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2007.03.11

新選組血風録の風景 ~池田屋異聞その15~

Yoiyoiyama0703083

(新選組血風録概要)
(雨戸越しの近藤の声に応えて、山崎は潜り戸の桟を外した。近藤は、浮浪の者20余人、いずれも階上にあるという山崎の報告を聞くと、池田屋の主人を呼んで「御用改めである。」と宣言した。そして、いきなり土間から階段を駆け上がりざま刀を抜いた。)

(二階では、北添佶磨が何気なく顔を出した。そこへ近藤の刀が殺到した。真っ向から斬られた北添が倒れる音を聞き、色めき立つ浪士達。その中で、壬生の者らしい、と落ち着いて鞘を捨てたのは吉田稔麿。彼は藤堂が突いてくる刀を払い、頭から切り下げた。しかし、藤堂は鉢金のおかげで、転がったまま生きている。)

(なおも藤堂を襲う吉田を永倉が狙った。その背後から宮部鼎蔵が撃ち込んだが、鎖のせいで肉まで斬れない。乱闘になった。)

・北添佶磨の階段落ち

「近藤が御用改めであると言って階段を駆け上がり、その声を聞いてふらりと出てきた北添を真っ二つに切り下げ、斬られた北添は階段を転がり落ちるという、池田屋騒動では有名なシーンです。しかし、これではただの人殺しに過ぎません。」

「くり返しになりますが、新選組を始めとする幕府方の治安維持勢力に与えられた斬り捨て御免の特権は、あくまで相手が抵抗し、どうしても手に余る時にだけ有効となる手段でした。いくらなんでも、出会い頭に問答無用で斬り捨てるなどという事は、許されるはずもありません。」

・浪士文久報国記事に見る池田屋騒動

「池田屋騒動における屋内の様子は、永倉新八の「浪士文久報国記事」に詳しく記されています。それに依ると、玄関から入った近藤は、まず池田屋の主人に「御用改めであるぞ。」と告げています。驚いた主人は奥の二階へと走って行きました。近藤と沖田がそれに続きます。彼等が2階に上がると、20人ほどの浪士達が抜刀して待っていました。ここで近藤は、「御用改めである。手向かいいたせば、容赦なく斬り捨てる。」と浪士達に向かって宣言しています。」

「これで明らかな様に、近藤は当時の治安部隊として踏むべき手順を、きちんと取っているのですね。この後、先に斬りかかって来たのは浪士側でした。相手は近藤達よりもずっと大人数ですから、手に余るのは当然です。これにより、相手を斬り捨てても良いという特権を行使する条件が整った事になりました。」

「最初に斬りかかってきた浪士を、沖田が一刀の下に切り捨てます。以後乱闘になり、浪士達の多くは階下へと逃れます。近藤はそれに応じて、階下へと指示を出しました。1階には八間の行灯(大型の行灯)があって廊下を照らしており、このおかげで近藤達は大いに助けられたと、永倉の手記にはあります。」

・沖田・藤堂の離脱と近藤・永倉の苦戦

「ここで、沖田が持病によって倒れてしまいます。沖田の病については「沖田総司の恋」で触れますので詳細を省きますが、沖田は屋外へと逃れ、中に残ったのは3人となりました。3人は瞬時にフォーメーションを整え、奥の間は近藤、台所から出口にかけては永倉が、そして庭は藤堂がそれぞれ固めます。」

「3人はそれぞれ奮戦していたのですが、藤堂が垣根際に隠れていた浪士に頭を斬られ、血が目に入って戦えなくなってしまいます。この時、藤堂はあまりの暑さに鉢金を脱いで汗をぬぐおうとしていたと言い、油断していたところを不意打ちに遭ったのでした。藤堂も屋外へと逃れ、これで新選組側は近藤と永倉の二人だけになってしまいます。」

「大勢の敵に囲まれて、さしもの近藤も、永倉の見ている前で三度も斬られそうになったと言います。しかし、永倉自身も敵と渡り合うのに手一杯で、とても助太刀に行ける状況ではありませんでした。この時、裏口では3人の隊士が倒され、屋内においても近藤・永倉の二人が大苦戦に陥り、新選組側が敗北寸前にまで追い詰められるという事態が現出していたのです。」

以下、明日に続きます。

(参考文献)
木村幸比古「新選組日記」、子母澤寛「新選組始末記」


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