義経 9の3
義経 第9回 「義経誕生」その3
次々に義経の家来となる伊勢三郎、駿河次郎達。
「蟹」と呼ばれながら、晴れて義経の家来となった伊勢三郎。彼は「吾妻鏡」にもその名が見える実在の人物です。その出自には諸説があり、
・伊勢に生まれ、上野国荒蒔郷に住んでいた。「源平盛衰記」
・父が伊勢二見のかんらひ義連という大神宮の神主。義連が罪を得て上野国に流され、その地の妻女の子として生まれた。「義経記」
・伊勢国の目代に付いて、上野国松井田に下った者。「平治物語」
・日光育の児。「長門本平家物語」
などが主なところです。「義経記」や「源平盛衰記」では、彼を盗賊としており、奥州下りの際に宿を取った義経と相知る様になり、その家臣となったとあります。また「平治物語」では盗賊とされておらず、彼を大剛の者であると見込んだ義経が烏帽子親となり、「義盛」の名を与えたとされています。平家物語や源平盛衰記では弁慶以上の活躍をしており、有能な家臣の一人だったと見る事が出来そうです。
義経を奥州まで送った駿河次郎。「義経記」や「源平盛衰記」にその名が見えますが、実在したかどうかは怪しいところがあります。これらの物語では捕虜を斬ったり、雑色として使者になったりする程度でほとんど活躍していないのですが、江戸期の歌舞伎や舞で活躍の場を与えられ、義経四天王の一人にまで出世?しています。
義経の馬取りを勤める喜三太。彼もまた「義経記」に登場する人物で、「下なき下郎」ながら、不意を討たれた義経を守って奮戦する勇者として描かれています。そして、後の歌舞伎などで取り上げられ、さらなる重要人物となったのも駿河次郎などと同じです。
このドラマにおける彼らのキャラクター設定や、いささか大時代がかった臣従の過程などは、概ね村上元三の「源義経」のストーリーに沿ったものです。このドラマにおいては、この下りのみならず、村上義経の設定はそこかしこに取り入れられており、たとえば、うつぼの存在や覚日の性格、弁慶が叡山を追われた際の設定など、かなりの部分にその影響が見られます。宮尾本「平家物語」は、その名のとおり平家を中心に描かれた小説であり、特に義経の前半生に触れた部分はわずかであることから、義経を主役とするドラマを作るには無理があったのでしょうね。これまでの展開を見る限り、宮尾平家と村上義経の合作というのがこのドラマの骨格となっている様です。
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