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2005.07.20

京都 祇園祭 宵山残照

今更の観もありますが、先日アップしきれなかった祇園祭宵山の山鉾の紹介です。

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まずは、長刀鉾。その名の由来は、鉾の先端に掲げられた大長刀から来ています。この長刀は三条小鍛治宗近の作とされ、以前は本物が掲げられていましたが、現在は木製の模造品に銀箔を貼ったものが使われています。この鉾は籤取らずの鉾の一つで、毎年行列の先頭を切り、その長刀で疫病邪悪を祓うとされています。まさに、祇園祭の原典のような鉾ですね。

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この鉾は、函谷鉾。その名は中国の故事に由来するもので、天下第一の関所と呼ばれた函谷関の名を取ったものです。戦国時代の斉の宰相であった孟嘗君が趙の国を訪れた時、武霊王の策略によって危うく殺されそうになります。その脱出行の途中にあった函谷関は夜には閉じられ、鶏の鳴き声と共に開かれる事になっていました。そこで孟嘗君は、鳴き真似の上手な家来に命じて鶏の鳴き声をさせると、夜中にもかかわらず鶏が次々に鳴き始め、守備兵が朝が来たと勘違いをして関門を開けてくれたために、あやうく難をのがれる事が出来ました。鉾の装飾もその故事に基づいており、この鉾の先端に付けられた三日月と山形は山中の闇を表し、真木の上部に孟嘗君が、その下には雌雄の鶏が祀られています。
この鉾もまた籤取らずの一基で、長刀鉾に次いで常に二番目を行くことになっています。

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ビルと競うように聳えているのは月鉾。鉾の名の由来は古事記にあり、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が黄泉の国から戻った時にお祓いをした際に、左眼を洗って天照大神、右眼を洗って月読尊を生んだという神話から来ているそうです。その名の通り、鉾の先端には横40cm、上下24cmの三日月が飾られ、天王座には月読尊が祀られています。
しかし、こうしてみると鉾というのは恐ろしく高いという事が判りますね。それもそのはず、この月鉾は鉾の中でも最も高いもので、地上から月の先端まで26.7mあるとされます。

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ビルの谷間から一転して、町家と調和した佇まいを見せているのは放下鉾。こういう情緒ある風情が、祇園祭の真骨頂ですよね。鉾の名は、「天王座」に放下僧の像を祀っている事に由来しています。放下僧とは、神社や寺の境内で曲芸を演じ、勧進興行を行っていた人々の事を指します。鉾の先端の飾りは、日・月・星三光が下界を照らす形を示すとされ、その形が和菓子の州浜に似ているところから「すはま鉾」とも呼ばれています。

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この見事な蒔絵は、船鉾の舵の部分です。こんなところの装飾にまでも、神経を配っているのですね。船鉾は、神功皇后の新羅出征神話にちなんだ鉾で、住吉明神、鹿島明神、竜神安曇磯良と併せた四神が、満珠千珠を捧げて舳に立つ四神像の人形を乗せています。この出征の時に皇后は臨月だったのですが、目的を遂げるまで出産をしないようにと腰に石を巻き付けて出陣し、無事に筑紫に戻ってから後の応神天皇を産んだされます。このことから、ご神体には晒しを巻いて置くのだそうですね。そうした由来から、ここでは安産のお守りと腹帯が売られています。
また、船鉾は本来二基あったのだそうですね。この鉾は出征の船として先の行列の最後尾を勤めるのですが、元は現在休み山となっている大船鉾が後の行列の最後尾を勤めて、凱旋の船と呼ばれていました。大船鉾は幕末の戦火で焼けてしまって今は無いそうなのですが、この船鉾と同型の華麗な鉾だったとの事です。なんとも惜しい気がしますね。

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この巨大なカマキリは、その名の通りの蟷螂山の装飾です。祇園祭唯一のからくり人形で、この鎌や脚が動くほか、羽根を大きく広げて見せてくれるなかなか楽しいカマキリです。中国の古典に、「蟷螂の斧をもって降車の隊を防がんと欲す。」とあるいわゆる「蟷螂の斧」の故事にちなんだもので、応仁の乱以前からあったものらしいですね。しかし、幕末の戦火にあって破損した後は休み山となっていたのですが、昭和53年に町内の人々の努力によって修復され、巡航に復帰する事が出来ています。

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宵山を飾る山形の提灯。ここに灯りが入るのは、また一年後の事ですね。あの熱気を楽しむ事を夢見ながら、来年を待つことにしますか。

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コメント

意外に大きいものなのですね。
蟷螂さん、羽も開くなんて凝ってますなぁ。1度、見てみたいです。

投稿: mononoke | 2005.07.21 19:09

mononokeさん、コメント&TBありがとうございます。
このカマキリの下は御所車で、なかなかシュールな組み合わせになってます。
昨年山鉾の巡行を見ていた時に、丁度目の前で羽根を開いて見せてくれたのです。
動きもユーモラスで、結構楽しいですよ。

投稿: なおくん | 2005.07.21 20:05

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