京都・洛西 山吹2011 ~松尾大社 5.6~
平成23年5月6日、山吹の咲く松尾大社を訪れて来ました。
実を言えば、松尾大社に来るのはこれが初めての事なのです。東山にある八坂神社とは四条通を結んで東と西の対極に位置するという関係にあるのですが、京阪組にとっては何しろ遠いのです。この日は京都駅からバスに乗って行ったのですが、時刻表にあったとおりきっちり40分掛かって着きました。
この神社で楽しみにしていたのが、重森三玲氏作の庭園です。昭和50年に完成したのですが、三玲氏の絶作でもあるのですね。庭園は3カ所あり、最初に訪れたのは曲水の庭でした。
その名のとおり、曲水の宴の場を現した庭で、曲水を形作る州浜、庭石を縦に使った石組み、それにさつきの大刈り込みと、いかにも三玲氏ならではの作庭になっています。東福寺の塔頭、光明院の庭に通じるところがありますよね。
次に訪れたのが上古の庭です。何となく殺風景でどうにも庭らしくないなと思っていたのですが、これは神社の背後の山にある磐座を象ったものであり、石組みではなく神々の意思によって据えられたものなのだそうです。この石の一つ一つが神々を象徴しており、他の庭とは一線を画す作品なのですね。
最後が蓬莱の庭です。蓬莱神仙思想の世界を池とそこに浮かぶ島々で表現した庭ですが、枯山水ではなく本当の池にしたところが目新しいですね。石の使い方が如何にも三玲氏らしいと思ったのですが、実はご本人は池の形を指示しただけで、後はご長男の完途氏が完成させられたのだそうです。最初で最後の親子合作の庭でもあるそうですよ。
松尾大社と言えば酒の神様として知られますが、その象徴的な存在がこの亀の井です。この井戸にまつわる伝説として、かつてこの泉が湧き出た時に、この水で酒造りをすれば家運が隆盛するという松尾の神のお告げがあったと言われており、今でも醸造家はこの水を酒造りの水に混ぜて使うのだそうです。
この時期に松尾大社を訪れたのは、山吹を見るためでもありました。以前からこの神社が山吹の名所である事は知っていましたから、一度は見ておきたいと思っていたのです。
山吹は境内の至る所で咲いていましたが、一番の見所はこの一の井川のほとりですね。川沿いに石橋や水車、それに白壁が並び、とても風情のある景色を見る事が出来ます。
でも初めての場所での撮影はやはり難しいですね。どう撮れば良いのか判らず、色々試してみたのですがなかなかこれはという写真は撮れません。
それに石橋近くに自動販売機があったり、水路の突き当たりにトタンの塀があったりするので困りました。この写真も水面にその塀が写り込んでいるのですよねえ。やはり何度も通わないと好ポイントは判らないです。また来年も同じ時期に撮りに来なくてはいけない様ですね。
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コメント
私も今年、山吹の頃に初めて行きましたが
あの自販機には困りました^^;
投稿: Milk | 2011.05.12 21:22
こちらは初めてでらっしゃいましたか。
私は2008年に行ってきましたよ~♪(←何故か微妙に自慢してる)
しかし私もポイントには悩みました。
花が小さいからちゃんと狙わないときれいに撮れないのに人通りも多くて…
また来年にでも出かけてみようと思います。
重森三玲氏の庭は斬新で力強くて気概のあるかんじがとても面白いと思います。
ここの庭は面積も広くて特に豪快ですよね。
おもむきがあるかと言うとどうかなぁ…?という気もしてしまいますが。
余談ですが、重森氏は代々お名前がかっこいいですよね。
(たしかお孫さんもモダンなお名前だったと)
投稿: まきぼう | 2011.05.12 22:42
Milkさん、
ねえ、あの自販機は邪魔ですね。
あれがなけりゃ、もう少し構図も取りやすいのだけどなあ。
でも、それも含めて何か考えなきゃいけないですね。
投稿: なおくん | 2011.05.12 23:53
まきぼうさん、
景色の良いところなのですけどね、
これはというアングルを見つけるのが難しかったです。
そう、通行人も多いですしね。
ただ通るだけなら良いのですが、
カメラを構えてウロウロされると絵にならないのですよねえ。
まあ、人の事は言えないのですが。
ここの庭はひと目で三玲氏作と判るくらい特徴的で、
それだけ力の入った力作なのでしょう。
ただ、この方の庭は、人によって好き嫌いが別れる様な気がします。
一種独特の個性と言いますかアクがありますからね。
お孫さんとは、杉森千青さんでしょうか。
確かにモダンな、かっこいいお名前だと思います、はい。
投稿: なおくん | 2011.05.13 00:02
おはようございます、なおくん様
意外でした~。
なおくん様はじめてのご参拝だったのですね。
そうなんですよねぇ、自販機やら電線やら結構アングルが難しいのです~。
今年は水車あたりの山吹が少ないように感じました。
ここ数年、見事にお花をつけるのは、境内南側の駐車場にある山吹のような気がします(笑)。
このところ一の井川は、そちら側から眺めることが多くなっています。
三玲さんのお庭は、個人的にはこちらのようなダイナミックなものではなく、御自宅の庭園美術館や瑞峯院のようなこぢんまりしたお庭の方が好みです。
白山吹は見られまして?
投稿: いけこ | 2011.05.13 09:31
いけこさん、
ええ、ここは初めてでした。
こうした有名社寺でも行った事がない場所はまだいくつかありますね。
大抵、遠い場所だからなのですが。
やっぱり、初めての場所は勝手が判らないですね。
何度か通い込まないと、本当の良さは見えてこない様です。
ところで、駐車場南側にポイントがあるのですね。
今度探してみます。
そう言えば、三玲さんの自宅にも行った事がないな。
ここも一度は見ておかなくてはいけないところですよね。
白山吹はですね、紫陽花園の斜面を登りながら沢山見ましたよ。
ただ、花がまばらなので、あまり絵にならなかったです。
ああ、そうか、次は紫陽花を見に訪れる手がありましたね。
頭の隅に入れて置かなくては。
投稿: なおくん | 2011.05.13 21:03
なおくん こんにちはです (^-^)
松尾大社のお庭、素晴らしいですね!
特に「曲水の庭」
うねるように流れる水と滑らかな石畳!
上手に表現できませんが、まるで一つの生き物の様なお庭だな~と感じました。
山吹の鮮やかな黄色も緑に映え生きいきとしていますね。
私なんて今まで何も考えずに写真撮っていましたが、
これからは落ち着いて回りにも注意して撮らないと… と反省です (^^ゞ
投稿: mami | 2011.05.14 11:57
mamiさん、
この独創的な庭は三玲氏ならではの作品ですね。
禅寺では白砂で表現していた水流をここでは本当の水を使っている訳ですが、
その効果としてダイナミックな動きと瀬音が加わった訳で、
似ている様でも枯れ山水とはまるで違った世界になっています。
おっしゃるとおり、曲水の流れがこの庭に命を与えていると言えるのかも知れません。
山吹はとても綺麗でしたよ。
風情もあってとても良い所なのですが、せっかく良いアングルを見つけたと思っても、
自販機のけばけばしい色が隅に入るとだいなしになってしまいます。
それを隠そうと思うと構図が崩れたりと、とても難しかったです。
やはり気に入った写真を撮ろうと思うと、何度も通ってみるよりない様ですね。
投稿: なおくん | 2011.05.14 20:58