義経 15の3
義経 第15回 「兄と弟」その3
義経の陣で横たわっている白拍子。三郎の馬を避けた拍子に、脚を痛めてしまったようです。ざわついた気配に目を覚ました白拍子は、自分を見下ろしている義経に気付きます。彼女は、かつて義経の危機を救った静でした。都に帰ると言う静ですが、脚を痛めていて、まともに歩けそうもありません。見かねた義経は、自分と一緒に鎌倉に来る様に誘います。
静が富士川の陣に居たという史実はなく、義経がこの合戦に参加していない事も既に書いたとおりで、この下りも村上元三の源義経にある設定です。ちなみに義経記によれば、静と義経が最初に出会ったのは京都の神泉苑で、雨乞いの舞いを舞ったときに義経に見初められて、側室となったとあります。
頼朝の常陸攻めの先陣に加えられる事無く、鎌倉入りした義経。義経に与えられた館は、町はずれにある荒れ果てたものでした。あまりの荒れぶりに、嫌みをこぼす三郎達。
政子と対面する義経。田舎武者と思っていた義経が、意外にも都ぶりのする若者であった事にとまどう時子。屈託のない義経に比べて、政子は何か思うところがあった様子です。
義経の館。さっそく、館の修繕や畑作りに精を出す郎党達。三郎の歌に合わせて、作業もはかどります。その様子を陰から見ている政子達。そこへ、村の者達が栗を持ってやってきます。たちどころに歓迎して、うち解ける郎党達。それを見て驚いている政子。
傷養生をしている静を見舞う義経。彼はいつか静から貰った笛を、今でも大事にしている事を静に告げます。9年の歳月を越える様に、静の前で笛を奏でる義経。
福原、清盛邸。富士川の戦いで、戦わずして逃げ帰った維盛が来ています。清盛に戦の子細を聞かれても、答える事が出来ない維盛。そんな維盛を宗盛は責め、清盛は鬼界ケ島への配流を言い渡します。これに対して、もはや尋常な出来事とは思えないと異議を唱える盛国ですが、宗盛に平家が祟られているとでも言うのかと咎められ、沈黙してしまいます。
時子に、維盛の不首尾を詫びる経子。経子は時子に維盛の処置についての取りなしを願い、時子はそれを聞いてやります。そして、維盛の配流は、いつの間にか取りやめになっていたのでした。
戦わずして逃げ帰った維盛を鬼海ケ島に流せと清盛が言った事は、平家物語にあります。そして、参謀役であった忠清については死罪を言い渡しました。これに対して平家の家人達が集まり、忠清ほどのものがこれほどの不覚をとるのは尋常の事とは思えない、よくよく戦乱調伏の祈りをするべきであると訴えます。この一門の声に押されて維盛達の処罰は沙汰止みとなったのですが、ドラマでは盛国一人に代表させていましたね。時子がからむのは、宮尾本平家物語にある設定です。そして、そのわずか二日後に除目があり、維盛は少将から右近衛中将に昇進しています。平家物語では、これを平家のあきれた無軌道ぶりとして描いていますが、おそらく維盛は負けて帰ったのではなく、戦略的判断から、戦う前に兵を引いたものと思われるのは昨日に書いたとおりです。
以下、明日に続きます。
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