京都の散歩道 紅葉案内 洛東編 2
興正寺別院から出て、アスファルト道を東に向かいます。この道沿いには、村山紅葉さんの家があり、往来からも花に囲まれた母の山村美沙さんの写真を見る事が出来ますよ。ちなみに、その隣の家に西村京太郎さんが住んでいました。
その旧西村邸の前で道は左に曲がり、急な坂道となります。かなりの勾配がありますので、足下に不安のある人は無理をしないで三年坂に引き返して下さいね。で、この坂道を登り切ると、石の鳥居が聳えています。ここは十字路になっており、正面の坂を下ると京都護国神社、右手の石段を登ると正法寺、左手の石段を下ると龍馬坂から二年坂へと出る事が出来ます。
この十字路の周辺も紅葉の綺麗なところで、龍馬坂頂上のもみじや、その南側にある大銀杏、護国神社境内の紅葉などを眺める事が出来ますよ。ここでは、右手の階段を登って正法寺に向かう事にします。
正法寺には、ここからさらに115段の階段を登らなくてはならないのですが、それだけの価値のある景色が待っています。タイミングが上手く合えば庭園のもみじの紅葉に加えて、先程の坂の下の銀杏の黄葉がすぐ近くに見え、その先には裾を紅葉で彩られた八坂の塔があり、さらにはそこかしこの街路樹が色付いた京都の町並みが広がっています。そして、西の果てには紅葉に彩られた西山連山まで見渡す事が出来ますよ。これだけ素晴らしい景観は、京都でもそう多くはないと思われます。
ただし、この庭園には入れたり入れなかったりするらしく、その基準は残念ながら判りません。けれども、庭園に入る事が出来なかった場合でも、階段の上から京都の町並みは見渡す事が出来、長い階段を上っただけの価値はあると思いますよ。
正法寺からの石段を下りてくると、十字路から先は龍馬坂となります。龍馬の葬列が通った事からその名が付けられた道ですね。この龍馬坂を下りきったところにももみじがあり、毎年黄葉を見せてくれています。お薦めはこの黄葉を透かして見た八坂の塔ですね。訪れるタイミングが難しいのですが、上手く合えば他では見る事が出来ない景色と出会う事が出来ますよ。ここも見頃は11月末から12月初め頃にかけてが多いのかな。
龍馬坂を下りきると、そこは二年坂に続く通りです。ここからは再び人混みとの再会となりますが、仕方が無いところなので我慢して下さい。その道を右手に曲がり、暫く行くと高台寺に通じる石段が見えてきます。その石段と、さらに続く石段を上がれば高台寺駐車場に出る事が出来ます。
その石段を登り切ったところで振り返ると、目の前に八坂の塔を見る事が出来ます。これもタイミング次第では、紅葉に彩られた塔の姿を撮る事が出来るポイントですよ。
ここで高台寺に入るべきかどうかは、微妙な選択になります。と言うのは、高台寺が見頃を迎えるのは、これまで見てきた各ポイントよりも早い事が多いのですよ。つまり、ここまで綺麗な紅葉を見てきた場合は、高台寺は盛りを過ぎている可能性があるのです。ですので、どうするかはその日の状況をよく見て判断して頂く様にお願いします。大抵は外で呼び込みをやっているので、中の様子を良く聞いてから決めて下さいね。また、とても混雑している事が多く、一度入るとと結構な時間が掛かりますから、残り時間とも相談した方が良いですよ。
高台寺の紅葉そのものには素晴らしいものがありますから、タイミングも合い、時間も十分にあるという時には、是非入られる事をお薦めします。これは共通拝観券のある圓得院も同様ですね。
高台寺からはねねの道を通って円山公園に向かいます。途中の大雲院は中に入る事は出来ないてのですが、タイミングさえ合えば祇園閣にからんだ紅葉の写真などを撮る事が出来ますよ。また、芭蕉堂の背後にも大きな銀杏があって、茅葺きの屋根によく似合う黄葉を見せてくれます。
その大雲院の隣に祇園寺というコンクリート二階建ての小さな寺があるのですが、ここは元は祇園女御塚と呼ばれた石塔があった場所でした。祇園女御とは、平清盛の実母とも、伯母にして養母とも伝えられる女性ですね。この祇園寺が祇園女御とどういう関係にあるのかは判りませんが、この場所に女御が住んでいたという伝承があるのは確かです。ですので、清盛もまたこの場所で大きくなった可能性が高いですね。来年の大河ドラマに興味のある方は、チェックしておかれると良いポイントですよ。
話が逸れましたが、その祇園寺のすぐ隣にある石畳が大谷祖廟の参道です。ここではその参道に入ってみます。この参道の両脇は常緑樹がほとんどであまり紅葉とは縁が無いのですが、ところどころでツタが色付いていたりしますよ。その参道の突き当たりには山門が聳えていますので、そこを潜って一度境内へと入ります。
山門のすぐ内側には、二階建ての太鼓堂があります。かつては時を知らせる太鼓が二階にあり、定時ごとに叩かれていた様ですね。その太鼓堂の横には大きな銀杏があって、毎年綺麗な黄葉を見せてくれますよ。
銀杏の木の脇にある門を潜って境内の外に出ると、右手に長楽寺の参道が続いています。この長楽寺もまた古くからの紅葉の名所として知られてきたのですが、その割に訪れる人は少なく、穴場との一つと言っても良いでしょうね。紅葉のタイミングは参道が11月半ばから末に掛けてなのに対し、境内はほとんど12月に入ってからの事が多いのではないでしょうか。このタイミングの遅さが、空いている要因の一つになっているのかも知れません。ただし、来年は大河ドラマの影響(清盛の娘であり、安徳天皇の母である建礼門院が落飾した場所として知られます)で、混み合うかも知れませんね。
長楽寺の階段を下り、山門の前をすぐに右手に曲がると、そこは円山公園の東の外れになります。ここは円山公園の中でももみじが多く植えられている場所であり、また最も遅くに紅葉するスポットでもあります。ここまで来る人は希で、素敵な紅葉に包まれた静かな時間を、心ゆくまで過ごす事が出来る貴重なポイントですよ。紅葉のタイミングは、やはり11月末から12月初めにかけてが多いですね。
ここに来る頃には既に日も傾き掛けている事でしょうか。今年は「法然上人800年大遠忌」にあたり、知恩院では様々な行事が行われているのですが、その一環としてライトアップが11月27日まで行われています。ライトアップされるのは三門、御影堂、友禅苑などで、中でも紅葉に関して言えば友禅苑が綺麗でしょうね。
その隣の青蓮院でもライトアップが行われています。こちらは12月4日までですね。この寺も紅葉の名所として知られていますが、このライトアップはより芸術性の高いものを目指しているそうで、「光の由来」~熾盛の光の曼荼羅~という副題の付いた景観照明だそうですよ。
なお、先程紹介した高台寺・圓徳院でも同様にライトアップが行われており、昼の拝観ではなく夜の拝観にするのも良いでしょうね。
ライトアップを見た後は、再び祇園四条駅を目指します。(京都駅が便利な人は、地下鉄の東山駅に向かうのが良いでしょうね。)その途中で、余裕があれば祇園白川に立ち寄って見て下さい。ここは特別なライトアップはされていませんが、街路樹に照らされた紅葉が綺麗に見える筈ですよ。また運が良ければ、白川沿いの料亭の窓から、舞妓さんが踊る姿を見る事が出来るかも知れません。
以上で、祇園四条を起点とした東山の散歩道を終わります。明日は七条駅を起点とした散歩道をアップしますね。
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