平清盛第1回 「ふたりの父」
(1185年、鎌倉。義朝の菩提を弔う寺の柱建てが行われています。その様子を見守る頼朝。そこに馬で駆け込んできたのは政子。彼女は壇ノ浦で義経によって平家が滅ぼされた事を知らせます。喜びに溢れる武者達。太刀を捧げて霊前に報告する頼朝。その背後で、口々に平家を悪し様に罵る武者達。ところが、頼朝は振り向き様、清盛無くして武士の世は来なかったと叫び、皆を黙らせます。おかしな事を口走ったと後悔し、再び柱に向かって頭を垂れる頼朝。)
(以下、頼朝のモノローグ。海に生き、海に栄え、海に沈んだ平家、その平家を築いた清盛という男こそが、真の武士であった。)
(1118年、京。草原を駆ける女。その女を追う源為義とその郎党達。彼らは白河法皇の命により、女を追っているのでした。女を見失った郎党を叱りつける為朝。必死に逃げ続ける女。)
(清盛が生まれた頃の武士は、朝廷の犬、王家の番犬と呼ばれていました。彼らは王家に命じられるまま、盗賊などの捕縛に当たっていたのです。)
(その日の夜。盗賊、朧月の追討に現れた平正盛。果敢に抵抗する朧月の一味。朧月と一騎打ちし、これを見事に討ち取った忠盛。その忠盛に、自分が盗みを働くのも、武士が人を斬るのも同じ事だと、呪いを掛けるが如く言い捨てて果てた朧月。)
(翌朝、捕らえた盗賊達を引き連れて都大路を行く正盛たち。その前に現れた関白の牛車。慌てて道を空け、路傍に跪く正盛達。)
(血の臭いがすると言って牛車を止め、外を覗いた関白、藤原忠実。朧月一味を捕らえた事を院に報告に行くと誇らしげに告げる正盛に、その血は盗賊の血かと吐き捨てるように言う忠実。そして、正盛の横に控える忠盛に向かって、その様な血まみれの姿で都を歩くでないと咎め立てをします。お言葉でございますが、と異議を唱え始める忠盛。これを押しとどめ、せがれの無礼を詫びる正盛。おー、いやいやと言い捨てて牛車を急かせる忠実。)
(川(鴨川?)。身体を洗いながら、武士が血にまみれて何が悪いと叫ぶ忠盛。そこにそっと匍いながら近付く菰を被った乞食。しかし、その乞食は水際で突っ伏してしまいます。大事ないかと言いながら近付く忠盛。彼が菰を撮ってみると、それは女でした。)
(女を家に連れて帰り、介抱してやる忠盛。そこに訪ねてきた為義。)
(正盛の着物が血にまみれているのを見て、何があったと尋ねる為義。朧月一味を召し捕ったと答える忠盛。それを聴き居て、平氏には盗賊退治を命じ、源氏には下賤の女を追捕らえよと命じられる、どこまで源氏を見くびっているのだと憤る為義。)
(忠盛に問われるままに、訳を話し始める為義。)
(鳥羽天皇の女御、璋子が入内後ずっと伏せっていた。その璋子を慰めるべく、手ずから水仙を摘む鳥羽天皇。それを止める堀川局。薬師にも僧侶にも治せぬだろうと言って、侍女に水仙を手渡す帝。)
(これは何かが取り憑いているのではないかと、陰陽師に祈祷させた白河院。その結果、病の元は女と出た。その女とは、院の元に出入りしていた白拍子で、院の子を宿している。その子は王家に災いをなす忌むべき子だと言われ、女に腹の子を流すように命じた院。しかし、女は逃げた。為義は3日の間女を追っているが、未だに見つけられずに居る。)
(手柄を横取りにするなと言い捨てて去って行く為義。)
(馬のいななきに驚いて家に戻る忠盛。そこでは、女が一人で子供を産み落としていました。その子は院のと問い掛ける忠盛。いきなり刃物で斬りかかる女。危うく避ける忠盛。さらに激しく斬りかかる女。赤子を産んだばかりの身体で無理をするなと言いながら女を取り押さえた忠盛。しかし、女は隙を見て忠盛を突き飛ばし、赤子を抱えて逃げようとします。太刀に手を掛けて脅し、悪いようにはしないから大人しくしてくれと言って女を鎮める忠盛。)
