龍馬伝6 ~松陰はどこだ?~
「土佐藩中屋敷。佐那が龍馬を訪ねてきました。門前で佐那と出会った溝渕広之丞は、龍馬が道場に通っていないらしい事を初めて知ります。」
「とある道端で、子供達と遊びに興じる龍馬。夕方になり、子供達は家に帰ってしまい、龍馬は一人ぼっちになってしまいます。彼は仕方なく家路に着き、小走りになって汗をかき、如何にも道場帰りであるかの様に装います。」
「藩邸で待っていたのは佐那でした。師匠の娘の来訪に驚く龍馬。佐那は定吉に謝って道場に帰るように説得しますが、龍馬は合わせる顔がないと言って断ります。」
「千葉道場。重太郎に自分の恋を成就するために龍馬を戻してくれと頼む佐那。どうしようもないと断る重太郎。定吉は龍馬の様な男にこそ、剣の修行が必要なのだと語ります。」
「黒船が頭から離れない龍馬は、桂が言っていた松陰という名を思い出します。自分の悩みに答えてくれるのは松陰しか居ないと思い定めた龍馬は、桂の下を訪れます。しかし、松陰は全国を遊学している最中であり、桂にも居場所はわからないのでした。」
「1954年1月、ペリー艦隊が大統領親書の返事を貰う為に戻ってきました。横浜で交渉の場についた幕府は、断れば戦争になるというペリーの脅しに戦慄します。阿部老中は開国やむなしと決断し、交易で徳川家が富めば、幕府が未来永劫栄える基となるのだと幕閣を説得します。」
「品川で再び警護の任に就いている龍馬ですが、こんな事では黒船と戦えないと焦りの色は隠せません。」
「土佐、高知城。容堂を巧みに持ち上げる半平太の意見書を読む容堂。彼はその文書に感心はしますが、所詮は下士だと吐き捨てました。」
「半平太の家。容堂への意見書を書く半平太の下に、富が反物を貰ったと乙女を連れてきます。殿様に意見書を書いていると聞き、龍馬もまた異人の首を取ってくると息巻いていると伝える乙女。龍馬も攘夷に目覚めたかと感心する半平太。」
「弥太郎の塾。自分の意見が無視されたと腑抜けた様になっている弥太郎に、意見書を見せて欲しいとせがむ加尾。」
「土佐の街角で出会う弥太郎と半平太。商人に呼ばれたと言う弥太郎と、東洋に意見具申に行くという半平太。上士に呼ばれるなどろくな事では無いという弥太郎の声を聞き捨てにする半平太。」
「商人の家。弥太郎を待っていたのは、江戸に留学させてやるという夢のような話でした。商人は加尾から弥太郎の意見書を見せられ、その人物を見込んだのでした。」
「東洋の屋敷。半平太の心意気を認めつつも、本気で異国を討てると思っているのかという東洋に、我らなら出来ると答える半平太。それだけの男だったかと、半平太を見下だす東洋。下士だから無視するのか、そんな扱いには慣れていると見返す半平太。」
「半平太の家。東洋に対する憎しみを露わにする半平太。」
「長州藩邸、桂の部屋。手紙を見て驚き、外に飛び出していく桂の前に龍馬が現れます。どうしても松陰に合わせろとせがむ龍馬に、桂は手紙を見せて、松陰は黒船に乗り込むつもりだ、止めさせないと死罪になると言って、一緒に探すように頼みます。」
「横浜近くのとある海岸。弟子の金子と共に、小舟の側に居る松陰。お互いの顔を殴り合い、大事を前に気合いを入れている様子です。そこにやって来た龍馬と桂。彼等は松陰に思いとどまるように伝えますが、松陰は今のこの気持ちこそが大事であると言って聞きません。松陰の言葉に感化された龍馬は自分も連れて行って欲しいと言い出しますが、松陰は龍馬を殴り飛ばし、まずは自分が何者かを知れと諭します。呆然とする龍馬を尻目に、沖を目指して船を出す松陰。」
「アメリカと条約締結した幕府。」
「松陰の企ては失敗します。松陰は自ら番所に出頭し、長州へと送り返されました。囚人駕籠の中で、自分に良い訳などはないと嘯く松陰。」
「松陰に諭されて、自分を見つめ直すために剣の修行に戻ろうとする龍馬。千葉道場に戻った龍馬は、自分は剣を道具と思っていた、しかし、自分を見つけるためにこそ剣の修行があると言い、許しを請います。彼は、剣で黒船に勝てるかという定吉の問いに、答えは自分の中にこそあると言って遂に許されたのでした。」
「修行期間を終え、土佐に帰る龍馬。戻ってこいという重太郎に、必ずと答える龍馬。」
「道場に雑巾掛けをする佐那。そこに龍馬が別れを告げに来ます。必ず戻ってきて欲しいと願う佐那は、国に帰ればすぐにももう一度江戸修行に行きたいと願いを出すという龍馬に、約束をしてくれと言って指切りを交わすのでした。」
