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2010.07.04

龍馬伝27 ~龍馬の大芝居~

「神戸村を後にした龍馬と土佐の仲間達。」

「京都・伏見の寺田屋を訪れた龍馬。登勢に薩摩藩士の評判を聞きますが、悪い人たちでは無いと言います。その龍馬に何故かつっけんどんな態度を取るお龍。」

「仲間に薩摩藩に世話にならないかと相談する龍馬。薩摩は信用出来ないと反発する惣之蒸。」

「大阪、大和屋。長男を抱いている長治郎。幸せそうな彼ですが、実は志半ばにして道を失った事にあせりを感じているのでした。」

「突然大和屋を訪れた広之蒸。彼は弥太郎から龍馬に宛てた手紙を持って来たのでした。」

「弥太郎の手紙には、半平太と以蔵が捕らえられ、殊に以蔵は酷い拷問を受けている事、その以蔵を楽にしてやってくれと半平太から毒まんじゅうを手渡されたが失敗に終わった事、本当なら二人と仲の良い龍馬がすべき事だ、早く帰って来いと記されていました。衝撃まのあまり惑乱する龍馬。」

「土佐、拷問を受けている以蔵。どれだけ責められても頑として口を割りません。」

「牢の中で眠れぬ夜を過ごす半平太。」

「夫の身を思い、板の間で眠る富。」

「土佐、坂本家。広之蒸につれられて龍馬が帰ってきました。突然の出来事に驚き喜ぶ家族達。」

「翌朝、朝餉の膳に向かう坂本家の人々。突然、兄に向かって自分を離縁して欲しいと頼む龍馬。彼は半平太と以蔵を助けるために戻って来たのでした。」

「土佐、弥太郎の家。暗い顔で出かけようとする弥太郎に、以蔵の拷問に手を貸しているのかと詰め寄る弥次郎。好きでやっているのではないと反発する弥太郎。おまえは優しいのが取り柄だ、やりたくないのなら断ればよいと言う母。その言葉に同意する家族達。」

「役所への道をたどる弥太郎。その背後から声を掛け、振り向いたところを拉致する龍馬達。驚く弥太郎に、吉田東洋殺しに関する奉行所の吟味書を見せて欲しいと頼み見ます。」

「牢で絵を描く半平太。いつになく静かな様子をいぶかる半平太に、昨夜以蔵が死にかけたために、今日の拷問が取りやめになったと教える和助。こんな仕打ちを受けるのは、すべて大殿様の命令なのかとつぶやく半平太。」

「高知城の茶室。茶匠の深山宗林と二人で茶を点てています。宗林に、生まれが良い上に頭の良い人間は痛ましく見える。先の事が他人より見えてしまうからだと言われ、寂しげな笑みを浮かべる容堂候。」

「奉行所の書庫に忍び込み、東洋関係の吟味書を探す弥太郎。」

「やっと見つけた吟味書を龍馬の下に届けた弥太郎。その調書に目を通し、東洋殺しのあらましを知った龍馬。」

「これを藩に提出して下さいと離縁状を兄に返す龍馬。半平太を助けるために書いた、本当に縁を切るつもりは無いと権平。権平の言うとおりだと続ける乙女達。家族に別れを告げ、出て行く龍馬。」

「供を一人連れて登城する象二郎。その背後から声を掛ける龍馬。供に命じて役所に知らせる象二郎。その象二郎に東洋を殺したのは自分だと告げる龍馬。初めは信じなかった象二郎ですが、当夜の状況を詳しく語る龍馬を見て、顔色が変わります。あれほど龍馬を買っていた東洋を何故斬ったと刀を抜いて迫る象二郎を、子供扱いにしてねじ伏せた龍馬。彼は東洋を斬ったのは開国派だったからだと言い捨てて、現場から立ち去ります。」

「その様子を陰から見ていた広之蒸と弥太郎。すぐに発つという龍馬に、泣いて縋り付く弥太郎。彼を振り切り、再び土佐を後にする龍馬。」

今回はほぼ全編が創作であり、あまり書く事がありません。

神戸海軍繰所が閉鎖された元治元年11月から翌年の4月に掛けては、龍馬の足取りが良く判らない時期です。やはり寄って立つべき場所を失ったためか明確な資料が残っていないからですが、間接的な資料から判るのは、薩摩藩に身を寄せて彼らと行動を共にしていたらしいという事です。幕府の探索が厳しく、潜伏生活も容易では無かった様ですが、京都、大阪、江戸、それに鹿児島などの間を行き来していたらしいですね。