(いきなり手に持った刃物で赤子を突き刺そうとする女。捕らえられてこの子を殺されるくらいなせ、いっそここで二人とも死ぬと叫ぶ女を取り押さえ、死んでも子を守るのが母の勤めだろうと叱りつける忠盛。ところが、平気で人を殺す武士のくせにと反対に毒づく女。武士が太刀を振るうのは勤めだ、王家の命のに従っているだけだと反論する忠盛。つまらぬと吐き捨てる女。かっとなり、おまえこそ白拍子上がりではないか、そんな下賤な女に罵られる覚えはないと言い返す忠盛。下賤しいとは何だと言い返そうとする女。その時、赤子が泣き出します。胸を露わにし、赤子に乳を含ませる女。それをまぶしそうに見つめる忠盛。)
(正盛の部屋。忠盛が女を確保した事を聞き、それは平家の手柄だと喜ぶ忠正。しかし、女を院に差し出すつもりは無いと否定する忠盛。そして、正盛に向かってこの家に親子を匿う許しを請います。口々に反対する郎等達。しかし、捕まっては罪のない赤子の命が無くなってしまうと言い張る忠盛。頭領として、この様な事を許すわけにはいかないと正盛。ならば親子の縁を切られよ、こればかりは従う訳にはいかないと一歩も引かない忠盛。)
(母に抱かれて安らかに眠る赤子。なぜ我らを匿うと問う女。罪無き赤子を死なせて何が武士の誉れれか、自分の仕事に誇りを持ちたいのだと答える忠盛。女の名は舞子といいました。)
(院から舞子を捕らえられぬ事で叱責を受けている為義。今度は平家に探させると言われ、今暫くの猶予をと願い出る為義に、待てぬと一言で拒否を示す白河院。)
(そこに現れた祇園女御。舞子を捕らえてどうなさるおつもりか、赤子ともども殺すつもりですかと問う女御。彼女にとって同じ白拍子の出で、かつ故郷を同じくする舞子は、妹の様な存在でした。女は殺さないと白河院。赤子をを殺されては同じ事、そもそも自分が孕ませた子を殺せなどとよく思いついたものだと精一杯の皮肉を言う女御。璋子の命が懸かっている、それに比べれば遊び女に産ませた子の一人や二人と冷酷さを見せる白河院。)
(璋子の部屋。帝が手摘みした水仙を御簾内に差し入れながら、帝がお渡りですと告げる堀川局。今は会いたくないと断る璋子。)
(里帰りを願い出た璋子。きっと璋子は院が恋しいのであろう、7つの時から可愛がられて育ったゆえ無理もないと言い、早すぎる里帰りを案ずる堀川局に構わぬと許しを与える帝。)
(郎党を引き連れ、都大路を行く忠盛。その時、路傍から父を捜す子の声が聞こえてきます。それは、朧月の息子でした。泣きながら父を呼ぶ子を、痛ましげに見る忠盛。その耳には、あの日の夜、朧月が言った言葉が甦っていたのでした。)
(忠盛の家。洗濯をしながら忠盛の帰りを待っていた舞子。そんな事は侍女にやらせればよいと忠盛。ただ世話になっているのは性に合わないと言って、忠盛が持っていた着物を奪い取る舞子。しかし、その着物は血まみれでした。ばつが悪そうな二人。)
(洗っても洗っても血の臭いが消えない、武士は働けば働く程汚れて行くと吐き捨てる忠盛。洗濯をしながら、「遊びをせんとやうまれけむ。戯れせんとや生まれけむ。」と良い声で歌い出す舞子。それは何だと忠盛。今様ですと舞子。なんとのんきな歌だとあきれる忠盛。)
(生きる事は子供が遊ぶように楽しい事ばかりではないと忠盛。されど、苦しい事ばかりでもないと舞子。子供が遊ぶ時は目の前の事に夢中になっている、そういう事が生きるということではないか。楽しい時も、苦しい時も同じだと言っているのがこの歌だと思うと舞子。夢中で生きていれば、なぜ太刀を振るうのか、なぜ武士が今の世を生きているのか判る時が来るのではないかと舞子。)
(巨大な牡鹿をしとめた忠盛。)
(川で馬に水を飲ませる忠盛と、その側で洗濯をする舞子。その舞子に、照れながら牡鹿の角を、魔除けになると言って手渡す忠盛。微笑みながらその角を髪に刺す舞子。そしてまた「遊びをせんとや」と歌い始めます。)
