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2010.07.25

龍馬伝30 ~龍馬の秘策~

「元治元年12月、奇兵隊を立ち上げて長州独立を叫ぶ晋作。その動きに不安を感じ、第二次長州征伐を決意した慶喜。幕府支援を決めた列強諸国。」

「小曽根邸。船の手当が付かなかった事で困り果てている龍馬達。そんな中で要らぬ事を言い、もめ事の種を作る陽之助。騒ぎの中に突然現れた池内藏太。彼は土佐の仲間で、早くから脱藩し、長州藩と共にあらゆる戦場を渡り歩いてきた強者でした。」

わしの顔が判らないかと現れた池内藏太でしたが、このドラマでは初登場でしたよね。どうにもこのドラマでは、こうした唐突さが目に付きます。伏線がなさ過ぎるというか、荒っぽいと言うのか。

それはともかく、内蔵太は郷士の出で、龍馬よりも5歳年下ですが比較的近所に住んでいた様です。岩崎弥太郎の塾で学んだ事があり、近藤長次郎とは同門になるそうですね。土佐勤王党の立ち上げにも尽力したのですが、文久3年に突然脱藩し、長州に向かった様です。その後はドラマにあった様に、下関で外国船を砲撃し、天誅組に加わって大和で戦い、蛤御門の変では忠勇隊に加わって活躍し、長州藩の内戦にも参加するなど文字通りの歴戦の勇士でした。龍馬は内蔵太に大いに期待し、彼の後継者とまで思い定めて居た様ですね。

ただし、ドラマの様に長崎に現れたという事実はありません。と言うより、この下りそのものが創作ですから当然なのですけどね。

「内蔵太に案内されて、長崎の町を歩く龍馬。その先には晋作達が待っていました。薩摩との和解を説く龍馬に、上海で見た清国の悲惨な様子を話す晋作。俊輔と門多もまたイギリスに留学した事があり、西洋の力を知り尽くしていたのでした。敵は長州に戦いを挑む相手全てである、しかし正義は長州にあると信じていると言って立ち去る晋作。」

「長崎、薩摩藩邸。長州攻めに加わるしかないという帯刀に、長州を滅ぼしては下関を幕府に押さえられてしまう、そうなっては薩摩も干上がる、次は薩摩が狙われると反対する吉之助。そうならない様に幕府と上手くつきあっていくしか無いと言う帯刀。」

「土佐、岩崎家。材木の商売が上手く行き、高知城下に新居を構えた弥太郎。」

弥太郎はこの時期ずっと故郷の井ノ口村に居たはずですが、相変わらず弥太郎の寸劇は面白いですね。出番が少ないのが寂しいです。

「小曽根邸。皆の下にカステラを持ってきた長次郎。彼はこれを作って売ってはどうかと提案します。」

「カステラ職人の家。長次郎が読み上げるレシピに従って、カステラを作る龍馬達。しかし、出来上がったカステラは、とても食べられたものではありませんでした。」

龍馬とカステラについては、龍馬をはじめとする海援隊士達が記したとされる「雄魂姓名録」の末尾に書かれています。そこにはカステラ仕様として、卵100目、うどん70目、砂糖100目、これを合わせて焼く也とあるのですが、あまりに大雑把に過ぎて、とてもレシピとは呼べそうには無いですね。雄魂姓名録は様々な事が書き込まれた雑記帳であり、そこに書かれたこのカステラ仕様が何を意味するのかは判りませんが、関心を持った隊士が居た事は確かな様ですね。

「丸山。お座敷で長崎ぶらぶら節を踊るお元。」

「隠れキリシタンを見つけるために、踏み絵が行われています。マリアの絵をそっと踏み、笑顔で誤魔化すお元。」

「小曽根乾堂ら長崎を支配する豪商達が囲む麻雀の卓。そこに現れた龍馬と陽之助。彼はカステラを売るために5両の金を貸してくれと頼みます。しかし乾堂は、西郷はこの事を知っているのかと相手にしません。そんな中で、大浦慶は龍馬を引き寄せ、麻雀の捨て杯をどれにすれば良いかと聞きます。当てずっぽうに答えた龍馬ですが、そのおかげで慶は見事に上がります。」

