京都 義経の里@鞍馬山
木立なす 鞍馬の山のその奥に 天狗の棲むと人のいう
京都の北に位置する鞍馬山。東の比叡山、西の愛宕山と共に、都を守る霊山の一つです。しかし、朝日の射す比叡、夕日に染まる愛宕に比べて、北の鞍馬はどこか暗い印象がするのを否めません。また、比叡を越えれば近江の野、愛宕の向うには亀岡の盆地が広がりますが、鞍馬の背後はどこまで行っても山また山の丹波です。京都盆地から見る鞍馬山は、なにか底知れぬ闇を控えているかのようにも見えます。その闇が、いつしか鞍馬天狗の伝説に結び付いていったのでしょうか。
京都市内から鞍馬寺までおよそ12km。鞍馬寺に預けられた遮那王は、夜な夜な寺を抜け出しては都へと通ったと言います。ただでさえ険しい山道を、夜の夜中にたった一人で下ってくるのですから、それだけでも都人に恐ろしげな印象を与えた事でしょうね。夜道を行く遮那王の姿は、既に伝説の中の人物だった事でしょう。
雪雲に煙る鞍馬を見ていると、遮那王を育てた妖のものが、今でもそこに居るかの様に思えてきます。
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