祇園祭2010 宵山~長刀鉾~
宵山のレポートは長刀鉾から始めましょうか。長刀鉾は一番東に位置する鉾で、毎年巡行の先頭を切る事で知られます。その名は鉾頭に取り付けられる長刀に由来し、その長刀は三条小鍛治宗近作と伝えられています。
鉾に上がる方法はそれぞれ異なりますが、長刀鉾の場合は鉾の周辺で売っているグッズを買う事が条件となります。グッズは何でも良く、私はこの蒔絵の根付けを買いました。値段は500円で少し高めですが、鉾の拝観券と考えれば安いと言えます。大抵のところは1000円は取られますから、実は一番安く鉾に上れるのは長刀鉾となるのです。(南観音山は300円らしいですが。)
ただし、長刀鉾は昔からの習慣を守っており、女性は鉾に入る事が出来ないので注意が必要です。上がれるのは二階までですが、そこには巡行当日に使用される懸装品や、鉾に関する資料が展示されています。また、タイミングが合えば目の前で祇園囃子を聞く事も出来ますよ。
この豪華な織物は平成16年に新調された「雲龍波濤文様」綴錦です。間近で見ると、実に鮮やかかつ精緻に出来た織物ですね。17日の巡行時にも、素晴らしく映えていました。
鉾の上は他と同じ様に狭く、あまり快適とは言えないですね。ここに40~50人の囃子方が入ると言うのですから、さぞかしムンムンとした世界なのでしょう。
天井には赤字に金糸で雲形が刺繍された幕「彩雲紋刺繍」が張られており、その周囲には古代の星座である二十八宿が描かれています。
床は素っ気のない白木のままですが、外から見える部分には凝った装飾が施されています。山鉾が動く工芸品と言われる所以ですね。
そして、ここが鉾の正面にあたる部分です。稚児はずっとここに乗っているのですね。それにしても、太平の舞の時には窓の外に体を乗り出す訳ですが、いくら後ろから支えて貰っているとは言っても、さぞかし怖い思いをしている事でしょう。
長刀は悪疫を祓う力を持つとされ、常に先頭を行くのはその力故なのでしょうね。ただ、進行方向に向かって真っ直ぐに取り付けられているのではなく、右向きになっています。こうすると巡行中は常に外側を向いている事になり、御所には決して刃を向けないという事を意味します。
オリジナルは町家の中に厳重に保管されているそうで、今使われているのはレプリカという事になりますね。しかし、たとえレプリカと言えども神通力には変わりなく、毎年悪疫を切り払いつつ先頭を進みます。その事は、この鉾を守る人たちの大きな誇りとなっている事でしょうね。
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コメント
おはようございます、なおくん様
おお~!長刀鉾ですね!
何という見事な意匠でしょう。
二十八宿や様々な綴れを実際に目にしたいのですが、残念ながら、こちらの鉾へは女である限りは絶対上れないのですよねぇ(溜息)。
蒼空をつくような長刀が、すっきりとしていますね。
投稿: いけこ | 2010.07.20 09:26
いけこさん、
私も会所に入るまでは女人禁制の事は忘れていました。
船鉾は誰でも普通に入ってましたからね、今でも残っているんだと驚いた次第です。
どこの鉾でも同じですが、外から見える場所には手間を掛けているという印象です。
見えない場所は手抜きというか、実用一点張りですね。
二十八宿については、神の使いである生き稚児が乗っている関係なのでしょうか。
やはりこの鉾は特別なのかなと感じましたね。
伊達に先頭を切っている訳ではないなという気がしました。
投稿: なおくん | 2010.07.20 21:19