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2004.12.02

新選組!38の4

新選組! 第47回「再会」その4

八王子宿の宿、「鍵屋」。
「俺たちの京の5年間は何だったのだ。世の中を引っかき回しただけだったのか。」と嘆く土方。
「自分は、いつも正しいと思う事をやって来た。悔いはない。」と近藤。

土方と近藤のやりとりは、新選組に対する評価として常に繰り返されて来たものでもありますね。新選組が歴史に果たした役割を真正面から評価すると、大抵の場合「世の中を引っかき回しただけ。」という答えが返ってきます。この手の評価の中で最も手厳しいのが奈良本辰也さんで、「(新選組は)花であれば、あだ花であり、動物の体で言うなら、何かの菌が入って出来た肉腫のようなもの。」と容赦なく斬り捨てています。新選組は幕末の京都の治安維持の為に組織された警察部隊でしたが、幕藩体制から近代国家へと移り変わって行く歴史の流れの中で捉えれば、その奔流を阻害する障害物に他なりませんでした。歴史に何かの影響を与えたと言える事績は池田屋事件以外には何も無く、その意味からすればまさしく身体の中に出来た血流を阻害する肉腫と言わざるを得ません。

しかし、新選組の魅力というのは、そんなところには無いのですね。落日の幕府を支え、浪士が跋扈する京都の治安を守る事を正義と信じて生きたのが彼らであり、その生き様にこそ惹かれるのです。元々の立脚点が歴史の流れに逆らうところにある以上歴史的評価が低くなるのはやむを得ない事で、己の信念に従って生きそして散っていった群像として捉えたとき、はじめて新選組の魅力が見えて来るのです。

甲州勝沼の陣で、せっかくの大砲の使い方が判らず、途方にくれる土方達。

せっかく大砲を支給された甲陽鎮撫隊でしたが、大砲を扱える人間が居なかったようですね。一説によると、近藤は甲府城を守る甲府勤番士と連絡を取り合って居たのですが、その勤番士の中に砲術の心得がある人物が居たそうです。近藤は、この人物を当てにして大砲を持ってきたのですが、先に城を押さえられたため、せっかくの大砲が使えなくなったのだと言います。

勝沼での戦いは、実際に戦闘が行われた地名を取って、柏尾の戦いと呼ばれます。当初200名程度だった甲陽鎮撫隊は、笹尾峠を越えた後は121名にまで減っていました。このため、近藤は菜葉隊の援軍を呼ぶために土方を派遣すると共に、近在の農村から農兵を募って、兵力の不足を補おうとします。ところが、官軍は2000の兵力を擁しており、その圧倒的な兵力の差を見てせっかく集めた農兵は見物人に早変わりしてしまったと言います。甲府城に入れなかった時点で勝負は付いていたのですが、それでも近藤は白山平というところに陣を張り、官軍と対峙します。これに対して、まず官軍は正面から戦いを挑みますが、鎮撫隊は善戦し、暫くは官軍を寄せ付けませんでした。しかし、白山平の裏山に迂回した官軍の別働隊が背後から襲いかかると、戦況は一変します。背腹に敵を受けた鎮撫隊は大混乱に陥り、ひとたまりもなく潰走してしまったのでした。戦闘開始から、わずか2時間の出来事だったと言います。

この戦いの前日、あまりの兵力差に、隊士達が援軍が無ければ戦えないと訴えたと言います。これに対して近藤は、会津の援軍がそこまで来ていると嘘の情報を流し、とりあえずその場を収めました。しかし、戦況が不利になり、援軍が来るというのも嘘だと判ると、隊士達は近藤に不信感を覚え、続々と戦線を離脱したと言います。やむなく江戸へ引き返した鎮撫隊ですが、その後の方針を巡って近藤・土方と永倉・原田の間で対立が生じます。永倉と原田は彼らと意見を同じくする隊士達と語らい、近藤・土方に対して会津に行こうと提案します。ところが、これに対して近藤は「自分の家来となるなら同志とするが、そうでなければお断りする。」と答えたと言います。元々、勝沼で近藤が援軍が来ると嘘をついた事に立腹していた永倉達は、近藤のこの言葉を聞いて遂に新選組からの離脱を決意したのでした。

ますます寂しくなった新選組。次回は遂に「流山」。とうとう、ここまで来てしまいましたね。この地名だけは見たくなかったです...。

この項は、新人物往来社編「新選組銘々伝」、別冊歴史読本「新選組の謎」、「新選組を歩く」、歴史群像シリーズ「血誠 新撰組」、子母澤寛「新選組始末記」、木村幸比古「新選組日記」、「新選組全史」、「史伝 土方歳三」、永倉新八「新撰組顛末記」を参照しています。


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コメント

甲府勤番は伊賀・甲賀忍者の子孫ばかりで砲術の練習はよくしていたようです。私の5代前は先手組で譜代同心御家人でした。石和まででていたようです。伊賀忍者原惣左衛門子孫より

投稿: 原 | 2005.08.10 16:34

原さん、コメントありがとうございます。
忍者の子孫の方から情報を頂けるとは嬉しいです。
なるほど、近藤が甲府勤番士をあてにしていたのは、
こういう背景があったのですね。
最初の目論見どおりに近藤達が甲府城に入っていたら、
勤番士にしても活躍の舞台が与えられた訳で、
きっとさぞかし無念だったことでしょうね。
少なくとも流山で無念の投降をした史実とは、
また違った展開になっていたでしょうに、
甲府城での戦いが見たかったですね。


投稿: なおくん | 2005.08.10 18:49

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