京都・洛中 特別展「龍馬伝」 ~京都文化博物館~
三条高倉にある京都文化博物館において、特別展「龍馬伝」が開催されています。これはその名の通り大河ドラマ「龍馬伝」の放映と連動した企画で、京都、高知、長崎などに伝わる龍馬縁の資料の展示を通して、その生涯を浮き彫りにするとあります。
開期は6月19日から始まっており、この後7月19日まで開催されます。展示されている資料は、手紙、刀、写真、縁の品々など200点以上に及び、龍馬の誕生から薩長同盟、そして暗殺にいたるまで、各時期に応じてまとめられています。
龍馬展はこれまでにも何度も開催されており、既に見た事がある資料も複数ありましたが、今回初めて見る興味深いものも多数ありました。
まず、「平井収二郎爪書 辞世」は、切腹の直前に爪で和紙に書き付けたものだそうですが、壮絶な迫力がありましたね。志半ばで倒れた無念が伝わって来る様でした。
次に、「武市半平太筆笑泣録」は獄中の姿を自ら描いたものですが、牢の様子はドラマにあるとおりだと判り、興味深いものがありました。ただ、牢の周囲にはもっと人が居て煮炊きをしていたり、また牢の中にも道具類があったりと、生活臭が感じられます。それに、絵そものものも今のイラスト風で、とても達者なものですよ。悲痛な境遇に在りながら、自らを客観視出来るとは、半平太の人間力を感じますね。
岡田以蔵関係では、彼が所有していたという拳銃が展示されていました。攘夷派の人斬りとして名を馳せた彼が、忌み嫌っていたはずの異人の武器を持っていたというのは意外な気がしますね。異人は嫌いでも、その武器の優秀さは認めていたという事なのでしょうか。
河田小龍では、彼がデザインしたという土佐藩札が面白かったです。鯨と鰹が描かれているのですが、やはり偽造を防ぐ為でしょうね、とても細かくかつリアルに描かれているのが印象的でした。
圧巻はやはり数々の龍馬の書簡でしょう。有名なエヘンの手紙や、日本をせんたくいたし候の手紙など多数が展示されており、龍馬の息づかいが聞こえてくる様な気がしました。大抵の資料は暗号みたいなもので、何が書いてあるのか解説抜きでは判らないのですが、龍馬の書簡は比較的読みやすいものが多く、また内容もおおまかには知っているので、頑張れば半分くらいは読み下せるのですね。ですので、つい見入ってしまい、思わぬ時間を喰う羽目になりました。でも、至福の時間でもありましたね。
手紙では、あと寺田屋の登勢がお龍に宛てた書簡が興味深かったです。お龍の母は自分が見ているから心配するなという内容ですが、その中に寺田屋も仮り屋を建てたという一節があり、寺田屋再建説を裏付ける資料の一つとなっている手紙なのですね。
そのお龍の関係では、前々回だったかな、ドラマにも登場した月琴が展示されていました。長崎の小曽根家に伝わるもので、お龍自身が使ったものかどうかは判らないけれど、この家に滞在して稽古していたのは確かです。龍馬の為に弾く事を夢見て、毎日つま弾いていたのかも知れないですね。
展示には前期と後期があり、期間によって一部内容が変わります。有名なところでは、龍馬暗殺の場にあった血染めの屏風は後期に展示されますね。
そして残念なのは、先行して行われた東京会場でしか見られなかった資料がある事です。例えば、山内容堂が龍馬の脱藩を許すという証拠に描いた逆さ瓢箪の絵がそうで、これば是非見たかったなあ。それに、龍馬が最後に板倉槐堂から貰った梅椿図も展示されません。これって、地元の京都国立博物館蔵なんだけど、なぜだろう。
やはり人気のある龍馬だけあって、会場は結構な混雑になっていました。大人しく行列に並んでいたら、いつ見終えるか判らないといった状態だったので、混んでいるところでは人垣の後ろから覗き込む様に見て回り、空いている場所ではじっくりと見させて貰うという具合にしたのですが、それでも3時間は掛かりました。
そんな中でお薦めなのは音声ガイドで、岩崎弥太郎役の香川照之さんの声で展示品の解説を聞く事が出来ます。これは人垣の後ろから見る時に特に有効で、説明書を見る事が出来なくても展示の内容が判るので、とても助かりましたよ。それに、弥太郎のコーナーに来るとちゃんと弥太郎のテーマが流れたりするので、ドラマの雰囲気も味わう事が出来ました。500円とちょっと高い気もしましたが、それだけの値打ちはありましたね。
とても充実した展示であり、龍馬ファンは必見だと思います。入場料は1200円で月曜日は休館(7月19日は開館)になっています。祇園祭とセットで訪れるのも、素敵かも知れないですね。
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