義経 20の3
義経 第20回 「鎌倉の人質」その3
京、平宗盛邸。宗盛の長男清宗と頼盛の娘との婚姻披露の宴が行われています。東国の憂いを忘れて和やかに談笑する平家一門の人々でしたが、その中から宗盛が荒々しく飛び出して来ました。その宗盛を懸命になだめる頼盛ですが、宗盛はその手を振りほどいて時子の下へと急ぎます。
清宗の縁談は時子ではなく知盛が勧めたものと判り、母を詰る宗盛。彼は、頼朝の命を助けたが為に現在の窮状を招く元となった池禅尼を、どうしても許せなかったのですね。その孫娘との縁談は我慢がならなかったようです。勝手な事をしてくれたと知盛を責める宗盛ですが、宗盛は一門の結束のために良かれとした事と譲りません。なかなか収まらない宗盛に、時子は半ばは自分の意思でもあったのだと宗盛に説き、ようやくこの場を納めます。この場面には、親族だからといって重く用いようとはしない頼朝と、一族の結束を何より大事にしようとする平家との鮮やかな対比が描かれていますね。
縁側に座り、月を眺めながら物思いに耽る時子。夜具の支度を終えた手古奈が部屋へ下がろうとすると、時子が政子とはどのようなおなごかと問いかけます。手古奈から、政子は男勝りに激しい性格で、強い意思を持ったおなごだと聞かされ、自らのあり様と引き替えて驚く時子。同じ一門の総帥の妻という立場にあって、政子の持つ強さは時子にとってはうらやましくもあったのでしょうね。
鎌倉、大倉御所。義高が頼朝、政子、大姫と対面しています。頼朝は義高に優しく語りかけ、大姫に義高を引き合わせます。まだ6歳に過ぎない大姫は、はにかんで俯くばかりです。
侍女と庭で遊ぶ義高。そこへ大姫がやってきます。大姫に気づいた義高は、手にしていた小さな蟹を大姫に見せてやります。好奇心いっぱいの目で、その蟹を見つめる大姫と、その姫をやさしそうに見守る義高。
夜、政子と義時を相手に酒を飲む頼朝。大姫と義高の仲が良いと聞いて、頼朝も上機嫌です。そのとき、政子が義経を2人の相手役にせよと言い出します。いぶかる頼朝に、兄の娘にどう接するかを見れば、義経の心底も判るだろうとその真意を打ち明けます。
義経邸。大姫の下へ向かおうとする義経を捕まえて、弁慶達郎党が子守役を仰せつかった事に腹を立てています。軽く扱われたと悔しがる弁慶を、これは信用されている証だとなだめる義経。
大姫と義高の屋敷。庭から入ってきた義経を見て、大姫は驚いています。相手役を務めますと2人にあいさつをした義経でしたが、幼い2人は初めて見る義経を警戒している様子です。そこで義経は、飛んでいる蝶を生きたまま捕まえて見せ、そして天狗の様に舞ってたちまちの内に2人の心を掴んでしまいました。
花摘みをして2人の相手をしている義経を政子がじっと見守っています。
鎌倉幕府成立の犠牲になった幼い2人の悲恋として知られるこのエピソードですが、実際に愛らしい2人を見てしまうと何とも切なくなってきます。義経が2人の守り役になったという事実はありませんが、せめて今は楽しませてやって欲しいという気になりますね。義経にすれば、幼い頃清盛に可愛がられた自分と義高を重ね合わせているのかも知れません。多分、竹とんぼも作ってやるのだろうなあ...。
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