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2007.02.07

新選組血風録の風景 ~芹沢鴨の暗殺その13~

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(壬生寺 芹沢鴨・平山五郎の墓)

(新選組血風録概要)
(近藤達が宿舎にしている前川荘司邸に帰ってきたのは、午後9時過ぎだった。芹沢が居る八木邸とは狭い道一筋を隔てており、この二つを合わせて新選組屯所と言った。雨は依然として降り続けている。)

(八木邸に行っていた沖田は夜遅くまで家人の部屋で遊んでいたが、やがてびしょぬれになって帰ってきた。沖田は芹沢は今し方寝静まったと言い、平山は芹沢の隣室に桔梗屋の吉栄と、平間は右手の部屋に輪違屋の糸里とそれぞれ一緒だと報告した。)

(午後10時過ぎ、雨が上がった。月が出始め、雲が見えてきた。近藤は行こうと言ってたすきを掛けた。足ははだしである。)

「芹沢鴨の暗殺については、一つの謎がつきまとっています。それは暗殺があった日付けの事で、従来は墓碑に刻まれた9月18日が正しいとされて来ました。ところが現在では、その日が9月16日ではなかったかという説が有力になりつつあります。」

「芹沢鴨の暗殺があった日の様子については、新選組始末記に八木為三郎の記憶として、「この日は朝から雨がびしゃびしゃ降って、お昼頃一時晴れましたが、夕方から今度は、土砂降りのひどい雨になりました。」と記されています。小説の描写もほぼこれに沿っていますね。」

「ところが、同時代の四条大宮で質屋を営んでいたという人物の日記が見つかり、そこには、
16日 雨降。 夜同断。
17日 双天。 夜同断。
18日 晴天。 夜同断。
と記されていたのです。18日は朝から夜まで晴れており八木為三郎の記憶とは一致しません。状況が一致するのは16日であり、この事から芹沢鴨暗殺の日の見直しの動きが始まったのでした。」

「それ以前から暗殺があった日は9月16日だとする説は存在していました。会津藩士の記録である七年史がその根拠で、他にも西村兼文の「近世野史」には8月16日となっているそうです。浪士文久報国記事には9月6日となっており、6という数字は合ってますね。」

「また、これらとは別に9月16日に芹沢が殺害されたと記した水戸藩士の手紙が見つかっており、16日説が有力になりつつある様です。ただし、18日説が否定された訳ではなく、決着が付くのはもう少し先になるのかも知れません。」

「平山と一緒だったという小栄はこの夜難を逃れているのですが、木村幸比古氏の「新選組と沖田総司」には小栄の子孫と名乗る方から直接聞いたとする後日談が掲載されています。」

「それによると小栄は明治維新後まで生き延びて、子爵・黒田清綱の妾となり、栄子と名乗りました。そして長男の清秀を生んだのですが、清綱は妾腹の子に家を継がすのを嫌ったのか、甥の清輝を養子に迎えて家を継がせ、清秀は分家させました。この黒田清輝は明治画壇で重きをなした人物である事は周知の事実ですよね。思わぬ所に新選組縁の人物が絡んでいるものです。栄子が生んだ清秀は昭和25年まで生き、現在もその子孫の方が残って居られるそうです。」

「糸里の方は浅田次郎の小説ですっかり有名になりましたが、無論あの作品は創作であり、史実ではありません。」

「新選組始末記に、当日の夕刻、為三郎が弟の勇之助と一緒に玄関の左手にある寝部屋に入ったところ、真っ暗な中に布団の上に座っている女が居て驚いたという話が掲載されており、状況からするとこれが糸里だった様ですね。あらかじめ平間が呼び寄せてあったのと思われますが、その夜、お梅や八木家の女中達と一緒に遊んでいたという小栄とは、どこか対照的な印象を受ける女性ですね。糸里について判っているのはこの程度で、本当に輪違屋に居たのかどうかも確認は出来ていない様です。」

以下、明日に続きます。

考文献
新人物往来社「新選組銘々伝」、歴史読本2004年12月号「特集 新選組をめぐる女たち」、子母澤寛「新選組始末記」、「新選組遺聞」、永倉新八「新撰組顛末記」、木村幸比古「新選組日記」、「新選組と沖田総司」


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いろいろとめいることがあって{/kaeru_shock1/} 気分を一気にかえたいところに米がなくなった{/namida/} ただ単に最近、気分は幕末だったので(意味不明{/eq_1/}) 会津という文字だけにひかれて購入{/onpu/} 本当に美味しいです{/ee_3/}さすが会津{/ee_3/}{/fuki_osusume/} 「いいなあ・・・俺たちに国は」(by20年前の白虎隊)マニアだ{/star/} めいる原因を知っているご近所さんからおみ�... [続きを読む]

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