大浦慶は、お茶の輸出で財をなした商人でした。龍馬や陽之助と親交があったとされ、「龍馬が行く」では陽之助が愛人の様な関係になっていますね。この時期には満37歳のはずですから、ドラマよりはもう少し若かったのかな。

「金は無理と諦めて出てきた龍馬達。茶店に入った龍馬は失意の一方で、商人達のたくましさに希望を見いだしていました。そこに現れた慶。彼女は国の仕組みを変えるという陽之助の言葉に関心を持ち、かつ彼の運の良さに惚れたと要って金を貸してくれました。そんな龍馬達をずっと見ていたお元。」

「お元と出くわした龍馬。気まずい所を見られたと弱る龍馬。日本の仕組みを変えるとはどういう事かと聞かれ、みんなが笑顔で暮らせる様にするという事だと答える龍馬。」

「龍馬と別れた後、奉行所に長州人と会っていた土佐者が居たと報告するお元。大した情報ではないが、よく知らせてくれたと褒美を与える奉行。」

「奉行所を後にして、長崎の町を歩くお元。とある建物の地下に降りていくと、そこは隠れキリシタンの隠れ家でした。踏み絵をした事を懸命にマリアに謝るお元。」

お元が隠れキリシタンというのは、全くの創作でしょう。もっとも、良く判らない事が多い人ですから、設定も自由が効くのでしょうけど。この設定が今後どういう意味を持っていくのかは注目したいところですね。

「グラバー邸。ミニエー銃千挺を買いたいと交渉する薩摩藩。3万両払えるのかと懐疑的なグラバー。砂糖や樟脳などいくらでも換金商品があると強気な薩摩藩。いつまでも砂糖が高値とは限らないと乗り気ではないグラバー。」

「カステラが上手く出来ない事でいらつく仲間達に、自分たちの志は日本を守る事、しかし志だけではどうにもならない事を学んだはずだと説く龍馬。」

「小曽根邸。明日薩摩に発つという吉之助。龍馬達はカステラを作っている、彼らはなかなか面白いという乾堂。そこに現れた龍馬。自分たちが薩摩を助けてやる、幕府に勝つには長州と手を組む事だと吉之助に説く龍馬。そんな事は聞けないという吉之助に、自分に任せてくれれば説得してみせると食い下がる龍馬。」

ここまで等身大の龍馬を描いて来たはずの龍馬伝でしたが、ここに来て急にバランスを崩しているかの様です。なんだか、龍馬がスーパーマンとして描かれていく様な予感がするのですが。

そもそも、昨日まで書生に過ぎなかった男が、突然政治に目覚めたからと言って薩摩や長州を動かせるはずも無いでしょう。このドラマって、リアリティがなさ過ぎると思いません事?本筋以外の描写はとても面白いのですけどね、肝心の龍馬の描き方に無理が有りすぎます。

今回の表題にある秘策ですが、薩長同盟の事だったのですね。でもこれって、秘策も何も龍馬の独創などではなく、当時の公論と言って良いほど知れ渡った案でした。薩長が手を結べば幕府に対抗出来る勢力になるとは誰しもが思い浮かべる事で、具体的には対馬藩や筑前福岡藩が既に周旋に乗り出していたし、同じ土佐藩の中岡慎太郎も独自の路線で動いていました。龍馬は薩摩藩と行動を共にしている中でこの構想を知り、薩摩藩の意向を受ける形で周旋に動き始めたのです。そうでなければ、こんな大仕事を出来る訳が無いでしょう。無論、それまでの龍馬の働きぶりが評価されての事であり、その人柄も大いに役だったものと思われます。

ただし、龍馬独自の構想は持っており、単なる薩摩藩の使い走りだった訳ではありません。そのあたりが龍馬の凄みと言えるのでしょうね。

参考文献:「龍馬 最後の真実」 菊池 明、「坂本龍馬」 松浦 玲、「坂本龍馬 海援隊始末記」 平尾道雄、「龍馬の手紙」宮地佐一郎、「龍馬の夢を叶えた男 岩崎弥太郎」 原口 泉、2010年NHK大河ドラマ特別展「龍馬伝」目録


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