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2011.02.01

新選組血風録の風景 ~沖田総司の恋 その2~

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(新選組血風録の概要)

(池田屋事件の後、会津藩から医者達が来て隊士の手当てをしてくれた。しかし沖田については外傷が無く、医者の見立てでは内科の領分だろうという事であったが、取り立てて労咳であるとは言われなかった。しかし、会津藩の外島機兵衛が近藤に、沖田は労咳ではないかと耳打ちした。そして、京都には良い医者が居ると言って紹介し、手配まで請け負ってくれた。)

「池田屋事件の後、会津藩から医師が派遣されて来た事は、子母澤寛の新選組遺聞に記されています。その記述に依れば、屯所に来たのは容保公の御側御医師の二人で、吉岡昌玄と高橋須という人物でした。ただし、沖田を診察したとは書かれていません。と言うより、池田屋事件で沖田が倒れたとは全く記されていないのですね。この事が、沖田熱中症説の根拠の一つになっています。」

(10日ほど後、ようやく起き上がった沖田は屯所を抜け出し、近藤達には黙ったまま医者の下を訪れた。医者の名は半井玄節と言い、法眼の位を持っていた。その屋敷は四条烏丸を東に入ったところにある水口藩邸のさらに東隣にあった。)

「この記述は古地図を見るとほぼ正確に辿る事が出来ます。そして、水口藩邸の東隣とは四条高倉南側に当たります。今その場所に行くと、なんとまあルイ・ビトンの店になっているのですね。黒板塀の瀟洒な屋敷が煌びやかなブランドショップになっているとは、時代の流れを感じずには居られません。」

(沖田は門前まで来てみたものの、中に入るべきかためらっていた。その時、背後から若い娘に声を掛けられた。その様子からこの家の娘だと判ったが、沖田は恥じらい、間違いだと言って一度は立ち去ろうとした。しかし、思い直して立ち戻り、娘に患者の沖田総司ですと言って中に入った。)

「沖田が医者の娘と恋仲であったとするエピソードは、やはり新選組遺聞の中に出て来ます。近藤の娘婿である勇五郎の回想の中で語られている話ですが、単に医者の娘とあるだけで、どういういきさつがあったのか、その娘の名前は何だったのかなどは一切判りません。」

(診察室では、新選組だとは名乗らず、相手の言うままに会津藩士として通した。新選組の評判が、京都では酷く悪いという事を気にしたのである。玄節は薬は出すがとにかく大人しく安静にしている事だ、それが守れないのなら無駄だと言った。沖田は内心それは無理だと思ったが、大人しく寝ていますと答えて帰った。)

「池田屋事件から蛤御門の変まではひと月あまりですが、その間は沖田も療養に専念していた様です。しかし、その後は一番組長に任じられるなど、とても療養どころではなかったと思われます。このあたりも、近藤や土方は何をしていたのかと言いたくなりますが、きっと見かけ上は回復した様に思えたのでしょうね。このあたりが、この病気の怖いところでもあるのです。」

(それから以後、沖田は5日に一度は屯所を抜け出し、四条通を東に向かう様になった。土方はそれを気にして、沖田に女が出来たのではないかと近藤に相談した。近藤は悪い女ではあるまいなと気に掛けたばかりであった。)

(10月になった。ある日の午後、沖田が屯所から出ようとするところを、土方が呼び止めた。どこに行くのかと問い掛けると、清水寺に行くと答える。土方は自分も行くと言って沖田と共に歩き出した。)

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(土方は沖田が遊里に行くものと思っていた。ところが、沖田は八坂の塔から三年坂を過ぎ、清水坂を上り始めた。このまま清水寺に行くのかと聞くと、本当ですと沖田は答えた。)

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(やがて坂を登り切ると仁王門があった。そこから西門を過ぎ、さらに舞台へと出た。まだ紅葉には早かったが、舞台から見た谷には楓の葉が渦をなす様にして満ち溢れていた。そして西を見れば天が開け、西山の峰々と王城の屋根の波が目に飛び込んできた。豊玉の俳号を持つ土方はこの絶景を見て素直に喜び、沖田の目的が遊里でなかった事に安堵した。)

「この作品は、血生臭い話がほとんどであるこの連作にあって、美しい光景が描写されているという異色の作品ですね。豊玉師匠が描かれる事も少なく、土方の隠れた一面が覗く興味深いシーンです。」

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(沖田は自分の目論見がばれていない事を知った。彼は土方を誘い、石段を下りていった。そして、さりげなく誘導して音羽の滝の前に出た。)

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(土方は、音羽の滝が三筋のか細い流れである事を知って驚いた。彼は、名高いこの滝はきっと轟々瀑々たる飛瀑だろうと思っていたのである。沖田はこの滝の水が柔らかく、茶を点てるには良いとされており、茶を嗜む人はわざわざここまで汲みに来るのだと教えてやった。)

「三筋の滝にはそれぞれ御利益があるとされ、右から延命長寿、縁結び、学業成就と言われます。そして、もう一つの説があって、右から健康、美容、出世とも言わます。どちらを採るかはひとそれぞれですね。」

「この滝の水がお茶に良いとされているのは事実で、清水寺のホームページにもお茶の水汲み場となって来たという記述があります。今でもこの水を汲みに来る人が居ると聞きますが、こんなに大勢の人が居る中でどうやっているのでしょうね。よほど朝早くに来ているのかしらん?」

「私はまだ試した事が無いのですが、今度ペットボトルを持参して汲んで来ようかな。いったいどんな味になるのでしょうね。」

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コメント

今更だけれども
龍馬の次に新撰組も一度見ないとね♪^^;

前回の大河の頃はまだ興味がなかったものでヾ(^^;

投稿: Milk | 2011.02.02 20:53

Milkさん、

新選組も有る程度判ってくると面白いですよ。
各隊士が個性的で、銘々伝が出来る程エピソードにも富んでいますから。

新選組!は惜しい事をしましたね。
ここ数年の大河の中では白眉と言って良い出来でしたよ。
たとえ新選組を知らなくても楽しめるくらい、ドラマの出来として秀逸でした。

今度の血風録がどの程度の出来かは判りませんが、
原作はとても面白いです。
史実とは異なるところが多いけれど、
入門書としては最適ですよ。

投稿: なおくん | 2011.02.02 21:46

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