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2011.02.08

京都・洛東 節分2011 奉納狂言~平安神宮~

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この日のメインに据えていたのは平安神宮でした。午後0時から4時にかけて、次々に行事があるのですよ。その皮切りが大蔵流茂山千之丞社中による狂言奉納です。

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出演者の大半は素人の方の様でしたが、良く稽古を積まれていて楽しませていただきました。2時間があっと言う間でしたよ。

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最初の演目が因幡堂。因幡堂には朝一番に寄ってきたところなので、興味深く拝見しました。

筋立ては、大酒飲みで怠け者の女房に愛想を尽かした男が、女房が実家に帰ったのを幸いに離縁状を送りつけます。男は自由の身になったのは良いものの、独り身では何かと不自由なので、因幡堂に籠もって妻乞いのお通夜を行います。

一方、離縁状を受け取った女房は怒り心頭に達し、男が因幡堂に居るだろうと見当を付けてやってくると、果たして男がお堂の中で眠っていました。女房は一計を案じ、西の門の一のきざはしに立ったものを女房と定めよと枕元でささやきます。

男はこれを夢のお告げと受け取り、さっそく西のきざはしに向かいます。すると、そこには被り物を着た女が立っていました。男はこの女こそお告げにあった人に違いないと思い、恐る恐る確かめます。この間、女は一言も口をきかず、体を横に振っていやいやをしたり、上下に揺すってうなずいたりします。その仕草が奥ゆかしく見えて、男はすっかり気に入ってしまいます。

男は女を連れて帰り、固めの杯を交わそうとします。しかし、女は驚く程の大酒飲みで、なみなみと注いだ杯を一気に呑み干しただけでなく、次々にお代わりを要求します。前の女房が大酒飲みだったので暇を出したのに、代わりの女がこれではと男はとまどいますが、ままよと杯事を進めます。そして、どんな女かと被り物を取ったのですが、出て来たのは何と元の女房でした。

驚きつつもあれこれ言い訳をする男ですが、女房は騙されるはずもなく、遂には男は逃げ出してしまうのでした。

演じておられたこのお二人はとても素人には見えなかったのですが、調べた限りでは判りません。相当な芸達者である事は確かですね。

それにしても、この筋立てからすると、かつて因幡堂には妻乞いをするという習慣があったのでしょうか。ちょっと気になるところですね。

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こちらは土筆(つくづくし)です。誘い合って野遊びに出て来た二人の男が、春の野で土筆や芍薬を見つけて喜び、お互いに古歌を披露し会います。ところが、「風騒ぐなり」を「風騒 ぐんなり」と間違えたり、「咲くや この花」を「しゃくやくの花」と取り違えたりととんちんかんな事を言い合います。お互いにそれをあげつらって優越感に浸ろうとするのですが、そのやりとりが子供の喧嘩の様で面白い。

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ついには相撲でけりを付けようではないかという事になって、誘われ手のほうだったかな、が見事に勝ちを収めます。これで終わりかと思いきや、負けた方は相撲は3番となお負けず嫌いなところを発揮して、勝ち逃げする男を追いかけるのでした。

実はこの演目は2度目の公演で、先に女性二人によっても演じられています。普通は一日の内での重複は避けられると思うのですが、このあたりが素人公演の難しさでしょうか。もしかしたら、この話は初心者向けなのかしらん?

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そして、楽しかったのがこの柿山伏ですね。小学生くらいの女の子が、一生懸命山伏を演じてくれていました。

出羽羽黒山の山伏が、大峰・葛城での修行を終えて帰国の途中、腹を空かせてしまいます。何かないかと辺りを見回すと、たわわに実った柿を見つけました。これはしめたと、足下の石を拾って投げつけます。

「やっとな!」

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ところが、石は容易に当たりません。そこで今度は、脇差しを振り回してたたき落とそうとしますが、これも上手く行きませんでした。そこで山伏は、とうとう柿の木に登って食べ始めてしまいます。するとあまりの美味さに夢中になってしまい、止まらなくなりました。

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そこにやって来たのが柿の木の持ち主です。持ち主は柿泥棒が居ないかと見廻りに来たのでした。その持ち主に向かって柿の種を飛ばしてぶつけてしまう山伏。彼はまずい事になったと梢に隠れてしまいます。