(近くを通りかかった為義。舞子の歌声で、忠盛たちに気付きます。忠盛も妻を娶ったかと為義。しかし、郎党は、探していた女は白拍子だったはずと舞子の正体を見破ります。はっと驚く為義。)
(舞子の側を離れ、馬を曳きながら川縁を歩く忠盛。その隙に舞子に近付く源氏の郎等達。鳥の羽音に異変を感じ、引き返す忠盛。しかし、そこには舞子の姿はなく、牡鹿の角だけが落ちていました。)
(白河院の屋敷。庭に引き据えられている舞子と赤子。王家に災いなすものと知りながら産みおったかと罵る白河院。怯える舞子。そこに、璋子が快癒したという知らせを持って来た祇園女御。これで赤子が王家の命運とは何の関わりもないという事になるのではないかと言い、許しを請う女御。その時、忠盛が目通りを願い出て来ます。)
(庭先に座り、忠実の詰問に正直に答える忠盛。しかし、全ては王家のためにした事、陰陽師の戯言にたぶらかされ、時自身の子をころすなど王家の威厳に関わると言い張る忠盛。忠盛の言葉を聞き、良く判ったと白河院。しかし、このままでは陰陽師にたぶらかされ、大騒ぎをしたたおろかな院と誹られる事になる。よって、母親に命をもって贖ってもらおうと舞子に師を命じます。そればかりはと許しを請う忠盛に、そなたが斬れと命ずる白河院。)
(答えない忠盛に、逆らえばそちが不忠とみなされ命を奪われるぞと脅す藤原長実。その言葉に、一斉に矢をつがえ、忠盛を狙う北面の武士達。しかし、忠盛は意外な行動に出ます。舞子を妻にしたいと院に願い出たのでした。武士のくせによくほざいたと戦慄く院。)
(武士故に願う、武士として数多の者を斬ってきたのは、舞子や赤子の様な者を助けるためと思っての事、その様な政を院がしているからだと信じて来たからだ。そうではなく、ただ体面のために罪無き女を斬れと言われるのならと言い募る忠盛。その忠盛を遮るように赤子を手渡し、この子に良い名を付けて下さいと囁く舞子。あっけにとられる忠盛を尻目に立ち上がり、懐の小刀を取り出し白河院に向かっていく舞子。その舞子をめがけて放たれる無数の矢。血まみれとなって倒れる舞子。)
(呆然となりながらも、舞子の側に這い寄る忠盛。血の臭いが残らぬ様に片付けておけと冷たく言い張って立ち去る白河院。おののく長実。痛ましげに舞子を見る祇園女御。舞子の名を呼び続ける忠盛。泣き出す赤子。悲しげに涙を流す祇園女御。)
(草原で、赤子を抱いて立ちつくす忠盛。そこに通りかかった正盛。彼は平家の頭領として院に詫びに行くところでした。彼は忠盛に、此度は平家一門が滅びるところだった、しかし、あの女が一人で全てを引き受けてくれたのだ。王家に逆らえば大きな物を失う事になる、武士は王家に仕えている、そのために太刀を帯びているのであり、なぜと疑問を挟む余地など無い、と言い聞かせて去っていきます。)
(後に残った忠盛の耳に、舞子の歌と言葉が甦ります。彼は赤子に平太と名告げました。平家の太郎、つまり自らの子として育てる決心をしたのでした。)
いよいよ平清盛が始まりました。当ブログでは江に引き続き毎週日曜日毎にレビューを掲載して行く事とします。ただ、初回は長時間であった上に私自身のペースを掴めなかったために、かなりの長文となってしまいました。これでやっと半分なのですね。あまりに長くなりすぎたため、今回は二回に別けて掲載する事とします。史実との比較や感想は、明日まとめてアップしますね。
ざっとした感想だけを書いておけば、久しぶりに力の入った大河を見せて貰ったという気がしています。この先もこの調子が続いていけば、かなり面白いシリーズになりそうな予感がしますね。
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