夏の旅2008~土佐紀行・四万十川 沈下橋~
四万十川の景観を特徴付けているものに沈下橋があります。沈下橋とはその名の通り水に沈んでしまう橋の事で、普段は川を渡るための橋としての役目を果たしていますが、出水時に水嵩が上がると水面下に姿を消してしまうという特徴を持っています。
この写真は上宮沈下橋ですが、普段の水嵩はこんなもので、橋として渡るには何の支障もありません。しかし、洪水になると対岸の護岸の上辺近くにまで水位が上がり、この橋は完全に水没してしまう事になります。つまりは、洪水時には対岸に渡る術を失ってしまう事になるのですね。
なぜこんな不便な事を甘受しているかと言うと、一重に工費が安く済むからでしょう。限られた地元の人だけが使う生活通路ですから、立派な橋を架けるだけの予算はつぎ込めない。しかし、やはり橋がないと不便だという事で、簡易な架橋法として重宝がられているのだと思われます。
その特徴として、橋桁が低い位置にあるというだけでなく、欄干が省かれているという点が上げられます。これは水没時に流木などがひっかかり、橋の流失などに繋がる危険性をあらかじめ回避するためなのでしょうね。
これは景観に恵まれた事で知られる岩間沈下橋です。山の緑と清流、それに沈下橋の組み合わせは、これぞ四万十川と呼ぶにふさわしい景色ですね。
沈下橋は四万十川の本川に22本あり、支川も含めると60近くあると言われます。そのうち、高知県では47橋について保存すると決めており、これから先も四万十川ならではの景観として沈下橋が守られていく事になっています。
四万十川ならではと言ってしまいましたが、実はこの形式の橋は他の地域でも見る事ができ、徳島や大分、宮崎や埼玉などにもあるそうです。呼び名も地域によって変わり、例えば徳島の吉野川では潜水橋と呼ばれています。
沈下橋は工費を抑えた簡易な橋ですから、幅員も狭くて一車線がせいぜいです。ですから、対岸から橋を渡ってくる車が見えたら袂で止まって通過を待つといったルールが必要になってきます。もし橋上で鉢合わせにでもなったら大変ですからね。
これは三里沈下橋。河口部から数えて二番目の橋になります。
ここには屋形船が多く集まり、盛んに上下していました。橋桁の低い沈下橋ですが、水位もまた低いためでしょうね、屋形船は難なく橋下をくぐり抜けていきます。
そして、沈下橋としては最下流部に位置する佐田沈下橋です。沈下橋としては最長の橋であり、旧中村市に近い事もあって最もその名を知られた橋であるとされています。
さすがに長大な橋だけあって、途中ですれ違いが出来る様に所々で幅員が広くなっています。でも、これが夜中だとさぞかし怖い事でしょうね。やはり地元の人専用の道、余所者は無暗に渡らない方が無難かな。
もっと上流の橋では、沈下橋から川の中に飛び込むといったシーンも見られます。橋の上に腰を掛けて景色を眺めたりといった事も出来る様で、都会では考えられないほど川と親しめる橋なのですね。
車で渡れと言われるとちょっと遠慮したくなりますが、四万十川には無くてはならない景観、それが沈下橋である事は間違い有りません。
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コメント
おはようございます、なおくん様
沈下橋、そこからえいっと水に飛び込んでみたいのです~!!
屋形船で橋をくぐるのも面白そうですが、やはり、清流の醍醐味を。
同じような理由で架けられた京都の流れ橋も、こちらの沈下橋も大事に守られていくといいなと思います。
投稿: いけこ | 2008.08.28 09:24
いけこさん、
上流の方で何カ所か飛び込みが出来るという場所を見かけました。
実際に飛び込んでいる所は見てないのですけどね、
下は綺麗な淵になっていて、いかにも清流という感じでしたよ。
水の中は、さぞかし気持ちが良い事でしょうね。
来年は四国に行って、クジラと飛び込みに是非チャレンジしてみて下さい。
投稿: なおくん | 2008.08.28 21:46