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2008.05.20

京都・洛北 葵祭~路頭の儀  女人列と勅使舞人陪従の列~

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路頭の儀において、やはり一番華やかで人気があるのが女人列です。上賀茂神社までは行列の最後を飾っているのですが、ここでは勅使の列の前に登場します。

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女人列を先導するのは平安雅楽会の一隊。音楽が入ると、急に雅やかな雰囲気に変わりますね。

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この行列の主役というべき存在が斎王代。実を言えば、かつての賀茂祭には存在しなかった役どころで、昭和31年に女人行列と共に創設されました。多分に観光目的の要素が大きいのですが、今では葵祭そのものを代表する存在となっています。

斎王代とは斎王に代わる者という事。斎王は賀茂社の神に仕える女性であり、代々朝廷から主として内親王が派遣されてこれに当たりました。斎王が住む場所が斎院で、賀茂の社とは離れた場所(紫野の辺りらしい)にあったのですが、祭の時は出御して、一条大宮で合流したと伝えられます。この斎王のきらびやかな行列を見ようと見物人が集まったと言いますが、現在の女人行列はこの時の様子を再現したものなのでしょうね。

斎王は鎌倉時代に承久の乱が起こるまで400年間もの間続いていたのですが、それ以後は絶えて出る事は有りませんでした。現在の斎王代は葵祭の行列を華やかに盛り上げるべく創案されたもので、かつての斎王に代わる者として位置付けられ、祭りの行事がある日には古式に則って精進潔斎に努めるのだそうです。

今年の斎王代は料亭「菊の井」の若女将である村田紫帆さんが選ばれましたが、誰がどうやって決めているのかは公開されていません。未婚の女性である事の他は特に条件は示されておらず、京都人でなくてもなれる様ですね。ただし立候補制でもなく、選考はあくまで秘密裏に行われている様です。

斎王代に選ばれるのはとても名誉な事なのでしょうけれども、それに伴う経済的負担も半端ではない様ですね。斎王代として振る舞う為に必要な経費はほとんどが個人負担と言われていますし、生半可な家ではとうてい勤まらないのでしょう。丁度良い年頃の女性が居る名家を探さなければならない訳で、きっと選ぶ側も毎年大変なのでしょうね。

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斎王代に続くのは、女別当(おんなべっとう)、内侍(ないし)、命婦(みょうぶ)、女嬬(にょじゅ)、采女(うねめ)、童女(わらわめ)、騎女(むねのりおんな)など斎院に仕えた女官たちです。ただ、見ている限りでは、どの女性がどの役かはまるで判りませんでした...。

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その中で、唯一区別が付いたのがこの采女です。斎院の神事を司った女性で、そういう意味では斎王に最も近い存在だったのかも知れません。それが証拠に、斎王代と同じく頭に日陰糸を垂らしていますよね。これは本来は日陰葛という植物だったのですが、何時の頃からかこの組紐に代わりました。清浄な存在である事を示すためのものだそうで、神に仕える女性としての象徴なのでしょう。私的には、斎王代に次いで存在感を感じました。

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斎王代と共にこの行列の主役を務めるのが勅使です。四位の位を持つ近衛中将が勤めたとされ、この行列の中では最高位の人ですね。かつては、藤原道長の息子であり、宇治の平等院を建てた事で知られる頼通も勤めた事があるそうです。今年の勅使は宮内庁京都事務所の所長さんだったそうですね。

この勅使が前を通る時には立礼を求められるのですが、この時ちょっとしたハプニングがありました。場内アナウンスに応じて立とうとすると、立つな!と叫ぶ人が居るのです。どうやら写真を撮りたかったアマチュアカメラマンだった様ですが、かなりの人がとまどった様子で、座ったままになっていました。仮にも勅使と名の付く人よりカメラマンの方が偉いという訳ですから驚きですね。マナーの悪いカメラマンの存在は今に始まった事ではありませんが、ここまで酷いとあきれるほかありません。

そのうち、カメラの持ち込みは禁止されてしまうのじゃないかしらん?

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勅使を立礼で迎えていたので、行列の最後は後ろ姿しかありません。一番前に見える橙色の一団が舞人(まいびと)です。近衛府に勤める五位の武官で、歌舞に練達した人達なのだそうですね。この舞人はこの後「東游(あずまあそび)」という舞を舞われます。

その後ろに居る紫の一団が陪従(べいじゅう)で、雅楽を演奏する人達です。この人達も近衛府の五位の武官で、着物に丸く図案化された動物の絵が描かれているのが面白いです。そして、ちょっと驚いたのが大きな箏を数人掛かりで持ちながら演奏していた事で、なるほどこういう演奏法もありなのかと感心した次第です。

そして、最後尾の赤い衣装の人が内蔵使(くらづかい)。内蔵寮の次官であり、現在の財務副大臣に相当するのだそうです。役目としては、勅使が奏上される御祭文を維持するとの事ですが、そのあたりは一般客は見る事が出来ない世界ですね。

以上が上賀茂神社における、路頭の儀の全容です。実はビデオに撮って置いた葵祭の中継を見直したのですが、やはり行列の順番はかなり入れ替わっている様ですね。それに偉いさんが馬から下りてしまっているので、ちょっと権威が損なわれた感じもしないではありません。そのぶん、斎王代は間近で見る事が出来た訳だし、ここでも十分に楽しむ事は出来ました。

でも、次はやはり本来の行列をみてみたいですね。早めに御所に行くか、有料席のチケットを買うか、何か手を考えなくては。それになにより、今年は見る事が出来なかった数々の神事を見る事が出来たら良いなと思ってます。

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コメント

葵祭の行列も美しいですねー。

それよりも!
「立つな」と言われて「アナウンス通り立ちましょう!」という人はいなかったのです?
撮ることしか考えてないアマチュアカメラマンももちろんいけませんが、
それでも立ち上がらなかった人々もいけませんね。
嘆かわしい。

投稿: ひちゃこ | 2008.05.21 00:58

ひちゃこさん、

ご指摘はごもっともとは思いますが、
立とうと思った瞬間に背後から立つなと言われれば、
迷うのは仕方が無いでしょう。
私は通路を挟んで反対側に居たのでちょっと驚いただけでしたが。

そして、これはお祭りの行事ですから、とことん頑張る人も居ない訳です。
なにしろ、神社の人もそれ以上は言わなかったのですからね。

これが本物の勅使だったら当然対応も違ったでしょうけど、
立礼をうながすべくカメラマンをたしなめて、祭りの場が荒れるよりも、
行事の進行を優先したものと思われます。

今はすぐに逆ギレする人がする人が多いですからね、
うかつな事は言えないのでしょう。
情けないと言うより、お祭りという場の空気を読んだという事だと思ってます。

まあ、そういう風潮がマナーの低下に拍車を掛けているのは、
確かだと思いますけどね。
しかし、それに乗じる輩が一番質が悪いのは間違いないです。

投稿: なおくん | 2008.05.21 21:39

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