新選組!36の2
新選組! 第44回「局長襲撃」その2
二条城の廊下。甲冑を着た武者が、慌ただしく走って行きます。それを見送って廊下を歩く近藤と島田に、会津候に戦を思いとどまる様進言してくれと頼む広沢と小森。切々訴える小森を、黙って見つめ返す近藤。
鳥羽伏見の戦いの直前の会津藩と言えば主戦論者の筆頭で、慶喜がその暴発を押さえるのに腐心したというのが通り相場だと思うのですが、容保と違って配下の者達はなんとか戦いを避けようと運動していたのでしょうか。それにしても、近藤が容保を動かせるほどの発言力を持っていたとは思えませんが、まあ、それがこのドラマのコンセプトだからしょうがないか。かつて池田屋事件のときに冷然と新選組を見殺しにしようとした小森までが、近藤に頭を下げるというくらいに、会津藩は追いつめられていたという事なのでしょうね。
新選組屯所。小判のぎっしり詰まった木箱を土方が開けています。土方は、一箱だけ残して、後は隊士達に分けろと尾形に命じますが、尾形は土方の処置に合点が行かないようです。その気配を察してか、今度ばかりは先が見えない、それぞれに身の回りの始末をさせる為だ、とその意図を説明してやります。
新選組が屯所を引き払うときに、隊士達に金を分配したのは事実のようです。「新選組始末記」によれば、ドラマのように小判を分けたのではなく二分金を箕で計ったとあります。あとで出てくる原田の場合は200両あったといいますから、本当に大判振る舞いだったようですね。
二条城の御殿。縁側で控えている島田がくしゃみをしています。座敷の中に居るのは近藤と佐々木。永井から、京都守護職を始め、幕府の役職は全て廃止。伏見奉行所、京都町奉行所並びに見廻組は、一つにまとめて新遊撃隊とする。新選組は、新遊撃隊お雇としてこれに準ずる。と聞かされます。平伏する佐々木と近藤。縁側では、島田が悲しそうな顔で、やはり平伏しています。
そこへやってきた慶喜。平伏して迎える近藤と佐々木。慶喜に従っているのは、容保と定敬です。上座に着いた慶喜に代わって、容保が佐々木と近藤に、上様に意見を具申せよと命じます。徹底抗戦を主張する佐々木と、自重論を展開する近藤。口論を始めてしまう近藤と佐々木。その二人を見て、そなた達の意見は判ったと謁見を打ち切る慶喜。
容保と二人で廊下に佇む近藤。そこへ、慶喜が廊下を渡ってきます。慶喜は近藤の意見のとおり、大阪へ下る事にした旨を伝えます。
このドラマのように佐々木や近藤に慶喜が下問したという事実は無いと思われます。私が知らないだけで、どこかに資料があるかもしれませんが、まず創作でしょうね。慶喜は、誰に相談するでもなく、既に恭順と腹を固めていたと思われます。大阪に移ったのも事実で、ドラマに有るように戦争になる事を防ぐのが目的でした。血の気の多い連中として佐々木だけが上がっていますが、実際には会津藩や新選組もその血の気の多い連中に入っていました。彼らの暴発を防ぐ意味から、慶喜は大阪へ退く事に決めたのでした。戦で負けた事が無いと言っていた近藤ですが、池田屋事件で活躍した他は特にめぼしい戦いはしておらず、そう威張って言えるような華々しい戦歴は持っていませんでした。
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