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2008.02.04

京都・洛中 廬山寺「追儺式鬼法楽」

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2月3日の京都は、様々な節分の行事で賑わいます。その中でも最も知られた行事の一つが廬山寺の「追儺式鬼法楽」、通称「鬼踊り」でしょう。

この行事は、廬山寺の開祖である元三大師が、宮中において悪鬼を、独鈷、三鈷の法器を用いて降伏させたという故事に基づくものです。

行事は楽人・追儺師・蓬莱師・降摩面持者・独鈷三鈷持者などが元三大師堂に入り、厄除け開運、福寿増長の護摩供の修法を行うところから始まります。そこに、人間の持つ三毒、すなわち貪欲、怒り、愚痴の変化である三匹の鬼が現れ、手に手に武器を持って所狭しと踊り廻り、四股を踏む様な動作で周囲を威嚇しながら堂内へと侵入して行きます。

この赤鬼が持っているのは松明と剣ですね。順番から行くと「貪欲」を表す鬼になるのでしょうか。

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これは大斧を持った青鬼です。「怒り」に相当する鬼なのかな。

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そして、大槌を担いだ黒鬼です。「愚痴」の変化なのでしょうか。

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舞台の上で散々に踊って周囲に凄みを効かせた後は、元三大師堂に入り込み、修法の最中である僧侶達を取り囲んで、その邪魔をしようとさらに踊り続けます。

ここで、ホームページの解説によると、追儺師の邪気払いの法弓を放ち、鬼を退散させるとあるのですが、この日はどういう訳か弓は省略されていました。何か理由があったのでしょうか。

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法弓は無かったものの、修法によって無事に鬼をこらしめる事が出来たのでしょう、やがて武器も失ってふらふらになった鬼が、きりきり舞いをしながら御堂から出てきました。そして、鬼達が舞台から去ると鬼踊りはお仕舞いです。

この間約一時間程なのですが、鬼の出入りの時にちょっと間が開くので、初めて見ると時間を持て余し気味になるかも知れません。でも、それぞれの鬼は勇壮な中にもユーモラスな所作で、辛抱して待つだけの値打ちは十分にありますよ。

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追難式が終わると、今度は邪気を祓われた鬼に依る「鬼の御加持」が行われます。邪気を祓われたとはいえ、鬼の持つ神通力は健在であり、その力を今度は人々を救う方に使うという事なのでしょうね。

鬼の前に立つと、手にした宝剣とたいまつによって身体を撫でてくれます。あらかじめ治して欲しいところをお願いしておくと病んだ部分も撫でてくれ、その力で癒してくれるという行事なのですね。いかめしい中にもどこか優しさを秘めた鬼を見ていると、いかにも験がありそうな気がしましたよ。

料金というものは無く、お心持ちと記した受け皿があって、御加持を受ける人が適当と思う金額を入れる仕組みになっています。見ているとだいたいお賽銭程度、10円から100円の人が多かったですね。

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順序が逆になりましたが、鬼踊りが終わった後には蓬莱豆と福餅が撒かれます。

蓬莱豆は豆の周囲を砂糖菓子で刳るんで色を付けたもので、紅白二種類あり、それぞれを一粒づつ食べると寿命が延びるとされます。福餅は普通の餅なのですが、これを食べると開運出世が出来るとされています。

しかし、これってばらばらに撒かれると、どうにも取りにくいものですね。それにちゃんと均等に撒いてくれないもので、結局まともに取れたものはなく、豆は下に落ちたものを拾ったもの、餅は2つ取った人がわざわざわ譲って下さったものです。譲って頂いた方、どうもありがとうございました。

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この廬山寺のある場所は紫式部の屋敷があった場所と推定されており、その縁で本堂前の庭園を「源氏の庭」と名付け、式部にちなむ紫色の桔梗が多く植えられています。今年は源氏物語千年紀にあたり、「追儺式鬼法楽」の一環としてインド舞踊が奉納されていました。

正直、源氏物語とインド舞踊がどういう関係があるのかよく判らないのですが、お釈迦様の故郷であるインドの踊りは、仏様を喜ばすという法楽にはふさわしい奉納と言えるのでしょう。生で見るのは初めてですが、エキゾチックな衣装と共に、ステップを踏む度に響く鈴の音がとても印象的でした。

なお、廬山寺の境内はかなり狭く、午後2時30分頃にはほとんど埋まっており、鬼踊りが始まる午後3時には境内に入れない人が続出していた様です。今年は日曜日と重なった事もあったでしょうけれども、来年行ってみたいと思う人は、場所取りも兼ねてなるべく早くお出かけになる事をお勧めします。

また、鬼踊りについては、観覧料等は不要です。

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コメント

わぁ、迫力のある鬼さんですねぇ~!

