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2005.04.19

義経 15の2

義経 第15回 「兄と弟」その2

夜明けの富士川。対岸の、今や敵となった平家の陣を見ながら、感慨に耽る義経。そこへ、武田勢が朝駆けをするという知らせが入ります。直ちに、戦支度に掛かろうとする義経ですが、その時、おびただしい数の水鳥が飛び立つ音を耳にします。

朝の静寂を破って轟いた音に驚き、混乱を極める平家の陣。そこへ殺到する源氏の軍勢。懸命に軍をまとめようとする維盛ですが、乱れきった兵達は言う事を聞きません。逃げまどう白拍子達を押しのけて駆け去る兵達を見て、無念の表情で陣を後にする維盛。

郎党を率いて、川を渡る義経。平家の陣へと攻め込みますが、平家方は完全に浮き足立ち、逃げるばかりで抵抗する者もありません。敵を掃討する義経達ですが、逃げ遅れた白拍子の一人が三郎の馬に踏まれそうになり、倒れてしまいます。それを見て、三郎に女を助ける様命ずる義経。

戦わずして勝利した頼朝。このまま平家方を追撃して、一気に都まで攻め上ろうと言う時政に対して、三浦義澄らが佐竹の脅威があるとして、これに反対します。頼朝は義澄らの意見に従い、常陸攻めを下知します。


平家物語に依れば、東国に攻め下った平家方は7万騎。総大将の維盛は、一気に箱根を越えて攻め込もうとしますが、家臣の上総守忠清が味方の加勢を待つ様に進言し、富士川の西で軍を止めます。対する頼朝の軍は日が経つにつれ味方が集まり、富士川に着いた時には20万騎にも膨れあがっていました。これを知った忠清は味方を待った事を後悔しますが、既に手遅れでした。

あるとき、維盛が味方の案内を勤める板東武者の斉藤別当実盛を呼び、板東にはお前程の武者は何人ほどいるのかと尋ねました。実盛は維盛をあざ笑い、自分程の武者は、板東には掃いて捨てる程居る。上方の武者は、親が討たれると子は引き退いて供養をし、もし子が討たれたら親は嘆き悲しんで戦おうとはしない。板東の武者は、親が死んだら子がその屍を乗り越えて戦い、子が討たれたら、親はその子の屍を乗り越えて戦う。およそ、上方の武者とは全く違う勇敢なものだと答えました。これを聞いた平家方の武者達は、皆震え上がったと言います。

こういう状況の中、矢合わせと決められた10月24日の前夜を迎えます。平家方の見たものは、対岸の山河を覆い尽くす、おびただしい火の海でした。実は、戦火を恐れた付近の住民が山野に逃れて火を焚いていたのですが、平家方は全てを敵と思いこみ、あわてふためきます。そしてその深夜、富士川に群れていた沢山の水鳥が、何かに驚いて一斉に飛び立ちました。その凄まじい羽音に驚いた平家方は源氏勢の襲来と思いこみ、包囲されてはたまらないと我先に逃げ出します。あまりに急な撤退であったため、弓を持って矢を忘れ、矢を持って弓を忘れる者が続出し、人の馬に自分が乗り、自分の馬には人が乗り、中には杭に繋いだままの馬に飛び乗って、杭の回りをぐるぐるかけ続ける者まで居たと言います。

維盛はただ一人、置き去りにされた状況でした。混乱の中、ようやく家臣の一人を捕まえ、軍勢を立て直す様に命じますが、もはやどうにもならぬ事を悟り、尾張まで撤退する事を決意します。

翌朝、軍を進めてきた頼朝の見たものは、もぬけの空になった平家の陣でした。戦わずして平家が去った事を知った頼朝軍は、3度鬨の声を挙げたと言います。

以上が平家物語の概要で、ドラマもほぼこのとおりに展開していましたね。白拍子が居たとまでは平家物語には書かれていないので、これは村上元三の創作でしょうね。それほど平家方は公家の色に染まっており、たかが水鳥の羽音に驚いて逃げ出す様な腰抜け武者に成り果てていたというのが一般的な見方です。

しかし、本当に平家がそこまで極端に弱くなっていたのかというと、その後の戦いぶりを見る限りそうでもないのですよね。確かに義仲や義経に敗れてはいますが、腰抜けと言うには当らない様です。

では、実際にはどうだったのかというと、あまりに予想外に兵力差が開いてしまった事、京で延暦寺などの動きが不穏になっていた事などを考慮して、維盛が戦略的に撤退したのだという説が正しい様に思えます。維盛はこの後、清盛から叱責を受け島流しに遭いそうになりますが、すぐに許されて今度は官位を上げて貰っています。そして、再び義仲追討軍の総大将に任命され、義仲を相手に北陸路で戦う事になります。もし平家物語にある様に、本当に水鳥の羽音に驚いて逃げて来たのであれば、官位はともかくとしても、再度総大将に任命されたりするはずは無いと思うのですがどうでしょうか。

恐らく水鳥の件については、平家撤退を知った源氏方が意図的に流した情報だったのではないでしょうか。それほどまでに源氏の勢力は盛んになり、平家は腰抜けに成り下がったという情報戦を行ったと考えるのが妥当な様に思われます。

以下、明日に続きます。

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