京都・洛東 六道まいり2010
お盆にご先祖を迎えるための行事、それが六道まいりです。六道とは東山松原を西に下ったところにある六道の辻の事で、あの世とこの世の境目がある場所とされて来ました。この地には3つの寺があり、この時期はそれぞれ多くの参拝者で賑わいます。
その一つの六道珍皇寺は臨済宗建仁寺派の寺で、小野篁が来世と現世を行き来していたという井戸がある事で知られます。境内にはその篁の像と彼が仕えていたという閻魔大王の像があり、この時期は普段は閉じられているお堂の扉が開かれています。
その隣にあるのが迎え鐘ですね。参拝者はこの鐘を二度撞く事で、先祖の霊、お精霊さんを迎える事が出来るとされています。この鐘は以前に特別公開があった時に撞かせてもらった事があるのですが、通常の鐘とは違って綱を引っ張って撞くのですね。この綱は意外と重くて、少し力が要った事を覚えています。
参拝には順序があって、まず参道にある出店で水塔婆と高野槙を買い求めます。次いで、本堂に行って水塔婆に迎えたい先祖の俗名と戒名を書いて貰います。迎え鐘を撞くのはこの後ですね。そして、水塔婆を線香の煙で清め、地蔵尊宝前に行って高野槙で水塔婆に水を掛けながら回向をし、その場に納めて帰ります。高野槙は家に持ち帰って、お盆の間仏壇に供えておくとされています。納めた水塔婆は、17日に供養して貰える様ですね。
珍皇寺を出て坂を少し西に下ると西福寺があります。こちらは浄土宗の寺ですが、起源はずっと古く弘法大師が建てた地蔵堂から始まると言われます。嵯峨天皇の后である檀林皇后がこの地蔵堂に深く帰依されたと言われ、息子である正良親王が病に罹った際に病気平癒を祈願したところ、たちまちにして治ったという伝説があるところから、子育て地蔵と呼ばれています。
その皇后が自らの死にあたって描かせたという「壇林皇后九相図絵」がこの寺に伝わっており、この時期に公開されています。それは野辺に捨てられた骸が土に帰るまでの様子を九つの相に分けて描いたもので、美人として知られた皇后も、死んでしまえば見るも無惨な姿に変わってしまう事を示し、色欲に耽る者達への警鐘としたと言われています。
この話自体は創作らしいのですが、絵の迫力は本物でして、この世の無常を感じさせるには十分ですね。写真を撮ってもよさそうでしたが、あまりにも生々しいために自粛しました。
この寺の迎え鐘はオーソドックスな姿をした小さな鐘ですね。私も撞かせて頂きましたが、澄んだ良い音のする鐘でしたよ。供養はこの鐘の下にある受付に申し出れば良いらしく、その場でして貰える様でした。
西福寺から南に下ったところにあるのが六波羅蜜寺です。ここでもまた萬灯会として精霊迎えの行事が行われています。
ここは境内の北側に迎え鐘があり、特に撞く順番は無い様です。この寺で特徴的なのは、大の字の形の灯明台を中心に百八の灯明を灯して供養する「大萬燈点灯供養」ですね。8月8日と10日の午後8時に行われるらしいのですが、大文字の送り火の原型となったとも言われる供養の様子を一度は見てみたいものだと思います。
六道まいりは明日10日までです。市バスなら五条坂か清水道、京阪電車なら清水五条下車が便利ですよ。
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コメント
一度、西福寺の壇林皇后九相図絵を見たいのですが
どうも入りにくくて今年も見れませんでしたA^^;
投稿: Milk | 2010.08.10 11:42
Milkさん、
私が行った時はとても空いていて、ゆっくりと見る事が出来ました。
やはり昼間という事が幸いしたのでしょうか。
2年前の夜に行った時は確かに人が一杯で、
近づく事も難しかったです。
投稿: なおくん | 2010.08.10 19:15