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2010.11.07

龍馬伝45 ~龍馬の休日~

「高知、坂本家。久しぶりに届いた龍馬の手紙に盛り上がる坂本家の人々。そこにはお龍を妻に迎えたと記されており、寝耳に水の家族達を驚かせます。」

「坂本家の跡継ぎとして龍馬に期待している権平は反対しますが、女性陣は明日をも知れぬ龍馬と所帯を持ってくれたお龍は偉いと賛成に回ります。」

お龍については慶応元年頃から故郷に充てた手紙の中に名が見えており、それとなく親しい間柄であると家族に対して知らせています。そしてはっきりと妻であると明記したのは、慶応2年12月4日付けで伏見の遭難を知らせた手紙の中においての事です。さらに同日付けで乙女に充てた別の手紙では、お龍が居たなればこそ自分の命は助かったと記しており、お龍の印象を少しでも良くしておこうという配慮が伺えます。やはり家族に相談することなく妻を迎えた事について、龍馬なりに憚るところがあったのでしょうね。

「長崎、海援隊本部。一千挺のミニエー銃の使い道について、一つは徳川に対する脅し、もう一つは万が一の時に土佐を守る武器としての役割があると確認する隊士達。龍馬はこの銃を下関に運び、長州人にも見せてくると語ります。それは土佐藩の本気を示し、薩長土の足並みを揃えるためでした。」

「団結を見せる海援隊士達に対し、その一千挺は手切れ金だ、自分はもうお前達の面倒は見ないと言い捨てて去る弥太郎。その後ろ姿を見送りながら、先日弥太郎が言ったお前は疫病神だという言葉を思い出す龍馬。」

「土佐商会。これからがビジネスチャンスだと言いながら帰って来た弥太郎を待っていたのは、後任として着任した佐々木高行でした。彼は帳簿を見ながら、表向きは千挺と言いながらと実際には1万挺のミニエー銃を買ったとある、お前は土佐商会の金を勝手に使ったのかと弥太郎を問い詰めます。悪びれる事無く、その9千挺は他に売って金を儲けるためのもの、薩長が戦を始めれば必ず武器の値段は上がると答える弥太郎。」

「所詮は地下浪人がする事、品がなさ過ぎると吐き捨てる佐々木。商売は儲けるか損をするかであり、身分など関係ないと反発する弥太郎。彼は、これからの日本は生き馬の目を抜く世の中になる、身分などにこだわらず、覚悟を決めた者だけが生き残る事が出来るのだと言い捨てて去っていきました。」

「海援隊本部。龍馬が下関に発とうとしています。むそこに弥太郎がやって来ました。見送りに来てくれたのかと話しかける龍馬に、目録を持って来ただけだと言って、書き付けを放り投げる弥太郎。龍馬は、お前が用意してくれたミニエー銃千挺は決して無駄にしないと語りかけますが、自分に指図をするなと拒絶する弥太郎。仕方ないといった表情で、行ってくると弥太郎に言い捨てて出て行く龍馬。見送る隊士達。その背中に向かって、お前は金にならない事を必死にやるが良い、自分は正反対の事をしてやると言い放つ弥太郎。」

佐々木高行が長崎に赴任したのは、主任の弥太郎の後任としてではなく、出崎官である後藤象二郎の後任としてでした。この頃の象二郎は大政奉還を主軸とした政局に掛かりきりであったため、長崎どころではなかったのですね。この佐々木と龍馬はとても気があったらしく、丸山で遊興中の龍馬が佐々木を誘い出す手紙が何通か残されています。如何にも遊び仲間といった感じの文面で、二人の関係が伺えて興味深いものがあります。

「下関。慎蔵の案内で木戸貫治を訪ねた龍馬。そこには薩摩の大久保利通も同席していました。ミニエー銃を木戸と大久保に示し、これから土佐に運ぶ、これを背景に幕府に大政奉還を迫るのだと説明する龍馬。しかし、木戸と大久保は容堂候が大政奉還に同意していない事を知っており、嘘はいけないと龍馬をたしなめます。そして大久保は、挙兵する気がないのなら薩土盟約は破棄するとまで言いました。」