「半平太の塾。門弟達に攘夷の檄を飛ばす半平太。」
「弥太郎の家。江戸に行けると喜ぶ弥太郎の下に、加尾が祝いを言いにやって来ます。弥太郎は加尾に一緒に江戸に行って欲しい、自分の女房になって欲しいと土下座して頼みます。その言葉にとまどいを隠せない加尾。」
今回は、条約締結と松陰の海外渡航騒ぎの他はほとんど創作で、あまり書く事はありません。無論、龍馬が松陰と出会った事も創作ですね。
半平太がこの時期から攘夷を主張していたというのも、東洋と意見が衝突したというのも事実とは異なる様です。半平太が国事に関心を持つようになるのは、安政の大獄で容堂が謹慎させられてから後の事で、はっきりと尊皇攘夷に目覚めるのは江戸に出て水戸藩士と交わるようになってからとされます。東洋と対立するのもずっと後に土佐勤皇党を結成してからの事とされますが、もしかしたら新研究があるのかな、なんて思ってしまいますね。
弥太郎が商人に援助して貰ったという話も聞いた事が無いのですが、そんな口伝でも残っているのでしょうか。
史実と比べると疑問符ばかり付く今回の内容なのですが、ドラマとして見れば、ひと目で龍馬の本質を見抜いた松陰には凄みがありましたね。教育の名人と言われた松陰の面目躍如と言ったところでしょうか。また、片思いを一途に貫き通そうとする佐那もまた、いじらしさが良く出ていると思います。このあたりは、史実とされる佐那の姿をなぞっているのかなという気がしますね。
次回は河田小竜が登場します。いよいよ龍馬の進むべき道が見えて来る様ですね。そろそろ一皮むけてくるのか、展開が楽しみです。
やっと龍馬の迷いが吹っ切れ、本格的な活躍が始まりそうな予感がして来ました。
参考文献:「龍馬 最後の真実」 菊池 明、「坂本龍馬」 松浦 玲、「坂本龍馬 海援隊始末記」 平尾道雄、「龍馬の手紙」宮地佐一郎、「「武市半平太伝」 松岡 司
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コメント
解説ありがとうございます。勉強になります。歴史ドラマはもちろんフィクションは入っていますが、歴史的な事実も、きちんと把握して、史実との違いを確認しながら楽しむと、より理解が深まりますね。
龍馬は土佐へ帰り、河田小龍との出会いから、海外への目が開かれることになります。近藤長次郎なども登場し、ますます楽しみが増えました。
投稿: kazu | 2010.02.08 09:19
kazuさん、
いや、お恥ずかしい限りです。
龍馬の事は良くご存知のkazuさんからすれば、
拙い限りの記事に映る事でしょう。
あくまでこれはドラマですから史実にこだわっても仕方がないのですが、
ポイントを押さえておくと作者の狙いは見えてくると思います。
ですので、私なりに調べた事と対比しながら記事にしています。
ただ、弥太郎に関しては資料が少ないのですよね。
おかしな事を書いているぞと、ご指摘願えれば幸いです。
ここまでは弥太郎の方がはるかにキャラが立っているのですが、
これから龍馬らしさが出てくるのでしょうか。
いちの土佐ともども、これから先が楽しみです。
投稿: なおくん | 2010.02.08 21:27
いやあ。こちらこそ、それほど知識はなくて、ただの歴史好きです。なおくんさんほど、体系的に把握していませんので。
参考文献、たいへん参考になります。まともに目を通したというか、ざっとながめたのは、平尾さんと宮地さんの本くらい。いろいろ教えていただければ、うれしいです。
「いちの土佐」はちょっと青空市関係はお休みぎみ。この一年龍馬関係で突っ走りそうです。
岩崎弥太郎については、そんなに詳しいというほどではないですが、こういう評伝もあります。御参考までに。
http://203.139.202.230/2009mitubisi/mitasubishi.html
投稿: kazu | 2010.02.08 23:50
kazuさん、
参考になる記事を紹介して頂き、ありがとうございます。
さすがは高知新聞、地元の英雄を見事に紹介されていますね。
ドラマの弥太郎は、龍馬以上に創作が入っている様ですが、
物語として見ている分にはとても面白いですね。
いちの土佐でも、地元ならではの視点で取り上げていって貰えると嬉しいです。
これからも更新を心待ちにしていますよ。
投稿: なおくん | 2010.02.09 20:47