一度行ってみたいけれどなかなか機会がありません。

投稿: Milk | 2008.02.05 16:24

廬山寺の法要に出ていた者です。法弓がなかったのは、法要が始まる寸前に法弓の人が倒れてしまったので、代役を立てることも出来なかったのです。     毎年お参りに来ている方は、不思議に思われたでしょう。こちらも法弓師の声がなかったので、間延びしたのと、とても残念でした。
餅は皆さんに蒔いているつもりなんですが、すみません。
それから、私の自坊「真如堂 理正院の山茶花」を綺麗に撮って頂き有難う御座いました。では。

投稿: 清水 信顕 | 2008.02.05 16:47

Milkさん、

私も10年来の念願が叶ってやっと見ることが出来ました。

人が多すぎてよく見えなかった部分もあるのですが、
鬼の動きはとても練られていて、ななか見応えがありましたよ。

評判になるだけの事はあると思います。
木曜に重なったら、是非行ってみて下さい。

投稿: なおくん | 2008.02.05 21:42

清水信顕さん、わざわざのコメントありがとうございます。

理正院のご住職なのですね。真如堂には何度も寄せて頂いており、
その様子は当ブログでも記事にしています。

真如堂は四季折々の花が楽しめる素敵なお寺ですね。
特に理正院の山茶花は、この時期とても美しく見えます。
綺麗な花を見ていると、普段の丹精が行き届いている事がよく窺えます。

なるほど法弓が無かったのは、アクシデントがあったからでしたか。
少し間延びした感があったのは、そのせいだったのですね。
ところで、倒れられた方は、その後回復されたのでしょうか。
この寒い時期は、やはりこういう事故は起こりやすい様ですね。
人ごとではなく、自分も気をつけなくてはと思います。

餅の件は、すみません、それこそ三鬼の愚痴でした。
余計な事を書いてしまいましたね。
福を撒いて頂いた事を感謝する方が本当ですね。
改めて御礼を申し上げます。

また真如堂へも行きますので、
今後ともよろしくお願いいたします。


投稿: なおくん | 2008.02.05 22:00

おはようございます、なおくん様

廬山寺にいらっしゃったのですね。
私も去年、追難式を拝見した時、始まったインド舞踊に吃驚致しました。
京都のお寺で、インド舞踊、何とも京都のお寺は懐が深うございます。
弓矢は去年、私の丁度隣にいらっしゃった方が拾って持って行かれました。
蓬莱豆はとても頂けず、社務所にて購入致しました。
蓬莱豆、結構大きいですよね。

投稿: いけこ | 2008.02.06 09:22

いけこさん、

去年は東山雑記の記事を見て、とてもうらやましく思ってました。
ここはずっと行きたかった所ですからね。

そうか、インド舞踊は去年もあったのですか。
違和感があるのは否めませんでしたが、
異国情緒溢れる踊りを楽しませて頂きました。

弓は是非拾いたかったですね。まあ、凄い競争になったでしょうけど。
でもアクシデントがあったそうなので、やむを得ないですね。

蓬莱豆は大きい上に堅くて、とても噛めませんでした。
ずっと口の中に入れて溶けるのを待ち、
最後の方になってやっとかみ砕く事が出来ました。
でも上品な味でなかなか美味しかったです。

あっ、そうなんだ、買って帰れば良かったんだ。
前ばかり見て、後ろの窓口は良く見てなかったです。
そうすれば、紅白両方を食べられたのですね。
惜しい事をしたな。

投稿: なおくん | 2008.02.06 20:36

法弓師は父です。ごめいわくをおかけしました。手術も無事成功し今は一般病棟に移るまで回復いたしました。救急車のなかでも弓のことを気にし、意識が戻ったときもすぐ弓のことを聞きました。ことしは孫が福娘のお役を頂きましたので一緒にでるのをとても楽しみにしていた直後でしたので、残念でした。娘には、じいちゃんの分もしっかりお役勤めるよういいましたので、なんとか大役勤めさせていただきました。ご心配くださりありがとうございました。

投稿: 法弓師 | 2008.02.09 20:30

法弓師さん、わざわざのコメントありがとうございます。

まずはお父様の手術が成功し、ご回復しつつあるとの事、なによりです。

でも、それほどお悪かったとは驚きです。
今思えば門前に救急車が駐まっていたのは、
そのせいだったのですね。
さぞかしご心痛だった事とお察し致します。

ところであの可愛い福娘は、法弓師さんの娘さんでしたか。
初めてとは思えない、堂々とした福娘ぶりでしたよ。
きっとご自慢のお嬢さんなのでしょうね。

お父様がまた法弓師として復活される日が来ると良いですね。
今度追難式鬼法楽に行く時は、
弓が飛んでくるのを楽しみにする事とします。

投稿: なおくん | 2008.02.09 21:18

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