「木戸に向かって、戦は最後の手段である、幕府は揺らいでいる、必ず大政奉還は成し遂げられると迫る龍馬。徳川の力を残しておいては、いつまた政権を獲りに来るかもわからないと大政奉還案を否定する大久保。龍馬を捨て、大久保と共に立ち去ろうとする木戸。その木戸に追いすがる龍馬。」

「もうこれ以上、うろちょろと首を突っこまない方が良い、これは友としての最後の忠告だと囁く木戸。冷たく鋭い目で龍馬を見る大久保。一人取り残された龍馬。」

龍馬が下関に着いたのは慶応3年9月20日の事で、この日に木戸に充てて書いた龍馬の手紙が残っています。それによれば、大久保が使者として長州に来ていた事は確かですが、直接には会っていない様ですね。この時薩摩藩は既に武力討幕へと傾いており、大久保の用件は長州と共に挙兵するための打ち合わせでした。

もう少し詳しく書くと、薩土盟約を受けて後藤が土佐に帰ったのが7月8日の事でした。そしてすぐさま容堂候に説き、了解を得て京都に帰る手筈だったのですが、容堂候は大政奉還の建白書を提出する事には賛成したものの、薩摩藩から盟約の条件として示された出兵には同意しませんでした。また、土佐藩内の世論についても、板垣退助を代表とする討幕派が存在するなどばらばらで、これをまとめるのは容易でない事が判っさて来ます。さらに追い打ちを掛ける様にイカルス号事件が発生し、この事件の始末に1ヶ月以上の時間を取られてしまいました。

イカルス号事件が一段落し、大政奉還に対する藩内の意見が統一出来たのが8月25日の事でした。この間、薩摩藩内でも討幕派が力を増し、討幕を急ぐ長州藩からも突き上げがあって、小松や西郷らはこれを押さえるのに苦慮していた様です。彼らが武力討幕に踏み切らなかったのは薩土盟約があったからですが、9月7日に後藤が兵を伴わずに帰って来ると兵力の裏付け無しでの建白書提出の効果を疑い、その2日後には盟約を破棄してしまいました。こうして薩摩藩は討幕路線を鮮明にし、その使者として大久保が長州藩に派遣されたのですね。

ドラマとは違って龍馬が下関に来た時には、事態は大きく変わっていました。龍馬はと言うと、この間の事情を木戸から聞かされており、武力討幕もやむなしという意見に傾いていました。先の手紙の中で、後藤は土佐に戻すか長崎に移し、代わりに討幕派の板垣を土佐藩代表として派遣すると言っているのです。龍馬にそれだけの権限があったのかどうかは疑問ですが、明らかに方針転換をしているのですね。

龍馬が全くの平和主義者では無かった事は、この経過から見ても明らかだと言えそうです。

「伊藤邸。子供達と相撲をとっているお龍。そこに戻ってきた慎蔵と龍馬。うれしさの余り、龍馬に駆け寄って抱きつくお龍。」

「お龍の作った握り飯を食べる龍馬。龍馬の留守中、慎蔵と木戸に世話になったと報告するお龍。先程の木戸の態度を思い出したのか、一瞬口ごもる龍馬。彼は明日土佐に旅立つとお龍に告げます。やっと土佐の家族にあいさつが出来ると喜ぶお龍。今回は連れて行けない、土佐へはこの次に連れて行くと釘を刺す龍馬。」

「一人で待つのはもう嫌だと迫るお龍に、今は険しい道を歩いている、この道には女を連れて行く訳にはいかない、もう少しここで待っていてくれと頼む龍馬。それには答えず、慎蔵に席を外してくれと頼むお龍。お龍の不作法をたしなめる龍馬ですが、慎蔵の方が気を遣って部屋を出て行きます。」

「そこに、家主の伊藤がやってきました。龍馬と久闊を暖める伊藤。お龍と二人きりにしてやれと気遣う慎蔵。しかし伊藤は、龍馬が来た事を知った奇兵隊の面々が訪ねてきたと伝えに来たのたでした。なんとか断ろうとする慎蔵と龍馬。間に入って困っている伊藤。見かねて、もう良い、呼んで下さいととりなすお龍。助かったとばかりに、奇兵隊を呼ぶ伊藤。わびの印とばかり、今夜は一緒に風呂に入ろうとお龍を誘う龍馬。驚きつつも嬉しそうなお龍。」

