京都・洛北 吉野大夫ゆかりの寺・常照寺
鷹峯の地にある常照寺は、1616年(元和2年)に、本阿弥光悦による土地の寄進とその子光瑳の発願により、身延山第二十一世日蓮宗中輿の祖といわれる日乾上人を招いて、「鷹峯壇林」として開創されました。「壇林」とは学寮の事で、日蓮宗の僧侶が学ぶ学校という事ですね。最盛期には36もの堂宇が並び、数百人の学僧で賑わったと伝わります。日蓮宗徒としての光悦の本領が発揮された光景とも言えそうですね。
常照寺はまた、江戸初期の名妓とされる吉野大夫ゆかりの寺として知られます。吉野大夫は六条三筋町(東本願寺の北のあたり)にあった郭(島原の前身)にあって、和歌、連歌、俳句、書、茶湯、囲碁、双六など諸芸に秀で、また唐の国にまで聞こえるほどの美貌に恵まれたという才色兼備の人でした。大夫は光悦の縁故で日乾上人と出会い、その学徳に触れて門下に帰依します。そして23歳の時、自らの私財を投じて朱塗りの山門を寄進しました。その門が今に残るこの吉野門です。
大夫は京都の豪商、灰屋紹益に身請けされ、その妻となりました。二人のロマンスは井原西鶴の「好色一代男」などに取り上げられ、世に知られる様になっています。大夫は38歳でこの世を去り、遺言によって常照寺に葬られました。
一方、夫の紹益は西陣にある立本寺に葬られています。二人の墓が離れ離れにある事を哀れに思った歌舞伎俳優の片岡仁左衛門らによって、昭和46年に二人の名を刻んだ比翼塚が建てられました。
また、境内には吉野大夫が好んだという吉野窓を配した茶席「遺芳庵」があります。残念ながら写真が上手く撮れてなかったのですが、同じ趣向の茶席が高台寺にもありますので、そちらを参考にして下さい。
境内には、大夫を偲んで植えられた吉野桜が沢山あり、花の季節には見事な景色を見せてくれます。また、4月の第3日曜日には、吉野大夫の供養のために島原の大夫道中に依る墓参が行われ、また境内の各所に野点の席が設けられるという「花供養」が実施されています。宮本武蔵さえ諭したとされる吉野大夫は、今の世にあっても慕われ続けているのですね。
吉野門を入ってすぐ右にある塚が「帯塚」です。昭和44年に築かれたもので、女性の心の象徴である帯に感謝するため、吉野大夫ゆかりのこの地に建立されてました。毎年5月には、帯供養や帯の時代風俗行列が営まれてます。
常照寺はまた花の寺でもあるのですね。春の桜、初夏の紫陽花が有名ですが、今の季節は萩やコムラサキが見頃になっています。そんな中で見つけたのがこのシロバナホトトギス。普通のホトトギスの様に斑点が無いのでそれと判りにくいですが、花や葉の形を見ると確かに同じですね。吉野桜の林の下で、ひつそりと静かに咲いていました。
常照寺が一番賑わうのはまさにこれから、紅葉の季節ですね。境内には落葉樹が沢山植わっており、最盛期にはそれは見事な景色となる事でしょう。紅葉を求めて、光悦寺、源光庵と合わせて訪れるには絶好のポイントだと思います。
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コメント
こんにちは、なおくん様
白花のホトトギスは初めて見ました。
なんだか、違う種類の花のように見えますね。
常照寺の紅葉は、もみじより桜の紅葉が多いような印象があります。
光悦寺・源光庵ともうひとつ、少し坂を下がって、しょうざんの庭園もなかなかの見応えですよ。
後、途中の松野醤油の「柚子ぽん酢」がオススメです。
投稿: いけこ | 2006.10.11 13:47
いけこさん、コメントありがとうございます。
ここを訪れた時は既に日が陰っていたのですが、
シロバナホトドギスは薄暗い中にほんのりと白く浮かび上がって、
とても綺麗でしたよ。
そうですね、しょうざんも含めれば、丸一日紅葉が楽しめるでしょうね。
ただ、ちょっと体力が必要でしょうけど...。
松野醤油も気になるお店でした。
なるほど、柚ぽん酢ですね。覚えておきます。
投稿: なおくん | 2006.10.11 19:52