京都・洛東 ~長徳寺・北向地蔵尊~
常林寺の隣に長徳寺があります。ここの百日紅はどうかなと思って山門から覗いてみたのですが、今年も見事に咲いていました。今年は不調の木も多い中で、これだけ咲いているのは立派なものだと思います。
その山門前にある地蔵堂が、この日は開け放たれていました。やはりお彼岸だけからでしょうけど、お堂の中を見るのは初めてでしたから、興味深く拝見させて頂きました。
正面にあるお地蔵様が、「北向地蔵尊」です。北は陰の方向にあり、悪霊や災いの神が住まう所とされています。その災いを取り除いて頂くために、わさと北向きに祀られているのですね。
この地蔵尊は、元は百済国王の守本尊だったという伝説を持っています。舒明天皇の時代に一切教と共に百済から日本に伝わり、長く宮中で奉祀されていました。その後、嵯峨天皇の代に西寺の守敏僧都に下賜されたのですが、やがてその西寺が衰えてしまいます。この地蔵尊はいつしか寺から持ち出され、物集女の里の地蔵堂に安置されていました。
これを知ったのが鷹司関白信芳公で、家臣に命じて地蔵尊を物集女から長徳寺に移し、改めて奉祀されました。この地蔵尊に篤く帰依した信芳公は94歳の長寿を保ったそうですから、延命地蔵尊としての霊験はあらたかだという事なのでしょうね。
などと判った様な事を書いていますが、これは地蔵堂にあったパンフレットからの引用です。以前からこの地蔵尊の由来を知りたいと思っていたところだったので、このパンフレットはとても参考になりました。
それにしても、このお地蔵様の変遷を追うだけでも一つのドラマが出来そうですね。何気ないお堂の中に1400年の歴史が秘められているというのも、京都ならではの醍醐味という気がしています。
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