「奇兵隊の面々と酒を飲み騒ぐ龍馬。龍馬の言っていた険しい道とは何かと慎蔵に聞くお龍。龍馬に正義がある様に、薩摩にも長州にも正義がある、人の心を一つにまとめるのは難しい事だと答える慎蔵。龍馬には味方が居ないのか、慎蔵は味方でしょう?と問い掛けるお龍。私は龍馬が大好きだ、しかしその前に長州人だと答える慎蔵。彼は、しかしお龍だけは別だ、龍馬が帰る場所はお龍しかない、どうか龍馬を支えてあげて欲しいと頼みます。寂しげな、とまどった様な表情で龍馬を見るお龍。」

「次の店に行こうと盛り上がる奇兵隊士達。もうここまでと遮る龍馬。どうぞ行ってきて下さい、風呂を沸かしておきますからと勧めるお龍。喜ぶ奇兵隊士達。すぐに戻ってくるからと出かける龍馬。」

「寝間を敷き、一人縁側に座って龍馬の帰りを待つお龍。」

「芸者を上げて騒ぐ龍馬達。酔い潰れる慎蔵。」

「花を生け、鏡を見ながら「うみ」と笑顔の練習をするお龍。彼女はもみじを拾って数を数える様に縁側に並べています。」

「隙を見て帰ろうとする龍馬。しかし、芸者衆にひきとめられてしまいます。」

「龍馬の帰りを待ちわびるお龍。」

「まどろむ内に、龍馬が襲われる夢を見て飛び起きたお龍。部屋中に敷き詰められたもみじ。動悸が収まらないまま、不安が彼女の胸をよぎります。」

「翌朝、料亭で目覚めた龍馬。横に眠っているのは芸者。乱れた着物をかき合わせて、これはいかんと飛び起きる龍馬。酔い潰れたままの慎蔵を後に、伊藤邸に駆け戻る龍馬。」

「伊藤邸。縁側に座ってもみじの葉をたき火にくべているお龍。そこに駆け戻ってきた龍馬。彼はお龍を見るなり、すまん!と頭を下げます。何も言わずにピストルを取り出し、龍馬に突きつけるお龍。風呂がすっかり冷めてしまったと告げるお龍。すぐに温め直すと答える龍馬。ピストルを下ろして微笑むお龍。笑ってくれたかと近づく龍馬。その時、龍馬の横面を張り飛ばすお龍。」

「どうして帰って来てくれなかったのか、もう龍馬に会えない気がしていたと訴えるお龍。二度とこんな思いはさせない、約束すると謝る龍馬。」

「夕べは芸者と歌って踊ったのだろう、申し訳ないと思うのなら今度は私の為に歌ってくれと迫るお龍。喜んで歌うと三味線を弾き出す龍馬。ところが、歌が出てきません。なぜ歌が出てこないと龍馬が焦っていると、慎蔵が飛んできました。自分が付いていながら申し訳ない、酔い潰れてしまったのだとお龍に謝る慎蔵。彼は良い知らせと言って、今日は波が荒いので船が出ない、一日龍馬と一緒に居られると告げます。こみ上げる喜びに笑顔になるお龍。」

「お龍と遊ぶ為にやって来た慎蔵の息子達。龍馬が代わり遊んでくれると子守を押しつけるお龍。仕方がないと相撲を取り始める龍馬。縁側に置いたピストルに手を伸ばすお龍。それを制して、これは自分が預かる、代わりにこれをと手紙を手渡す慎蔵。」

「お龍に充てた乙女の手紙を読むお龍。そこには、龍馬の妻になって呉れた事への礼、龍馬は昔は泣き虫で困った事、今でも甘ったれだから、何かしでかしたら遠慮無くひっぱたいてやってくれとの伝言が認められていました。もうやってしまったと微笑むお龍。土佐で会える日を楽しみにしていると書く乙女に、おおきにと礼を言うお龍。」

「二人して海岸を散歩する龍馬夫妻。そこで鬼ごっこをしていた子供達。鬼になって一緒に遊ぶ龍馬とお龍。」

「子供を作ろうと言い出す龍馬。名前をどうすると聞く龍馬に、龍という字を入れて欲しいと答えるお龍。自分たちの子供は、誰よりも元気がよいと言う龍馬。はいと答えるお龍。」

