京都・洛西 京都紅葉事情2010 ~総集編・愛宕念仏寺~
愛宕念仏寺は鳥居本のさらに奥、文字通り嵯峨野の奥座敷に位置するお寺です。
創建は8世紀中頃に遡り、稱徳天皇の開基によって愛宕郡に開かれました。この愛宕郡とは京都盆地の広い地域を指す地名であり、具体的には東山の六道の地にあった様です。当初は真言宗東寺派の末寺だったらしいですね。
平安時代の初め頃になると、この寺はかなり荒れてしまっていた様です。その上に、近くを流れる鴨川の洪水に襲われて堂宇を流失し、廃寺同然になってしまいました。
この惨状を知ったのが醍醐天皇でした。醍醐帝は天皇発願の寺が荒れ果てているのを悲しまれたのでしょう、天台宗の僧侶である千観内供(伝燈大法師)に復興を命じられました。これによって七堂伽藍を供えた寺として再建され、以後は天台宗の末寺となります。この中興の祖である千観が生涯念仏を唱えて絶える事がなかったので、いつしか愛宕念仏寺と呼ばれる様になりました。
その後は連綿と存続して来たのですが、明治の廃仏毀釈を経て大正時代に至る頃には、寺は本堂や仁王門を残すばかりに荒れ果ててしまいました。そして、大正11年に寺名と関係の深い愛宕山の麓である現在地に移築して復興を目指しましたのですが、上手くは行かずにまたしても廃寺同然になってしまいました。
本格的に復興が始まったのは戦後の事で、天台宗本山から住職を命じられた西村公朝の懸命の努力によって、本堂、地蔵堂、仁王門などが整備されました。また、昭和56年には、寺門興隆を祈念して素人の参拝者が自ら彫って奉納する「昭和の羅漢彫り」を初め、10年後の平成3年には1200体に達し、「千二百羅漢落慶法要」が行われています。
今では知る人ぞ知る寺として、密かな人気を集めています。特に紅葉が素晴らしい事で知られ、20年の時を経た羅漢像に乗った苔の緑がもみじの色と良く調和しています。訪れたのは11月14日の事でしたが、丁度見頃が始まったところの様でした。まだ色付きは浅かったのですけどね、嵯峨野の中では比較的早く見頃を迎えるポイントの様です。
場所は鳥居本の先、清滝トンネルの手前と言えば判るかな。鮎茶屋の平野屋さんから歩いて6分程のところにあります。鳥居本まで行く事があれば、ほんの少し足を伸ばされては如何ですか。
(ホームページはこちらです。)
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