい放題に言ってのけます。いきりたつ殿上人を押さえ、良く判ったと言い、通憲を下がらせる忠実。)
(4月8日、平氏に下った西海海賊追討の宣旨。困難な任務に勇み立つ忠盛と郎党達。自分も連れて行って欲しいと願い出る清盛。元より考えていた事と初陣を命ずる忠盛。自分もと願い出る家盛に、維綱と共に京にのこれと命ずる忠盛。それは清盛を跡継ぎにしようと考えての事かと忠正。そんな事は考えていないと忠盛。自分は跡を継ぐつもりなどないと清盛。その証拠に、平家の男子として扱って貰わなくても良い、荷役でも何でも引き受けると清盛。)
(夏。追討使として西海に旅立つ平家一門。それを物陰から見送りつつ、忠盛と自分とでは目指す高みが違うのだと為義。その為義に向かって、東国に行き、腕を磨いて来ると言い出す義朝。彼は乳兄弟の蒲田正清を連れて旅立ちます。)
(一人残された家盛は、母に向かってなぜ父と夫婦になったのかと問います。宗子は、忠盛は会ってすぐに平太との事を話してくれた、その時多くの事を抱えている忠盛を痛々しいと思った、その一端を担ってあげたいと思って平太の母となる事を決めたのだと答えます。)
(安芸の宿営地。伊勢から馳せ参じた伊藤忠清。手だてはと問う忠清に、船と俵を用意してあると忠盛。俵は米を狙ってくる賊への囮でした。一網打尽にしてくれると勇み立つ忠清。その忠清に向かって、海で暮らす者に利のある戦いになる、安芸の海はこれまでとは違う海だと承知されたいと鱸丸。鱸丸にそういうからにはさぞかし強いのだろうと絡む忠清。止める清盛と家貞。謝る忠清。その忠清に謝る事はない、志の違う者が口を出す方が悪いと忠正。申し訳ございませんと謝る鱸丸。)
(鱸丸は清盛の友、邪魔者の様な言い方は控えて欲しいと盛康。漁師など海賊側に居るのが道理だと忠正。その言い方は許せぬと忠正に絡む清盛。放っておけ、戦の準備だと忠盛。忠盛に従う一同。)
(清盛に向かって、平五郎を見てどう思う、可愛いと思うかと問う忠正。うなずく清盛。自分もそうだ、自分の子の時も家盛も可愛いと思い自然に笑えた、しかしお前には笑えなかった。お前は災いの種としか思えないと忠正。お前に流れる物の怪の血がいつか平家に災いすると気になって仕方が無い。お前が本当に兄の子ならと思うと、自分でも口惜しいのだと忠正。)
(こんなところまで来て何をしているのだと座り込む清盛。その時、何でも良いから食わせてくれという声が聞こえてきます。その声の主は通憲でした。)
(清盛に焼き魚を食べさせて貰う通憲。彼は安芸の海で見たいものがあるからと、荷車に隠れて付いてきたのでした。彼の独得の口ぶりに、あの日落とし穴から助けた男だと思い出す清盛。彼は物の怪の血を引いたという定めを負った以上、それに負けぬ力があるという事だと清盛を励まし、災いとなるも宝となるも自分次第だと諭します。)
(海賊討伐に乗り出す平家。囮となるべく、小舟に分乗して船底に隠れる清盛と郎党達。やがて響いてくる銅鑼の音。水平線から現れた巨大な海賊船。)
今回は平家の海賊討伐を主軸に、義朝の関東下向と得子の登場が描かれました。
まず、平家が海賊追討を命じられたのは1135年(長承4年)の事です。ドラマには描かれていませんでしたが、この時は検非違使であった為義と海賊討伐に実績のあった忠盛の二人が候補に挙がり、鳥羽上皇の裁定によって忠盛に宣旨が下ったという経緯があります。為義とその郎党には何かと問題行動があったため、もし為義が討伐に行ったなら沿道の国々を滅ぼしかねないというのがその理由でした。為義も随分と見損なわれたものですが、それだけ忠盛への信任が厚かったと言う方が正しいのでしょうか。
次に義朝が関東に下向したというのは、史実にある通りです。ただし、それがこの時期だったかどうかは定かではありません。その後、彼は関東、特に相模に勢力を伸ばし、源氏の基盤を築いて行く事になります。
面白いのは璋子と得子の関係ですね。特に璋子という人は一体何なのでしょう。およそ人の心が判らないと言うのか、天然系と言うのか、上皇が物の怪と叫びたくなるのが判る様なキャラクター設定になっています。現実の璋子がどんな人だったのかは判りませんが、このドラマにおいては一番面白い人かも知れません。
祇園女御の猶子であったという点においては清盛と共通しており、ある意味姉と弟と見る事も出来ますね。ドラマでは全く触れられていませんが、そんな事実を踏まえておくのも一興です。
一方で自虐的としか思えないのが鳥羽上皇ですが、史実においても璋子に対する思いは複雑なものがあった様です。そのあたりは、ドラマにおいても上手く表現されていると思いますね。ですから、ドラマにおける上皇のキャラクター設定は、結構的を射ていると言えるかも知れません。
そして、今回登場した得子ですが、ある意味歴史を動かした女性の一人と言えるのでしょうね。この人と璋子を巡る関係が、今後の展開に大きく関わって来るはずですから、大いに注目すべき人物の一人です。後に美福門院という美称で呼ばれる女性ですが、その一方で上皇を惑わした九尾の狐のモデルとまで言われるなど評価は様々ですね。このドラマにおいてはどのように描かれるのか楽しみにしているところです。
ちなみに、平五郎とは後の頼盛の事で、間の三と四とは経盛と教盛の事を指し、それぞれ母親が違います。
高階通憲は清盛と交流があった事は確かですが、こんなに人間味のあった人だったのかどうかは定かではありません。どちらかと言うと学者肌で、融通の利かない人という描かれ方が多い様に思うのですけどね。このドラマにおいては面白味のあるキャラクター設定になっており、阿部サダヲにはぴったりの役柄ではありますね。無論、安芸に付いていったという設定は創作です。
来週は清盛と海賊になった兔丸の出逢いが描かれる様ですね。史実とはかなり違う展開になりそうですが、そこはドラマとして楽しめたら良いなと思っているところです。
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