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しかし、持ち主はすぐに山伏を見つけてしまいます。そして、山伏を懲らしめてやろうと、わざとあれに見えるは猿ではないかと大きな声を出します。そして猿ならきゃっきゃっと鳴くはずと言うと、ばれてはいけないと思った山伏は、おしりを叩いて猿の真似を始めます。

「きゃっきゃっ」

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持ち主は、今度はあれは鳶だと言い出します。仕方なく、両手を広げて鳶の真似をする山伏。調子に乗った持ち主は、鳶なら飛べるはずとさらに挑発します。ついその気になって木から飛び降りる山伏。しかし、大いに転んで、したたかに腰を打ってしまいました。

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これで懲りたかと言って帰り始める持ち主ですが、収まらないのが山伏です。彼は自分が柿泥棒であった事を忘れて持ち主を逆恨みし、持ち前の法力でもって持ち主を引き戻してしまいます。

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持ち主を組み伏せて、さあお前の家で介抱しろと迫る山伏。これはかなわぬと振りほどいて逃げる持ち主。逃がしてなるかと追いすがる山伏。

筋立ても面白かったですが、祖母と孫娘の様な組み合わせの演者の好演が、見ていて微笑ましかったです。

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最後の演目が福の神です。この中央で演じておられるのか丸石やすしさんというプロの演者ですね。さすがに立ち居振る舞い、台詞まわし共に格が違っていました。

毎年、年越しのお参りをする二人連れが居ました。恒例のごとく豆撒きをしていると、何と福の神が現れます。

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高らかに笑いながら現れた福の神は、金持ちにしてやるから酒をくれと要求します。福の神は、まず松尾の神に捧げると言って呑み、残った酒も全部一人で呑み干してしまいました。そして二人の男に金持ちになるには元手が要る、その元手とは心の持ち様だと諭し始めます。

つまり、早起きをして慈悲の心を持つ事、人がやって来るのを嫌がらない事、夫婦で仲良く暮らす事だと教え、最後には福の神に酒を献じる事を忘れない様にと念を押して、高笑いと共に帰って行くのでした。福々しく酒に目の無い、何だか庶民的な福の神ですね。

全ての演目を通じて後見を務めておられたのが茂山あきらさんです。茂山千之丞さんの息子にあたり、各方面でご活躍されている様ですね。この日は演者の後ろで台詞や次の展開を短切に指示されており、舞台の維持に力を尽くしておられるのが判りました。演者にとっては心強い存在だった事でしょうね。

奉納狂言はこれで終わり、次は境内での大儺之儀が始まります。

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コメント

なおくんの写真でどの辺におられたのかわかりましたヾ(^^;
こちらの演目すべて素人の方だと聞きました。
11日の観世会館の千之丞さんの追悼公演の予行演習
みたいなものだったそうです。(着付け先生談)
私は11日は休みでないのでいけませんが
この日も無料かつ撮影もOKらしいですよ(*^_^*)

投稿: Milk | 2011.02.09 00:07

Milkさん、

皆さん素人にしては頑張っておられましたね。
特に最初のお二人は素人には見えなかったです。

Milkさん達が帰られた後の柿山伏は、
可愛らしくも面白く、とても良かったですよ。
これを本格的な舞台で見ると、また違って見えるでしょうね。
でも、9時開演の様ですから時間が合わないなあ。

投稿: なおくん | 2011.02.09 20:45

学校でフリーのイヴェントを控え、そのポスターに使う予定だった写真が小さすぎる事に気づきました。狂言(特に山伏)のお写真を使わせていただきたいのですが、如何でしょうか。すみませんが、
至急お返事いただけませんか。宜しくお願いします。

投稿: Takako Yamaguchi | 2012.05.02 08:37

Takako Yamaguchiさん、はじめまして。

さて、山伏の写真を使用したいとの事ですが、
この写真は直接当該演者の承諾を得たものではありません。
当日は撮影フリーとなっていたのですが、
ポスターに使用するとなるとまた別の許可が必要かと思われます。
ですので、申し訳ありませんが、写真の使用はお断りするしかないと考えます。
ご要望に添えず申し訳ありません。

投稿: なおくん | 2012.05.02 20:29

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