義経 17
義経 第17回 「弁慶の泣き所」
冒頭、武術の稽古をする義経。鬼一法眼から受け継いだ技は、未だ健在の様です。
義経の館。近在の農民が作物を届けてくれました。それをありがたく受け取る静。三郎が子供達の面倒を見ているお礼だそうです。かいがいしく働く静を見て、都へはいつ帰るのかと問いかける弁慶。そう言われてとまどう静と気まずそうな義経。
朴念仁の弁慶に、男女の仲を教えようとする次郎と三郎。しかし、弁慶には全く通用しないようです。
義経の館を出て、海岸へとやってきた弁慶。苛立ちを押さえるように波打ち際で顔を洗っていると、大波が来て足下を掬われてしまいます。思わぬ深みへとはまりこんで、溺れる弁慶。それを見て、救いに飛び込む船の上の人影。
気を失っていた弁慶が目を覚ますと、とある小屋の中でした。弁慶を助けてくれたのは、千鳥という漁師の娘。諸肌脱いで体を拭いていた千鳥を見て、あわてふためいき壁を破って飛び出す弁慶。
夜の義経邸。和やかな夕食の輪の中で、一人放心したように座っている弁慶。不審に思い気遣う義経達ですが、当人は心ここにあらずといった様子で、返事も出来ません。そこへ怒鳴り込んできたのは漁師の杢助。千鳥の父親でした。杢助は、弁慶に向かって千鳥に何をしたと迫ります。何もせぬと言う弁慶ですが、杢助の追求に言葉を詰まらせてしまいます。そんな弁慶に責任を取れと言い捨てて去っていく杢助。義経と朋輩達に問いつめられ、とぎれとぎれに事の次第を白状する弁慶。義経は、申し開きすべき事があれば、相手に伝えるべきだと諭します。
義経に言われたとおり、杢助の家を訪れた弁慶。しかし、千鳥を前にすると完全に舞い上がってしまい、まともに顔を合わせる事も出来ません。たどたどしく、幼い頃から仏門に居たため、泳げもしなければおなごと話をしたことも無いと言い訳をする弁慶。しかし、千鳥は意外にも自分をおなごと言ってくれた弁慶に好意を持ち、微笑みかけます。その微笑みを見てさらに混乱し、急ぎ千鳥の家を後にする弁慶でしたが、その数日後には千鳥の下へ足繁く通う姿が目撃されるのでした。
この千鳥と弁慶のエピソードは、このドラマの創作だと思われます。武蔵坊弁慶の恋人と言えば玉虫姫ですが、これも富田恒雄の「武蔵坊弁慶」での創作なのですね。千鳥という漁師の娘は、近松門左衛門の「平家女護島」の二段目「俊寛」に出てきます。鬼界ケ島に流された成経の恋人となる娘なのですが、その姿はほぼこのドラマの千鳥に重なります。おそらくは、その設定を弁慶の恋人役として持ってきたものなのでしょうね。朴念仁の弁慶が、千鳥と仲睦まじく網を修繕している姿は、どこか微笑ましくもありました。
以下、明日に続きます。
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