一方、龍馬の仲間は一足先に鹿児島に向かっていたらしく、薩摩藩では彼らの操船技術を買って藩の船に乗せるつもりだったと言います。この点ではドラマで惣之蒸が語った、攘夷の志士が一介の船乗りになってしまったという台詞は、この時期の彼らの悲哀を良く表していると言えるのかも知れません。

そういう状況の中でも、龍馬が土佐に戻ったという事実はありません。そんな事をすればたちどころに捕まってしまうからですが、そもそも誰にも気づかれずに土佐に入れるはずが無いですよね。後に脱藩が許された龍馬が船に乗って高知に帰った時には、罪が消えた事を知らない藩士に会うと何をされるか判らないからと、夜になってから人知れず上陸したと言われています。それほど、脱藩は重罪だったのですね。

それにしても、龍馬の大芝居とありましたが、どう見ても三文芝居だったと言うと怒られるかな。これはドラマですから創作が許されるのは当然ですが、もう少しましな設定は無かったのかしらん?英雄化された龍馬ではなく、等身大の悩める若者としての龍馬を描くというのがこのドラマのコンセプトですが、史実の龍馬よりも矮小化して何を表そうと言うのでしょう。仲間を助けるために罪を被って名乗り出るなんて、これじゃ本当に金八先生の中学生と同じレベルではないですか。

なお、史実においては東洋殺しの実行犯の名は早くに知れており、半平太が取り調べを受けていたのは彼らに命令したのかどうかという点でした。龍馬はごく初期の頃に犯人ではないかと疑われていましたが、後に嫌疑は晴れています。

それにしても、こんなに後藤との仲をこじらせてしまって、海援隊はどうやって作るつもりなのでしょうね。まさか後藤ではなく、弥太郎の尽力で出来たという事にするのでは無いだろうな。

などなど、つい愚痴が出てしまいましたが、設定を除けば達者な役者が揃っており、見応えのあるドラマではあります。

今週でなるほどと思ったのは、容堂候ですね。このところ彼が惑乱していたのは、やはり先が見えすぎる故の苦悩を表していたのでした。聡明な彼の目には、徳川幕府には先がない事、その徳川に恩義のある土佐藩は身動きが取れなくなる事などが見えていたのでしょうね。そう考えると、このドラマの容堂候は、今までになくその内面を描かき出れているのかも知れないなと思えて来ました。これから先、容堂候には要注目ですね。

参考文献:「龍馬 最後の真実」 菊池 明、「坂本龍馬」 松浦 玲、「坂本龍馬 海援隊始末記」 平尾道雄、「龍馬の手紙」宮地佐一郎、「「武市半平太伝」 松岡 司 「龍馬の夢を叶えた男 岩崎弥太郎」 原口 泉
「氷川清話」勝海舟

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コメント

確かにこの先、どういて 辻褄を合わせるがじゃろうて、思いゆうね。
あまりに違ごうちょりゃせんかねぇって感じがします。(^^)

投稿: zuzu | 2010.07.04 23:04

>それにしても、こんなに後藤との仲をこじらせてしまって

龍馬暗殺の黒幕ってとこですかね…??

投稿: akira | 2010.07.05 00:00

zuzuさん、

創作も良いけれど、これだけ荒唐無稽になってしまうと、
現実感が無くなって感情移入が出来なくなってしまいます。

何でこんな展開にするのかなあ。
中学生日記と間違えているのではないかしらん。

投稿: なおくん | 2010.07.05 20:56

akiraさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

やっぱりそう思われますか。
このドラマの象二郎は、最初から逆恨みモードですからねえ。

でも、一説に依るとこれは絆を深めるための伏線なのだとか。
雨降って地固まるという事なのかな。
本当かしらん?

何にしても、もっとリアリティーのある演出をして欲しいとは思います。


投稿: なおくん | 2010.07.05 21:13

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