京都・洛東 冬景色2010~龍馬坂~
冬の午後、龍馬坂から見た八坂の塔です。曇り空ということもあってか、空は暗いですね。でも、こんな冬の景色もそう悪くはない。喧噪を離れ、凛とした静けさの中に佇む、冬の京都ならではの風情ですね。
ここ龍馬坂は、近江屋で暗殺された龍馬の葬列が通った道として知られます。この道は本来は正法寺の参道なのですが、その道筋に霊明神社があった事によって龍馬最後の道となりました。
霊明神社は、徳川幕府の仏教優遇政策に対抗するべく、神道家によって建てられた神社でした。幕末期には、その性格を引き継いだのでしょう、尊皇の志士達の御霊を祀る様になり、霊山はいつしか志士達の聖地と呼ばれる様になったのです。龍馬は紛れもない尊皇の志士であり、その亡骸をこの地に葬るのは自然な流れだったのですね。
龍馬の葬列がここを通ったのは11月18日の午後とされています。大勢の人が涙ながらに英雄の死を見送ったとされますが、実はこれには異説があります。
海援隊士が残した記録では、17日の夜とされているのですね。それも、懐に短銃や匕首を忍ばせた護衛が付き、月明かりの中を警戒しながら進むという物々しさでした。
大政奉還が行われたとはいえ、まだまだ情勢が流動的だったこの時期、幕府は依然として警察権を握っており、凶状持ちである龍馬の葬礼を表だって出す事は憚られたのですね。そして、葬礼の途中で幕吏に咎められるのを恐れての警戒だったと言われています。
葬列はこの急坂を月明かりの下で登ったのですね。ここまで来れば霊明神社も間近であり、緊張も解けた事でしょう。そして、ほっとしたとたんに、悲しみと寂しさが同時にこみ上げてきた事だろうと偲ばれます。
そんな龍馬坂を下り切ると、二年坂に出てきます。ここは一年中観光客で溢れていますね。かつて、悲しい葬列が通った事などまるで嘘のようです。
ここを左に折れれば龍馬坂、ほんの少し登っただけで静かな時間が流れる坂道があります。冬の一日、龍馬が最後にたどった道を歩いてみるのも一興ですよ。
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