京都の散歩道 紅葉案内 洛西編 3
常寂光院の門を出て、そのまま真っ直ぐ道を下ります。地図上では直接二尊院に繋がる道が描かれていますが、途中で通行止めとなっていますので入ってはいけません。
緩い下り坂を歩いていくと、やがて左前方に農地が見えてきます。嵯峨野と言えば田畑の中を歩いて巡る様なイメージがあるかも知れませんが、実際にはほとんどが住宅地となっており、この景色は貴重な存在です。農地に隣接して落柿舎があり、確かこの農地は景観を守る為に意図的に残されているじゃなかったかな。
農地の半分は水田で、初夏から秋にかけては古代米が栽培されており、落柿舎とあいまってこれぞ嵯峨野という景色を見る事が出来ますよ。紅葉の時期だと、上手くすれば畑にコスモスが咲いていて、落柿舎と絡めた写真を撮る事が出来るかも知れません。
落柿舎の紅葉は母屋の前にあるもみじが中心となりますが、それ以上に黄色く色付いた柿の実がポイントとなります。この実がたわわに実っているととても絵になりますが、少ないとやはり物足りなく感じてしまいますね。紅葉の時期はやや遅く、11月後半から12月始めにかけて見頃になる事が多いと思われます。
また、この農地の南側には土佐四天王の像があり、幕末史ファンにとっては訪れるべきポイントの一つとなっています。まあ、ここに銅像を建てた理由はかなりこじつけっぽいのですけどね。
さて、農地の西側の道を歩いて二尊院へ向かう事にします。暫くの間鬱蒼とした木立の中を歩いて行くと、やがて道が開けて左手に二尊院の山門が見えて来ます。
二尊院は天台宗の寺で、釈迦如来と阿弥陀如来の二体のご本尊を持つ事からその名が付けられています。嵯峨野における代表的な紅葉の名所の一つで、山門から真っ直ぐに続く参道「もみじの馬場」が特に有名ですね。
紅葉は参道の他にも境内のそこかしこにあるのですが、その分紅葉の時期も幅が広く、11月前半から12月初め頃までどこかしらで見頃の紅葉を見る事が出来ると思います。もみじの馬場は、その中でもかなり遅い方ですね。
二尊院の次は祇王寺を目指します。山門の前の道を左に折れ、突き当たりをまた左に折れます。そして、暫くは道なりに歩いて下さい。二叉路に出たらまた左側に進みます。少し歩くとまた分かれ道に出ますが、今度は真っ直ぐ行って下さい。やや狭い道ですが、石畳の道ですから判りやすいと思います。また、祇王寺という案内板が出ていますので、迷わずに済むと思いますよ。
この奥に入っていくと、まず檀林寺という寺があります。とても立派な塀と門構えを有しており、如何にも由緒ありげに見えますが、普段ならここには入らずに、素通りされる事をお薦めします。
実は私も一度入った事があるのですが、それは凄いお宝の山を有しており、宝物館に入ると卑弥呼の鏡など国宝級の品々が無造作に展示されているのですよ。それだけでここがどんな所なのか想像が付くと思いますが、こと庭園の紅葉に関しては本物なのですよね。なので、全てを承知の上で、あえて覗いてみるのも一興かも知れません。まあ、しつこくお守りを薦められたりするというおまけは付くでしょうけどね。
壇林寺は余談として、その奥にある祇王寺に入ります。
祇王寺は、平家物語に出て来る祇王ゆかりの寺で、大覚寺の塔頭にあたります。明治初年に一度廃寺となったのですが明治28年になって再建されており、その時に元の京都府知事北垣国道氏が別荘の一棟を寄付されたのが現在の本堂なのだそうですね。こうした経過を考えれば、祇王在世当時とはまるで異なっているのでしょうけど、木立に囲まれて静かに佇む本堂の様からは、如何にも隠棲の地という風情を感じる事が出来ます。
その本堂の内部には祇王、祇女、母刀自、仏御前、そして清盛の像が安置されており、平家物語の世界を偲ぶ事が出来ます。来年はきっと大河ドラマの影響で、とても賑わう事でしょうね。
祇王寺の境内はほぼみもじで埋め尽くされており、紅葉の名所の一つとして数えられています。紅葉の時期は遅く、11月末から12月初め頃にかけて見頃となる事が多いようですね。特に紅葉が散った後の敷き紅葉が美しい事で知られ、嵯峨野の秋の掉尾を飾るに相応しい景色を見せてくれますよ。
祇王寺の隣には滝口寺があります。祇王寺と同じく平家物語に縁のある寺で、滝口入道(斉藤時頼)と横笛の悲恋の舞台であったとされています。
ここも紅葉の名所の一つなのですが、祇王寺ほどには知られていないですね。紅葉のポイントは本堂周辺になるのですが、境内のそこかしこにも紅葉を見る事が出来ます。紅葉のタイミングは早く、11月前半から中旬にかけて見頃となる事が多いようですね。ですので、祇王寺とセットで訪れるのは難しく、両方が見頃という事はほとんど期待出来ないと思われます。
明日はここから鳥居本へと向かいます。
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