京都の散歩道 紅葉案内 洛西編 1
今回は洛西編として、嵐電・嵐山駅を起点としたコースをお届けします。嵐山に通じている電車は、嵐電の他にもJRと阪急があるのですが、渡月橋までの経路が違う程度であとは共通ですから、今回のコースが参考になると思います。
さて、駅舎を出るとそこは嵐山のメインストリート、様々なお店が並ぶ賑やかな道が待っています。大勢の人が行き交う、これぞ観光地という雰囲気ですね。ここから嵐山・嵯峨野巡りが始まるわけですが、まずは代表的な名所である渡月橋から巡る事にしましょうか。
渡月橋へは駅を出て左手に歩いて行く事になります。時間帯にも依りますが、歩道は雑踏と言って良い程に混み合います。せっかくの行楽なのに人混みは嫌だと思われるでしょうけど、ここは我慢して歩いていって下さい。混雑は渡月橋の手前にある横断歩道のあたりがピークでしょうね。歩道から人が溢れそうになっていると思いますが、そこを過ぎれば雑踏からは開放されます。
歩道を渡れば、橋の上には行かずに左手、川下の方に向かいます。ここも人は多いのですが、さっきまでの雑踏よりははるかに快適に歩けますよ。ここに来た目的は、渡月橋越しに嵐山を見る事です。橋の袂に松をあしらい、大堰川の流れを横切る渡月橋とその背景の嵐山をセットにした眺めは、代表的な京都の景色の一つですね。絵はがき的ではあるけれども、素晴らしい眺めである事は間違い有りません。
写真的には、岸辺の紅葉越しに渡月橋を見るという構図が一つのポイントとなるのですが、残念ながら訪れるべきタイミングが難しく、上手く撮れた事は一度も無いですね。
嵐山はもみじの他にも様々な落葉樹があるので、紅葉そのものは早い時期から始まります。淡い色付きのモザイク模様ですが、秋の風情を感じるには悪くない景色ですよ。でも、山全体が息を呑むような色に染まるのは、やはりもみじが色付き初めてからになるでしょう。時期は年によって異なりますが、概ね11月半ば以降になるのかな。
ここから渡月橋を渡って中の島に行っても良いのですが、橋の上が混み合って時間が掛かると思われますので、ここでは上流側に向かう事にします。
橋の上流にある堰が一の井堰、平安京以前に秦氏が築いたという古い歴史を持つかんがい施設です。この堰の上流側に来ると景色が一変し、湖の様に静かになった水面に、綺麗に色付いた嵐山が写り込むという、とても穏やかな光景を目にすると思います。これも嵐山の貌の一つで、遊覧船に乗ってこの景観を楽しむのも面白い趣向かも知れませんね。
さて、京都吉兆を目印しに歩き、その次の角を右に入って下さい。入ってすぐ左にあるのが小倉百人一首をモチーフとした博物館「時雨殿」なのですが、最近は休館が続いています。オープンした時はかなり話題になったのですが、どうしちゃったのでしょうね。仕方がないのでここは素通りし、そのまま歩いていくと左手に宝厳院が見えてきます。ここも紅葉の名所の一つで、よく手入れされた回遊式の庭園を巡りながら紅葉を楽しむ事が出来ますよ。ここに入っても良いのですが、結構時間が掛かるので今回はパスします。時間に余裕がある時や、奥嵯峨にまでは行かないという時には寄って行かれると良いですよ。
そのまま道なりに進んでいくと、やがて天竜寺の参道に突き当たります。この天竜寺が今回のコースの二つ目の目的地となります。
天竜寺は足利尊氏が創建した寺で、京都五山の一位に位置付けられてきた由緒深い禅寺です。創建時には嵐山も渡月橋も全て境内に含まれていたという大寺で、足利氏の威信を賭けた事業だったのでしょう。しかし、その巨大さに比例して莫大な費用を要したため、造営は困難を極めました。そこで考えられたのが交易で、元寇以来絶えていた元との間に貿易を結び、その利益を建設費に充て様としたのですね。この策は見事に的中し、交易の成功によってようやく落成にまでこぎ着ける事が出来たのでした。この交易船は「天竜寺船」の名で知られ、その後も室町期を通して中国との交易は続行された様です。
境内の奥にある多宝殿に行くと後醍醐天皇の像があるのですが、これはこの寺がこの帝の御霊を弔う為に建てられた事を示します。つまり、北朝方として後醍醐帝と対立していた尊氏が、敵であった帝のために造営した寺であるという訳ですが、一説には帝の怨霊化を防ぐ為に発願したのだとも言われます。なにしろ平安期の崇徳帝の先例がありますからね、尊氏が祟りを恐れたとしても不思議はなかったと思われます。
さて、天竜寺の紅葉は曹源池の周辺がメインで、奥の庭園と参道沿も綺麗な紅葉を見る事が出来るポイントです。紅葉のタイミングは参道が比較的早く、曹源池周辺は11月半ばから後半にかけて見頃となる事が多い様です。とにかく境内が広いので、12月に入っても見頃の木がそこかしこに残っていると思いますよ。
ちなみに、ホームページの情報に拠ると、ちょうど今、曹源池周辺が見頃になっている様ですね。
明日はここから竹林の小道を通って嵯峨野へと歩みを進めます。
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