「伊藤邸。二人して寝ころびながら、乙女からの手紙に、子供の頃は泣き虫だった事、今でも甘ったれだと書かれていたと告げるお龍。未だに子供扱いだと苦笑する龍馬。早く龍馬の家族に会いたいと願うお龍。もうすぐたと答える龍馬。」

「寝物語に、土佐には桂浜という大きな浜がある、そこには時々鯨がやって来る、土佐の大殿様はその鯨が海の水を飲む様に酒を飲むらしいとお龍に聞かせる龍馬。面白そうに聞いているお龍。」

「その大殿様を説得に行くのだと告げる龍馬。龍馬なら大丈夫、志を成し遂げて早く私の所に帰って来てくれと答えるお龍。自分を信じてくれるのかと聞く龍馬。あたりまえや、私は坂本龍馬の奥さんやと答えるお龍。ありがとうと言って、お龍を抱きしめる龍馬。」

「夜半、お龍の寝顔を見つめる龍馬。彼はお龍に布団をかけてやり、縁側に出て月夜の彼方とお龍の寝姿を交互に見比べます。」

「翌朝、お龍の握り飯を受け取り、ありがとうと礼を言う龍馬。彼は慎蔵にお龍を頼むと言って部屋を出ます。」

「出入り口で龍馬を見送るお龍。すぐに戻って来るから待っていて呉れと笑顔で立ち去る龍馬。はいと言って、笑顔で見送るお龍。いつまでも龍馬の去っていった方角を見つめるお龍。」

龍馬がお龍との最後の日々をどう過ごしたのかは判っていません。でも、ドラマを見ていると切なくなってきますね。きっと、もっと一緒に居たかった事だろうな。

「船上の人となった龍馬。」

「薩摩藩、京都藩邸。小松帯刀に向かって、討幕の勅命を貰う様に進言する大久保。賛同する西郷。口々に小松に決断を迫る藩士達。」

「二条城。フランスが資金の提供を断ってきたと報告する小栗。フランスは幕府が薩長に負けると思っているのかと惑乱する慶喜。」

「長崎。お慶と小曽根乾堂に、9千挺のミニエー銃を買い取って欲しいと頼む弥太郎。その銃はやがて高値で自分が売りさばく、その時には分け前を渡すと約束する弥太郎。土佐商会の主任を解任されたのではないのかと危ぶむ乾堂とお慶。いよいよ自分のカンパニーを立ち上げるのだと宣言する弥太郎。」

この時点で弥太郎が自分の会社を立ち上げたという事実はありません。彼はこの後、土佐商会主任というポストはそのままに、上士格に取り上げられるという異数の出世を遂げる事になります。もっとも、それは龍馬の死後の事となるのですが、ドラマの描写とは大きく異なりますね。

「慶応3年9月23日、土佐に帰ってきた龍馬。」

「高知、後藤邸。ミニエー銃千挺を運んできたと象二郎に報告する龍馬。大殿様が考えを変えない、徳川を攻める気も、大政奉還をさせる気も無いと告げる象二郎。薩長は今にも武力討幕に向けて挙兵しようとしている、自分を大殿様に会わせてくれと頼む龍馬。おんし、やるかえと確かめる象二郎。はっ、と応じる龍馬。」

先に書いた様に、この時期には後藤は京都に居たのであって土佐には居ません。また、土佐藩の藩論は既に大政奉還と決まっており、この点では龍馬に出番はありませんでした。龍馬の用件はミニエー銃1千挺を土佐藩に買い取らせる事及び出兵を促すことにあったのですが、このあたりはまた来週に描かれる事になりますね。

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コメント

いよいよドラマも佳境に入ってきましたね!

投稿: Milk | 2010.11.08 16:34

Milkさん、

これから残っているのは大政奉還の達成、そして暗殺ですね。
色々不満はあったけれど、もうすぐ終わるというのはやはり寂しいです。

犯人はとりあえず見廻組の様ですが、
その後ろで糸を引くのは誰なのか、謎解きが楽しみです。

今のところは薩摩藩ぽいですが、どんでん返しがあるのかな。


投稿: なおくん | 2010.11.08 21:17

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