京都・洛西 第46回京の冬の旅 ~妙心寺塔頭 玉鳳院~
京の冬の旅、5カ所目は妙心寺塔頭の玉鳳院です。この寺は、妙心寺の開基である花園天皇が、伽藍の傍らに自ら建てた山内最古の塔頭で、開山である関山慧玄と禅問答を重ねた場所と言われます。その起源から、妙心寺では最も由緒のある寺とされています。
見所は多く、まずは障壁画で、狩野安信作とされる「麒麟図」、「龍図」、「山水図」、狩野益信作とされる「秋草図」を見る事が出来ます。中でも龍図は冒頭の写真にあるように、伝統的な構図で描かれており、お手本の様に見事な絵ですね。
開山堂である微笑庵は、元は東福寺にあったものだそうですが、室町時代の建築で山内最古の建物と言われます。妙心寺派の住職になるにはこのお堂の中で戒律を受ける必要があるという神聖な場所で、一般人は入る事が出来ません。
祥雲院殿は、豊臣秀吉の子である鶴松の霊屋で、夭折した鶴松の像が祀られています。利発そうな、可愛らしい子供の像でしたよ。
必見なのは、武田信玄、勝頼、信豊、織田信長、信忠の供養塔(墓石)が並んでいる所で、戦国のライバル同士が一同に会しているという珍しい光景です。
それぞれに経緯があって、武田家の供養塔は、武田家と縁の深い快川紹喜(武田家滅亡の時、菩提寺である恵林寺が信長の焼き討ちに遭った際、「心頭滅却すれば火もまた涼し」と言った事で知られる僧。)の弟子である南化玄興が妙心寺住職であった事から信玄の墓があり、勝頼と信豊についてはその首が京都で晒された後、妙心寺が引き取って供養塔を建てたものです。つまりは、首塚と言っても良いのかも知れません。
一方、織田家については、織田家の縁のある大雲院という塔頭が別にあり、そこで供養塔が建てられました。後に大雲院が廃寺となったため、供養塔を玉鳳院で引き取ったとの事です。こうした経過を経て、今の光景があるという訳です。出来れば、大河ドラマ「江」の放映中に訪れたかったなあ。
このほか、三つの趣の異なる庭や、日本最古と言われる唐門などがあります。ここは見るべきものが多い事から、行く前に予習をしておいた方がより楽しめる場所ですね。
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コメント
こちらはこんなに見所があったのですね!
今週のお休みは妙心寺三門には入ったのですが出かけたのが遅い時間だったので結局はこちらに寄らずじまいでしたA^^;
次回のお楽しみとして出かけたいと思います(*^_^*)
投稿: Milk | 2012.02.11 10:15
Milkさん、
ここは寄って損は無いところですよ。
特に江を見ておられたのだから、鶴松の像は必見です。
ドラマと同時進行だったらもっと良かったのですけどね。
投稿: なおくん | 2012.02.11 21:09